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アスリート、クリエイター:「お金」の話

駅伝を中心に男女長距離種目の選手は「実業団」というシステムがあり、確かに「恵まれて」はいます。

雇用されている場合、引退後も会社に残れ、ある程度仕事も少しずつ移行していける。金銭的待遇はどうかというと、もの凄くいい!というところは案外少なく、近年の「有能な若手」を抜擢採用するときの待遇などと比べれば同等か、それほどでもないと思われます。

雇用である以上、枠も限られてくるので(一部署のような感じで考えてみてください)、新入社員が入ってくると、誰かが異動(引退、退社)しなくてはいけません。

競技をやっている間は、仕事は午前中だけだったり、午後早めに上がって、勤務時間に含む形で「トレーニング」を組み込むことが多い。これからはどうなるか解らないけれど、土日のトレーニングなどを考えるとやや就労オーバーになるかもしれない。

そこのところで「契約選手」という方式も増えてきた。勤務時間が「なし」もしくはトレーニング(競技)がメインで、残り時間を仕事にあてる「主客」が違う形での待遇。

両者とも「勤務」からの考え方なので「競技」に関しても「社業」の一部として、「仕事」という感覚になりやすい。まあ、ちょっと冒険はし難いですね。

競技者として価値を高め、セカンドキャリアに向けて備えよう!といっても、上記のスタイルだと、いずれは「会社」の中で異動し、仕事に入っていくわけで。競技面以外の「価値創出/向上」は図る意味(動機)があまりなかったりします。(下記参考mynoteにリンク

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セカンドキャリア問題が一番発生するのは同じ「契約」でも、雇用や契約社員という形ではなく、「委託契約」のようなパターン。あくまで選手は個人事業主で、アスリートとして会社と契約している場合、これは契約が切れると若いうちでも一人で放り出されるので、結構厳しいです。

他にも、社員、契約社員でも退社ないしは契約を切られる場合は上記と同じ問題が発生します。

ここで元々の賃金や報酬が物凄く良くて、独立資金が豊富にあれば「次」のことを動かす準備期間が取れます。が、そうでない場合非常に大変な思いをすることになります。で、実際は後者が多いわけです。

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アスリートとして結果を残そうと考えれば自己の生活費だけでなく、活動費が必要です。レース出場に関わる遠征費や、トレーニングに関連するもの、意外と高いのがケアに関わるお金となります。用具代も勿論掛かるのですが、長距離選手はそのあたりまだましですかね。

で、個人でぽーんと放り出される形になる選手(引退後/指導者含む)は結果が出ていない、実績がない、実績があっても故障などで短期的成果が見込めない場合が多いです。

また、結果を出せばスポンサーが付いたりする。依頼も殺到する。それもそうですが、そうなるまでにはタイムラグが発生します。その不安は尋常なものではありません。困窮してでも、と言える人はそんなに多くはいないでしょう。

そういう事情の人が独力で生活の糧と競技資金(環境)を創り出せるのは相当難しく、ある意味でそういった才能を秘めていないとなかなか実現は難しい。なので、結局「引退」し、働くことで生活だけはなんとかしていくことになる。

そうやって幾ら惜しまれ、良き才能が認められていても、競技続行は難しくなっているのが現状です。

セカンドキャリアの問題が業界全体もしくは仕組み構築、エージェントなどが必要なのは長距離選手に限って言えばこの層が一番だろうと私は考えます。

すぐさま自分の価値を提供できる状態ではなく、実績にも乏しい。だけど、今後の活躍見込みはあるし、残された期間もまだまだある選手。これは指導者やトレーナー、栄養士などにも言えることだでもあります。

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ここで思い浮かぶのが「クリエイター」などの存在。(下記リンクにて)もちろん、会社勤めしながら作品を残す人も多く居られるでしょう。しかし、質量ともにその人の「その才能」を完全に発揮して頂こうと考えた時には「専念」しないと難しいタイプの人も居られると思います。

