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読書記録①

書こう書こうと思っているうちに時間が経ってしまったのですが、5月ごろに買った10作品。
読んでから時間が空いてしまったこともありちょっと忘れかけのものもあるのですが記録します。

SNSで本を紹介している方の投稿で気になったものをちょこちょこ保存していたのですが、初めて実際に買ってみました。以下4(5)作品です。

正義の申し子 染井為人(角川文庫)

主人公は、現実では引きこもりの純、タイガーマスクを被ればYouTuberジョンとなる青年。生配信中に悪徳請求業者に電話をかけておちょくったところ、大好評。対面での直接対決を目論む中で、高校生の妹や半グレも絡んできて…というストーリー。だんだん”純”と”ジョン”の主従関係が崩れていく様子も興味深かったのですが、話のテンポに乗り気れず…でした。

スイッチ 悪意の実験 潮谷験(講談社文庫)

「純粋な悪」について実験するというストーリー。
実験の報酬はアクションを起こしても起こさなくても1ヶ月で100万円。しかも内容は「押せば幸せな家族が破滅するスイッチ」を持って生活するだけ。押したくなければ押さなければ良いだけなので、最高のアルバイトですよね。
参加者みんな押すわけないと思っていたし、自分もそのつもりはなかったのに、実験最終日にハプニングが起こります。
スマホを置き忘れてしまっていた間に、なんと自分のスマホからスイッチが押されてしまったのです。
誰がなぜ押したのか。実験対象となった家族も巻き込んだ最高のミステリーでした!

ドグラ・マグラ(上・下) 夢野久作(角川文庫)

この作品はとにかく読むのが大変だった!文庫本だと1日で1冊読み切ることが多いのですが、上下巻それぞれに2週間弱かかった気がします。
「一度は精神に異常をきたす」とも言われる日本探偵小説三大奇書の1つですが、”何も記憶がない”主人公と同じ目線に立って世界を見ているうちに真実がぐるんぐるんと変わっていきます。
記憶を失う前の「私」に何が起こったのか、目の前に現れた2人の教授は何を知っており何を意図しているのか、母と婚約者を殺した「呉一郎」という人物と「私」にどのような関係があるのかなど、数々の資料を読みつつ探るのはかなり労力が必要で、読み終わってからもはっきりとした答えは得られないままでしたが、一度は読んでおいて良かったと思える作品でした。

あの日、君は何をした まさきとしか(小学館文庫)

高校入学を控えた男の子の事故死と殺人事件の重要参考人の失踪。15年の時を隔てて起こった2つの事件がつながり、人々の愛と闇から「何をした」のかが明らかになります。
どこか歪に感じられる登場人物たちに、終着の見えない展開にと一気読み必至でした。
幸せな家庭だと信じていたのに、自分の息子が脱獄犯と間違えられ追われた挙句亡くなったら、後ろ暗いことが何もないと思っていた息子に別の面があると知ったら。自分が何を信じ、何に縋ってしまうのかちょっと怖くなってしまいます。

彼女が最後に見たものは まさきとしか(小学館文庫)

上の作品の隣にあって面白そうだと思ったので一緒に購入。
こちらは、クリスマスイブの夜に発見されたホームレスらしき女性の遺体と、その女性の指紋が検出されていた1年前の男性刺殺の未解決事件から、「彼女がなぜ殺されなければならなかったのか」を探っていく物語。
生前の彼女、亡くなった男性の妻、事件を追う刑事の目線からそれぞれ物語が進むのですが、気になる動きはありつつも事件のつながりが見えずにゾワゾワ。関係者たちの人生をえぐり出しているようでもあり、温かく包み込んでいるようでもある独特な感触のミステリーです。
ラスト1行は納得、衝撃、切なさ、温もりとさまざまな感情を一度に押し寄せさせるものでした。
『あの日、君は何をした』に続く、三ツ矢&田所刑事ペアも魅力的。

