すみさん

総合診療などやってます。自己研鑽のために日々の振り返りをメインにnoteを作成していま…

すみさん

総合診療などやってます。自己研鑽のために日々の振り返りをメインにnoteを作成していますが、研修医や後輩を指導する立場になったので指導者側での知識のまとめも作成していきます。将来は総合診療医として地元和歌山の田舎の診療所で地域医療をしていきたいと思っています。

マガジン

  • 僕にとっての〇〇。

    自分にも子供ができました。「〇〇ってなに?」と聞かれたときに答えられるように、自分のものごとの考え方を知っておこうと思います。あくまで「僕にとっての」で自分の言葉で子供に伝えられればと思います。

  • 進化するまでレベル上げ

    日々の臨床振り返りとは別に、経験値をため地道にためる。ガイドラインやレビューを読んでまとめたりします。

  • 教える側になっちまった

    研修医、専攻医を指導する時に参考になればうれしい限りです。総合診療に関わる内容も載せていきます。

  • 日々の臨床の振り返り

    経験はスルメです。噛んで噛んで旨味が出てくるまで噛んで見ましょう。日々の臨床を振り返り、明日以降の自分にとっての学びとします。

最近の記事

  • 固定された記事

研修医を導くフィードバックの技法

フィードバックは最も効果的な人材育成の方法とされています。 それは、フィードバックは経験学習を効果的に回すための指導方法であり、個人の成長の7割が直接経験から得られるとされていることからも納得がいきます。経験に勝る学習はなく、OJT(On the Job Traning)は研修医教育の要です。 経験学習経験学習の全体像 経験学習について学んだのは研修医2年目の時で、そのときに松尾睦先生の”職場が生きる人が育つ「経験学習」入門”を読みました。 以下の図はその書籍を参考に作

    • 僕にとっての「愛するということ」

      ドイツの精神分析の研究者エーリッヒ・フロムのベストセラー「愛するということ」を読みした。 哲学心理学系の古典の訳本ってことで非常に読みづらいです。有名な本なので要約も様々なサイトでされているのでそちらを参考にするでも十分かなと思います。  僕自身、結婚して3年、昨年に長男も産まれて三人家族となりました。家族や妻を「愛する」とはどういうことか?どういうことに気をつければ正しく「愛せる」のか?ということに興味がありこの本を読みました。 内省のためにはフレームワークやツールを

      • たまにはCPSでも読んでみる。「A Swell Diagnosis」。非炎症性の繰り返す腹水と腸管壁肥厚をみたら遺伝性血管性浮腫を考える。

        2024.1.4のNEJM CPS「A Swell Diagnosis」 リンク:https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMcps2307935 生来健康な男性で、19歳からの繰り返す突然の腹痛、数時間で自然軽快するが頻回の救急受診となっていた症例。  嘔吐はあるが発熱や下痢はなし。腹痛後数時間排便がないことに気づいた。  腹部軟、中腹部に軽度の圧痛ていど、カーネット陰性。  血液検査で好酸球や肝胆道系酵素、CRP、血沈など

        • 第1子生誕前後の我が家の年末振り返り。家族内、組織内の「健全な相互交流」について考えてみる

          あけましておめでとうございます。2024年になりました。 2023年をざっくり振り返ると、仕事に関しては医師5-6年目で田舎の150床程度の病院で総合診療医として勤務させてもらい、その次に診療所勤務で慢性期の予約外来と継続的な在宅グループ診療に携わらせてもらいました。 週1回の救急外来で後輩指導もしつつ、自分も指導する側に年次が上がってきていることを実感しました。 私生活では、妻が妊娠し年末に第1子が生まれました。 その第1子が12/29から嘔吐しだして肥厚性幽門狭窄

        • 固定された記事

        研修医を導くフィードバックの技法

        • 僕にとっての「愛するということ」

        • たまにはCPSでも読んでみる。「A Swell Diagnosis」。非炎症性の繰り返す腹水と腸管壁肥厚をみたら遺伝性血管性浮腫を考える。

        • 第1子生誕前後の我が家の年末振り返り。家族内、組織内の「健全な相互交流」について考えてみる

        マガジン

        • 僕にとっての〇〇。
          2本
        • 進化するまでレベル上げ
          9本
        • 教える側になっちまった
          2本
        • 日々の臨床の振り返り
          20本

