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完成前に原稿を削る〜小説のちょっとしたコツ

崖っぷち作家のニジマルカです。

小説のちょっとしたコツや小技をご紹介するシリーズ。

今回は「完成前に原稿を削る」です。


完成までの道のり

原稿が完成するまでには長い道のりがあります。

書き過ぎて削ったり、規定枚数に足りなくて追加したりと、ページ数の調整で苦労することもあると思います。

いまのところの経験では、以下のように原稿を進めるとスムーズなようです。

  1. 初稿は控えめに書く

  2. 修正しつつ加筆する

  3. 最後に少し削る

それぞれ見ていきましょう。


1.初稿は控えめに書く

何度か同じことを書いていますが、初稿は控えめに書いた方がいいです。

天才なら別ですが、初稿で完成させようなどと考えているなら、意識を変える必要があります。

初稿は超くわしいプロットみたいなものです。

初稿が出来てからが本番だと考えるといいでしょう。


初稿は、完成原稿の8割ほどに抑えておくと、ちょうどいいと思います。

たとえば13万文字くらいの長編を考えているなら、10万〜11万文字くらいに抑えておくということです。

描写は最小限でいいので、話を進めることに注力してみてください。

ダイジェストみたいになりますが、初稿はそれで構いません。

修正することが前提なので、あまり書きすぎると、むしろ修正しにくくなります。


初稿はちょっと抑え気味に早足で書く、みたいに考えるといいでしょう。


2.修正しつつ加筆する

初稿が出来たら一旦寝かせてから、修正しつつ加筆していきましょう。

初稿では説明不足だったり、描写不足だったところを書き足していきます。

加筆することで、ようやく小説っぽくなってきます。

初稿はざっくりすぎるので、艶がないというか、味がないのですね。

ここで味や彩りを加える、と考えるといいです。


とはいえ、不要なシーンは削っておきましょう。

不要なシーンとは簡単にいうと、「シーンの最初と最後で変化がないシーン」です。

物語が進まなかったり、人物の心情が変わらないシーンはなくてもいいので、この時点で削っておきます。

初稿を書いた時点でおおきな構造は見えていますから、不要なシーンを見つけやすいはずです。


この段階で2割ほど文字数を増やし、完成文字数に近づけておきます。

少しオーバーするくらいでも構いません。


3.最後に少し削る

加筆して味や彩りを加えたら、最後に少しだけ削るといいです。

2〜3%削るくらいで考えるとちょうどいい気がします。

分量は各自で決めればいいですが、最後に少し削る作業を挟むと、原稿が引き締まります。


必要な量の描写や説明を書いているつもりでも、かなり冗長に書いているものです。

「削ろう」という意識がないと、その部分に気づけません。

ですから最後に「少しだけ削ろう」と思って読み直すといいです。


冗長さはいろいろな部分に出ます。

たとえば同じ情報を何度も出しているとか、描写がくどすぎるなどが典型でしょうか。


新しい情報は基本的には一度出せば問題ないです。

念押しのつもりで何度も出すと、読者は「それはもう知ってるって…」とうんざりすることがあります。

あまり過保護になりすぎないよう、一度だけ丁寧に情報を提示することを心がけましょう。


また、描写がくどすぎると、物語の展開が遅くなります。

展開を優先するか、描写を優先するかは難しい問題です。

簡単に考えるなら、盛り上がりに向かう箇所では描写は抑え気味にして展開を優先し、盛り上がりのあとの静かな箇所では描写を増やして雰囲気を楽しませるのがいいでしょう。

これは結局のところ、「読者が望むものは何なのか」と考えることでもあります。

読者が「早く次の展開を読みたい」と望むなら展開を優先し、「のんびり雰囲気を楽しみたい」と望むなら描写を優先する、ということですね。


とはいえ、読者のことをここまで考えるのはなかなか難しく、私もよく担当さんに注意されています。

ただ少しずつでも、「読者はここで何を望んでいるんだろう?」と考える癖をつけるといいですね。


とにかく、完成前に削る作業を挟むと、冗長さが消え、原稿がよりわかりやすくなります。

ほんのちょっとでいいので、最後に少しだけ原稿を削ってみることをオススメします。


今回のまとめ

小説のちょっとしたコツ「完成前に原稿を削る」でした。

  1. 完成までの進め方には定石がありそう

  2. 最初は抑えて→次に加筆し→最後に削る

  3. 初稿は完成原稿の8割ほどに抑える

  4. 修正しつつ加筆して味を加える

  5. 最後に冗長な部分を削る

削るとだいたい良くなるので、修正したままになっている人は、一度削る作業をしてみるといいです。

それではまたべあー。


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