仕事をしながらある程度「ファン/読者/愛好家」が付くような作品を作り続けられるのも総合的な意味での「才能」だと思います。

これは走りながらある程度(準エリートレベル)の結果を出せる、実業団ではない一般ランナーのトップ層はその才能を持ち合わせているような感じがします。

でも、これは甘いと言われるかもしれませんが、トップを目指す選手にとって「走る才能」を持っていても、両立する才能が乏しい人も勿論居ます。文武両道と言われる学業との両立も、真面目に取り組みましょう!という話しでなら賛同しますし、前提だと思いますが、両方とも高いレベルでやりましょう!となると、やはりそこには「才能」問題、素質に関する問題が出てくると思います。(日本版NCAAについてもそのあたりがどうか?下記リンク参照」

両立、仕事しながら/稼ぎながらパフォーマンスが出せる。上げていける。作品が生み出せる。これが出来るならやりたい!だけど、実際は大変です。

作家さんでも、文筆とあらゆる「文才」を発揮しようとすると、「兼業」だとやはり二重生活な訳で大変だと思います(体力/気力/過労等)ワークライフバランスといっても難しいでしょう。

ですが、「専業」となると生活の糧と作品を生み出す「トレーニング資金」が必要になります。ですが、実際は一気に困窮することが予想される訳で難しい。かくして、出版の世界も「本当に面白いもの」が質量ともに「潜在」のままというのも考えられないでしょうか?

読者としては出来れば好きな作家さんの作品を大量に読みたいと思います。作家買いのような形。そういった読書家のニーズに応えようとすれば一部の「兼業としての才」が無ければ、専業でやらないと難しいと思いますが、それでは生活も創作の糧も不足する。だから出来ない。

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ここに至ってようやくはあちゅうさんの議論を呼んだ「ファン」に対する投稿の意味が理解できます。

例えば、熱心な「読者」を信じて「専業」になったとします。経緯としては、〇〇さんの作品をもっと読みたいです!アスリートの〇〇さん、引退しないでもう少し頑張ってください!応援しています。引退は勿体ない!などなど。

ならばと「その気」になって専業になり、作品/パフォーマンスを売り出します。が、思惑通りに売れない。となると、たちまち困窮します。これは別に「読者」や「ファン」が裏切ったわけではなく、そういった事情までは別に考慮する訳ではなく、ただ「応援の声」が届いただけだったりします。

そのあたりの読みが難しい。そしてその読みが簡単に出来るのもその人の素質だと思います。

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上記を踏まえ、"本当の意味"でそのアスリートや作家(クリエイター)が専業でやっていく為にはそういった活動/生活を支える資金や場の提供を誰かが行わなければなりません。

実業団に居て、マラソンに専念して欲しい!とファンが願っても、ファンが「株主」のような形で支援していればその声に応じることが出来ますが、そうでなければお金を出している会社が株主な訳で、その思惑を批判することは出来ません。

同様に、その作家の作品/シリーズを愛好していても売れなければ続編は書けません。例え売れても打ち切られることは出版側の事情で決まることでしょう。それを防ぎ、ファンが求める形で書いてもらうためには、その作家を直接支える必要(株主)があるでしょう。

これがはあちゅうさんの言いたかったことでしょうし、今のはあちゅうさんが置かれている状況だとも思われます。私もそうですが、依頼やオファー、資金や場がなければ「専業」ではやっていけません。2014年より個人事業主としてやってきていますが、「価値を生み出すこと」や「お金」に関すること、「契約」などに敏感になっていくのはそういった事情が大前提にあります。

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こういった形でようやく個人事業主やフリーランスも「独立」という部分が保護されます(主管はどこでしょう??厚労省・労基署?)

これにより活動の根幹の1つは担保されます。が、先述したようにそれだけでは不足で、贅沢は言わないにしても家族を養い、生活し、作品の糧を稼げるまではまだまだ困難です。

計算すると、「ファン」が500人居て、毎月1人1000円を直接払ってくださると生活は出来そうですね。(50万/月)雇用で50万だと多そうに見えますが、個人事業主の場合、ボーナスはないですし、ここから経費や税金や年金やら活動費を全部出すわけですから、思っている以上に「生活費」にあてられるものは少なくなります。まして、活動資金にどれほど回せるか??

