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商標法 判例 For brother事件(東京地裁平成16年6月23日, 平成16年(ネ)第3751号)

 この判例では、インクリボンに付された「for brother」「ブラザー用」の文字は、商標として使用されていない(商標的使用ではない)とされました。

この判決の後、2014年法改正で、商標法26条1項6号(前各号に掲げるもののほか、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができる態様により使用されていない商標)、が規定されています。

・判決文抜粋

(2) 被告製品の商標権侵害について,検討を進める。
 証拠(甲6~10(枝番号を含む))及び弁論の全趣旨によれば,ファクシミリに使用されるインクリボンにつき,ファクシミリのメーカー以外の業者が製造,販売する実例が見られ,その場合には,「対応機種」との表示に続いて当該メーカーの名称が記載されたり,「○○」部分にメーカーの名称を入れて「○○用」と記載されたり,「適用機種」・「メーカー名」との表示に続いて当該メーカーの名称が記載されたり,「○○」部分にメーカーの名称を入れて「FOR USE ON ○○」と記載されたりして,このような表示によって適合機種が示される実情にあることが認められる(このような態様の表示が直ちにメーカーの商標権侵害となるものとは考えにくいが,その具体的な表示のいかんによっては商標権侵害となり得ないわけではないであろう。なお,控訴人の主張では,甲6と10のものは控訴人の抗議により使用されなくなったとのことである。)。被告製品では,原判決認定のとおり(乙1~4),「For brother」又は「(新)ブラザー用」と記載されているものであり,上記の流れに属するものと認められる。
 これらの事情に照らして本件をみるに,本件「brother」又は「ブラザー」との表示に接した被告製品の一般需要者は,控訴人が被告製品の製造者又は販売者であるとは速断せず,むしろ,「For brother」又は「(新)ブラザー用」との態様で表示されていることから,これらの表示が適合機種表示であって,被告製品はファクシミリのメーカー以外の業者により製造,販売されるものであると認識する可能性の方が高いものと判断される。これに,前判示のように,「OHM ELECTRIC INC.」及び「お客様相談室」の表示などから,被告製品の一般需要者は,「 OHM ELECTRIC INC.」が被告製品の製造者又は販売者であって,控訴人とは別の主体であると認識するものと認められることをも考慮すると,被告標章が自他商品識別機能や出所表示機能を発揮しているとは認められない

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/826/009826_hanrei.pdf


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