「ここって、栄養はあるんだけど苦いのよね」ピーナッツをそっと割って、その先の胚芽を、白く細い指先で上手に取りながら彼女は言った。そんな半世紀前の光景が、深くボクの心の底で、いまだに蠢くことがある。その手を握ったこともなく、彼女と過ごした数日間は、多分、男性への助走だったのだろう。
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