この辺の「金銭感覚」のズレもあると思います。

いい作品、ハイパフォーマンスを実現する為には資金は幾らでも欲しいわけで、「贅沢」に使いたいという人は少ないと思います。(もちろん居るのは居るでしょうけど)そこをどう考えるかは支える側の価値観ですし、誰を支えるかも強制される訳ではないので、自由だと思います。

こうツイートしましたが、このnoteでは比較的簡単に(クレカ登録くらいの手間)クリエイター(投稿者)に投げ銭やサポートすることが出来ます。直接支援が出来るので、ある意味「ファンクラブ」や「後援会」というものを設立せずとも応援できるという有難い仕組みとなっています。

有料noteやマガジンも容易に販売できるので、例えばこの人にもっと作品を生み出して欲しい、居なくなっては寂しい!と思う人をサポート/購入すれば直接届きます。支えられます。

こういった仕組みでなくても、アスリートなら所属するチームや団体において、もしくは個人事務所や後援会などに「寄付」という形で支援することも可能です。

この手間を乗り越えてでも「サポート」頂ける人が多く居れば、その才を存分に活かせる機会が多く与えられます。

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結び

長々と事情や考えを書き連ねました。あまりお金の話はしない方が良い。そういう風潮や文化はあると思います。忌避される感じ。

ですが、実際の活動においては相当なウエイトを占める要素で、箱根駅伝にしても大学のブランド×投資(インフラ整備、学生支援、指導者支援)などで成績が大きく変わっていきます。

大学をせっつくのも良いですが、そのチームを応援する為に、直接支援/サポートすることも出来ると思います。

日本版NCAAが設立される上で、大きな課題がそのあたりにあるような感じがします。エージェント人材を、マネジメント人材を。地域スポーツとしての指導者を活用しようと言っても、今は「人材活用」出来る状態にあっても、次代を育てる仕組みが無ければ枯れていきます。

部活動改革で一番危惧するのがそこで、外部指導者の活用という文言で、「ボランティア」という形で無償ないしは少額しか出ないのであれば、「兼業で趣味」程度だったり、「余暇」であったりのボリュームは増えますが、トップを目指すプレイヤーも指導スタッフも育成できません。もちろん、それを「部活」や「学校」に委ねようという話しではなく、地域や個人で支える文化と意識を生み出していきたいところ。

「活用」はいいけど、その活用できる「人材」を今だけでなく、これから供給できるよう誰がどう育成/支えるかの問題。

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個人事業主としての私の活動やサービス内容も変遷しています。稼げない事業は打ち切り、稼げる/稼げそうなところに力を入れて行かないとやっていけません。

オファーや依頼にしてもそういった視点で判断、決定せねばなりませんので「こういう形ならオーケーだけどな」という風に考えています。

ですので、依頼/オファーなど検討頂ける場合、気軽にご相談ください。対価と契約の内容で決定することになるので、最初から躊躇されたり、思い込みで「多分無理だと思って・・・」と後で言われると残念に感じることもあります。

今後、フリーランスやクリエイター/アスリートが増加していくかもしれません。が、そういった方向を目指すならどうやって糧と活動資金を得るかを第一に考える必要はあるでしょう。それが「セカンドキャリア」にも繋がりますし、今後の創作活動の土台/大前提となるでしょう。

お金の話や協力/協働や企画を複数人で立ち上げるのも必要でしょう。どんどんそういった意識や文化が醸成、拡がることが大切だと思います。

AIだけではないですが、ヒトの仕事がAIやロボットに置き換えられたとき、上記のような問題は多くの人に発生します。

はあちゅうさんの言動全てが賛同でもなく、ちょっと相容れないと感じる部分ももちろんあります。が、こういった「クリエイト」の活動を最前線で戦っている印象が強くあります。同じような意味でその活動を注目している方々も居ます。

大いに参考にしつつ、自分がやれることは何か?そして、どうやって糧を得るかを考え続け、試行錯誤し続けます。

今のうちに考える習慣を。行動する習慣を作っておくのが良策だと考えます。先ずは神屋をサポートする/note購入するところからどうぞ(笑)もちろん、KRC(Kamiyaランニングクラブ)への参加、パーソナルレッスンやメール相談、依頼などもオーケーです!


参考mynote



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