        記事

          振り返り19 一過性全健忘(TGA)とその鑑別疾患

          救急外来でたまに出会う一過性全健忘。 それに類似した記憶障害の症例を救急外来で研修医から相談を受けたのですがあまり詳しくなかったので、一過性全健忘その鑑別疾患について症例を振り返りながら整理します。 症例:80代の男性高血圧以外に既往のないADL自立の80代男性が3日前からの記憶障害で受診された。本人がここ数日の記憶がなく、今朝のことも覚えていなくて困っているというのが受診動機であった。頭部外傷や痙攣は経過中になし。 バイタルサインと身体所見に問題はなく、意識は清明で改訂

          振り返り19 一過性全健忘(TGA)とその鑑別疾患

          症例15のその後 Ilioinguinal nerve entrapment(腸骨鼠径神経の絞扼)、carnett徴候は下肢挙上でも取るべき。

          症例15のその後の経過です。 症例は右側の慢性陰嚢痛+右腰部〜下腹部がある男性でした。 症例のその後 その後腹部CT検査を実施したものの虫垂含めて特記所見はなく、便潜血は毎年陰性でしたが大腸癌検索目的にCFまで実施しましたが回盲部まで含めて特記所見はありませんでした。 通院開始して半年時点での診察での所見で、やはり上前腸骨棘内側下方に鼡径靱帯から1-2横指上に帯状に圧痛を認めました。 ここはACNESで良く痛みがでる部位に近いのではないか?と考えましたが圧痛店がやはり

          症例15のその後 Ilioinguinal nerve entrapment(腸骨鼠径神経の絞扼)、carnett徴候は下肢挙上でも取るべき。

          振り返り18 便秘症は訪問看護の導入のしどころ?

          訪問看護の導入の目安は案外難しい。 分かりやすいのは①内服管理②疾病管理に在宅での専門職の目や手や知識が必要なときに導入するということ。 心不全や褥瘡、医療処置として尿カテや胃瘻を使っているというのはそういう状況として想像しやすい じゃあ便秘での訪問看護導入ってどうですかね? 症例:90歳男性 便秘症 最近パーキンソニズムが出現してきてMRIからは進行性核上性麻痺が疑われている方。ながらく便秘症で酸化マグネシウムとセンノシドを使用しているもののコントロールはいまいちだっ

          振り返り18 便秘症は訪問看護の導入のしどころ?

          症例振り返り17 頭部外傷で見落とすと危ない首のこと。外傷性頚髄損傷は骨折がなくても起こりうる。

          月1回の日直にいってきました。 救急外来はコロナとインフルで賑わっています。さすがに発熱も飽きてきたぞと思いつつ見落としがないよう引き締めないとと頑張ってきました。 そんな発熱外来をPPE着ながら回している最中に他の先生から相談を受けました。 症例:高齢男性の頭部打撲 施設で暮らす、ADLは車いすで移乗は何とか自力でできる高齢男性。 昨夜に転倒して前頭部をぶつけて、今朝は車いすに座るとずり落ちそうになり食事も普段自力で食べられるのが介助が必要で、若干むせるようになっ

          症例振り返り17 頭部外傷で見落とすと危ない首のこと。外傷性頚髄損傷は骨折がなくても起こりうる。

          心理的安全性のあるチームとは

          研修医教育のための知識。 前回は経験学習とフィードバックについてでした。 今回は心理的安全性についてです。 一冊読んどくかと読んだのがこの本です。 心理的安全性「心理的安全性」の歴史 「心理的安全性」はハーバード大学で組織行動学を研究するエイミー・エドモンドソン教授が1999年に概念を提唱した言葉です。 エドモンドソン教授は、企業活動における様々な成功事例、失敗事例について、その要因がどこにあるのかを調査し、ある共通的な因子があることを発見しました。 その共通的な因

          心理的安全性のあるチームとは

          たまにはCPSでも読んでみる。「It’s All in the Timing」造血幹細胞移植後の酸素化低下の考え方。

          診療所で働いているので入院加療に関わることが少ないですが、たまにはそういうことも考えないといけないな~とNEJMのCPSをたまに読んで記録しておこうと思います。 今回はN Engl J Med 2023; 389:940-947から。 AMLで造血幹細胞移植後、2.5週たったところでの急激な酸素化低下で発症したPERDS(periengraftment respiratory distress syndrome)でした。移植関連の合併症は良く知らないですけど、感染症をケア

