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憲法13条 肖像権

1.肖像権

 肖像権とは、自己の肖像(写真等)をみだりに撮影・使用・公表されない権利をいいます。

肖像権は、個人の尊厳の保障を趣旨とする憲法上保護に値する権利であり、特に、憲法13条を根拠とします。

通説によると、肖像権はプライバシー権と、パブリシティ権とを有します

プライバシー権は、個人の私生活上の情報を守るための権利です。一方、パブリシティ権は、著名人の影響力などを財産ととらえて、その財産を独占的に使用する権利です。

なお、写真撮影者にも人物の写真を撮影等する表現の自由(憲法21条)が認められています。しかし、原則として、肖像権を侵害することはできません。したがって、他人の肖像を撮影、使用、公開する場合には、公共の利益を図る目的、撮影態様、内容の合理性、必要性が要求されることになります。

 肖像権侵害の判断基準は、①個人を特定できるか否か、②場所が自宅などのプライベートな領域か否か、③広く拡散される可能性の有無、です。
具体的には、一般人の顔や容姿が明確な写真をSNS上にアップロードした場合には肖像権侵害になりえますが、駅前等の人通りの多い場所における写り込みといえる場合には、肖像権侵害となる可能性は低いといえます。

 なお、他人の依頼で、その他人を撮影した場合は、例外的に肖像権侵害にはなりません。

2.判例等

 ファッションを紹介する目的で、歩行中の女性(芸能人・著名人ではない)を無断で撮影し、被告が管理するウェブサイトに掲載したことが肖像権の侵害にあたるとして、損害賠償請求が認められた例(平成16年(ワ)第18202号)があります。この例では、顔がはっきりと分かる態様で、女性が着ていたのは、胸に赤く大きい「SEX」という文字が施されたデザインだったようです。

 写真週刊誌のカメラマンが刑事事件の法廷において被疑者の容貌、姿態を撮影した行為が違法とされています(最判平成17年11月10日(平成15(受)281))。具体的には、「人はみだりに自己の容ぼう,姿態を撮影されないということについて法律上保護されるべき人格的利益を有し,ある者の容ぼう,姿態をその承諾なく撮影することが不法行為法上違法となるかどうかは,被撮影者の社会的地位,撮影された被撮影者の活動内容,撮影の場所,撮影の目的,撮影の態様,撮影の必要性等を総合考慮して,被撮影者の上記人格的利益の侵害が社会生活上受忍すべき限度を超えるものといえるかどうかを判断して決すべき」としています。

 別の例ですが、最近一年くらいで話題になった(と思う)不倫現場の写り込みでは、肖像権侵害を主張すると、本人であることを自認することになる(不倫の自認?)、という苦しい例があったと思います。

●判例リンク
・最判平成17年11月10日(平成15(受)281)
 https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52388

●参考文献
・毛利透・小泉良幸・淺野博宣・松本哲治(著)『憲法II 人権 第2版』(有斐閣,2017)

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