a man in empty

何もない空っぽなまんまで。
何もない空っぽな日常を過ごしてく。
 
あの頃は良かったとか戻りたいとか。
あの頃はあの頃で楽しかったり苦しかったり
いろんなことがあったんだろうけど。
 
記憶の中の美しかった時間を求めて
脳内で右往左往したって
目の前の空っぽは満たされない。
 
 
何のためにここにいる。
何のために生きている。
 
この先に何があるという。
空っぽがただただ続いていく。
 
生きる理由はないという。
死んでく理由も僕にはない。
積極的に死のうとは思わないだけ。
 
 
そういえば君がいたんだ。
大好きな君がいたんだ。
 
君がいまどこにいるんだ。
君はいま何をしてるんだ。
 
知る術はない。知りたくても知れない。
左手に持った機械は何の役目も果たさない。
 
 
そしてまた僕はいるのか。
大好きだった僕はいるのか。
 
僕はいまどこにいるんだ。
僕はいま何をしてるんだ。
 
理由すらない。後付けの理由も生まれない。
窓に反射する見慣れた物体は薄い光も放てない。
 
 
何もない空っぽなまんまで。
何かがある俗物だらけの街の中で。
 
ひとりぽつんと歩いて歩いて。
誘惑がひとつふたつと僕を覆って。
 
それでも何にも心は動かず。
愚かな自分だけが剥き出しになる。
 
 
夢という幻想があったらいいな。
見えない憧れにすがっていたいな。
実現しなくても存在が大切なものがある。
 
潰れた心が分散して
ひとつふたつと心を持って
たくさんの僕が生まれたらいいのにな。
 
喜怒哀楽すらめりはりがなく
一丁前にあくびだけは繰り返す
腐った男に居場所があればいいのにな。
 
 
何もない空っぽなまんまで。
何もない空っぽな日常を。
 
何もない僕は何も生まない。
何もない僕は必要とされない。
 
何もないから。何もないから。
何もないから。何もないから。