          たまにはCPSでも読んでみる。「It’s All in the Timing」造血幹細胞移植後の酸素化低下の考え方。

          振り返り16「胃粘膜下腫瘍」「高TG血症」

          「その場の1分、その日の5分」を目標に雑多に振り返っていきます。 胃のSMTの取り扱いSMTはGISTか否かが重要。 GISTとは?「2cm以下の胃粘膜下腫瘍をどう取り扱うか」より 間葉系細胞が腫瘍化した ものを消化管間葉系細胞腫瘍(gastrointestinal mesenchymal tumor:GIMT)と総称する.GIMT はさらに,平滑筋への分化をしめす smooth muscle type,神経系への分化を示す neural type,双 方への分化を示す

          振り返り16「胃粘膜下腫瘍」「高TG血症」

          症例振り返り15 慢性陰嚢痛で陰嚢外の原因を探る

          症例 50歳男性 生来健康で手術歴のない方の右下腹部痛。 2-3カ月前に右腰部痛が先行。 1月前から続く右下腹部の圧迫感で、陰嚢を握られる感じ日に何回もあった。 増悪因子:足を閉じての座位、立位、側臥位で増悪。前かがみも。 緩解因子:右股関節を外転してると楽 陰嚢は問題なく、右下腹部の鼡径靱帯の1横指上に靱帯に沿って深い触診で圧痛あり、Carnet徴候は陰性でした。 脊椎由来の神経痛かとも思い診察するも否定的な結果でした。 採血、エコー、腹部CTでは特に所見はありませ

          症例振り返り15 慢性陰嚢痛で陰嚢外の原因を探る

          振り返り14「耳鳴り」「全身性接触性皮膚炎」「PMS(月経前症候群)」「家族性高コレステロール血症のアキレス腱測定」

          「その場の1分、その日の5分」を目標に雑多に振り返っていきます。 「耳鳴り」のアプローチ 「最近耳鳴りが多い気がするんですけど、数分でなくなるんですけど何でしょうか?」って聞かれました。よくある訴えですね。 AFPのTinnitus: Diagnosis and Managementをちらっと見てみました。プライマリケアの場で良くある主訴や疾患はだいたいAFPで検索して調べるとうまくいくな~って最近は思ってます。 耳鳴りは1次性と2次性に分けられて、主に1次性。騒音性

          振り返り14「耳鳴り」「全身性接触性皮膚炎」「PMS(月経前症候群)」「家族性高コレステロール血症のアキレス腱測定」

          熱性けいれん(熱性発作)ガイドライン2023の勉強まとめ

          CarenetTV「ガイドラインから学ぶ熱性けいれんの診療のポイント」 とても分かりやすく、特に自然終息性けいれん症候群(良性機会性けいれんと特発性てんかんは同じ病態と考えてよい。)でのコップ+水+揺れの説明が納得でした。 けいれんの分類の話小児のけいれんでは良性機会性けいれんがが圧倒的に多い 良性機会性けいれんと素因性てんかんの違いは誘因の有無だけで、基本的には「正常な脳におこる体質によるけいれん」なので年を取ればけいれんが起こらなくなる予後良好なものである。 両者は

          熱性けいれん(熱性発作)ガイドライン2023の勉強まとめ

          症例振り返り14 その高Ca血症はPHPT?SHPT?

          また電解質の悩みです。高Ca血症について、VitDが測れるようになってそのアセスメントがよりややこしくなっているんだと思います。 Caの動態についてCaの99%は骨にある 血中Caの40%はアルブミンと結合している Caの変動に関わるのは副甲状腺ホルモン(PTH)、VitD、カルシトニン PTHの作用とフィードバック機構 PTHは基本的に血中のCaを上げて保つホルモン 作用は主にPを上げず(どちらかというと下げて)にCaを上げる 機序は ①骨からPとCaを血液に動員

          症例振り返り14 その高Ca血症はPHPT?SHPT?

          症例振り返り13 低K血症はK動態を考えないと面白くない。偽性アルドステロン症を深めてみる

          電解質異常の診かた。なんとなくできるようになって日々流れて行ってしまうことが多いですがきっちり生理学から分かっておくと理解が進むなと思います。 症例 80代 独居/認知症の女性 福祉協議会の宅配弁当の見回りだけがサービスとして入っていた独居認知症の女性。かかりつけや内服はなし。自宅生活は謎だらけ、数年間入浴はできておらず、近くの木の実をたべる姿が目撃されたり、何重にも衣類を重ね着してひもで縛った姿で、動きは活発であった。 サービスセンター長から足が腫れているとのことで来

          症例振り返り13 低K血症はK動態を考えないと面白くない。偽性アルドステロン症を深めてみる