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『舞台』(西加奈子 講談社)




最後に『舞台』。

2012 年に発売された『ふくわらい』を読んだときは、余りの衝撃に倒れるかと思った。人間が生きるということを「ことば」という側面から切り取ったこと、その描き出し方の鮮やかさ、圧倒的な筆力、もうどうしようもないと思った。暴力的なまでの小説の力に呆然とした。『ふくわらい』に驚愕した方にはぜひこちらを推したい。

自意識と羞恥心に振り回される青年が少しずつ世界を知っていく物語は、滑稽で愛おしい。し
かしそれは、デフォルメされたもう一人の自分の物語なのではないか。そんな錯覚に陥ってしまう。

主人公の苦しみを体感しながら通り抜けた最後には、目の前の世界が新しく生まれ変わっていることに気付く。

(小学館きらら寄稿分より抜粋 2014年)
『舞台』(西加奈子 講談社)



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