地域団体がICTツール導入に積極的ではないのはなんでなん?問題に対する一つの仮説
新型コロナウイルス感染症の流行によってオンライン交流ツールの普及が推進されるようになりました。私が住んでいる京都市においてもICTツールを用いたコミュニティ形成を重要な方針として掲げています。
地域活動におけるICTツールの普及状況について興味深い知見を提供してくれるのが、中村廣隆・森本直樹「地域在住高齢者の情報通信機器の使用状況と社会参加の特徴」です。
私たちの関わるまちづくり界隈では、高齢者がこういったツールの利用に積極的ではない状況があるともいわれています。これはまちづくりに関わって仕事していると確かに実感するところではあります。
ただ、これはどうも「実感」の域を出ないようでもあります。例えば総務省の2020年の調査によると、SNSの利用状況について、全体で9%増加しているのに対し、60代では13%、70代で17%、80代で26%増加していることから分かる通り、高齢者ほど増加率が高いです。これまでオンライン交流ツールを敬遠していた高齢者が果敢にチャレンジしている様子がうかがえ、いわゆる「オンラインツールの利用に積極的ではない高齢者」という「実感」は、通説は誤解を含んでいることがわかります。
にもかかわらず、私たちの関わるまちづくり界隈ではオンラインツールに苦手意識がある高齢者、というイメージが根強くあるのも事実です。ということは、まちづくり界隈には、オンラインツールを使うことに消極的な高齢者が偏って存在している、ということも可能性としてあり得ます。
さて、では高齢者はそんなオンラインツールを用いて、どんな社会活動に参加しているのでしょうか。本論文では、岐阜県瑞穂市の介護保険者が高齢者を対象に定期的に行っている質問紙調査のデータから、2500人を無作為抽出し、分析しています。その結果、以下のようなことがわかりました。
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