以下5作品は自分で選んだもの。今回は平置きされていた映像化作品中心に選びました。

望郷 湊かなえ(文春文庫)

「白綱島」を舞台に、その島に想いを抱く人々の現在と過去を交互に映し出したミステリー短編集。解説にある通り、事件が発生しその解決へと話が進むというミステリーの型ではなく、解決して初めて「そこに謎があったのか!」と気付かされる作品でした。
私は今まで同じところでずっと暮らしてきて、故郷を離れる経験をしたことはないし、だからといって「故郷に縛られている」という思いもありません。作品の中で剥き出しにされたような登場人物たちの心情はどこか新鮮に感じました。
普段解説をしっかり読むことはないのですが、光原さんが書かれたこの本の解説は読みやすいかつ興味深く、まるごと1冊楽しめる作品でした。

万引き家族 是枝裕和(宝島社文庫)

興味はあったものの映画の予告ぐらいでしか内容を知らなかった作品。
一番小さい女の子が家族に入ってきたのだと思っていたので、そういう家族の形だったのか!!と衝撃でした。りんが来てからの絆と日々の煌めきと、「祖母」の初枝が亡くなってから明らかになる家族の真実のやるせなさ。読んでいて緊迫感を感じつつもふっと心が解ける瞬間もあり、でもやはりぎゅっと苦しくなってしまう、グングンと引き込まれる作品でした。映像でしっかり観たい。

怪物 佐野晶(宝島社文庫)

映画で見たいと思いつつなかなか時間が取れないままだったので購入しました。こちらも読んで映画館で観たい欲がムクムク湧いてきたので、終演前に行きたい。(と思っていたのですが、ぐずぐずしているうちに終わっちゃったみたいです…💦)
下の『正欲』もですが、人によって見えている世界が違って、自分に見えるものを信じてしまう、という当たり前をまざまざと見せつけられ薄ら寒さを感じました。隠したい人、知りたい人、触れたくない人などなど…。校長先生がどんな人なのかもっと知りたい。
『万引き家族』も『怪物』も衝撃がすごかったのに、だからこそ言葉が出てきません。

正欲 朝井リョウ(新潮文庫)

多様性というと、LGBTなど「どのような性別を持ちあるいは持たないのか、そしてどのような性別を性愛の対象としあるいはしないのか」ということがぱっと思い浮かびます。そのような人のありかたは「正しさ」の1つとして広まってきたようにも感じます。
では、小児愛者はどうでしょうか。人が何を愛そうと自由、犯罪を犯す人が悪いのです。
この作品は、「あるもの」に性欲を感じる人たちを描いています。”オフ会”の写真などから児童ポルノとして摘発されたという記事から物語が始まり、その”オフ会”に参加した人、関係する人の目線からなぜその”オフ会”が開かれるに至ったかを見る中で、『怪物』のように印象ががらりと変わってしまいました。このような真実を持つ事件があるのかが全く想像できないからこそ、自分が誰かを傷つけていないか怖くなってしまいました。
以下は物語の最後に出てきた印象に残っているセリフです。

「いいですよね、どうにかして生き延びるために選んだ道を、そんなの現実的に有り得ないって断罪されないって」

『正欲』 朝井リョウ

禁じられた遊び 清水カルマ(ディスカヴァー文庫)

もうすぐ映画が公開されるみたいですね。
読んでいてとにかくホラー!怖すぎる!映画なんて絶対観れない!!って感じでした。
「トカゲのしっぽを埋めて毎日呪文を唱えたらまた体が生えてくる」という冗談を信じ込んでしまった息子。妻・美雪が事故で亡くなり、息子が拾った指先を埋めたことから始まる恐怖の日々。かつての浮気相手・比呂子も巻き込まれ、解決しようともできないのがエンドレスに怖すぎる!心拍数MAXで一気読みしちゃった作品です。調べたら続編もあるみたいですね!読みたい!

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