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ある朝それは不安な気持ちだった事に気づく

早めに就寝したはずのに、午前0時丁度に目を覚ました夜、
私は手帳にひたすら思いつく事を綴った。
そのうちなんだか楽しくなってきてしまって、眠気も全然訪れなくて、
もう少しだけもう少しだけ、と色んなことに想いを馳せながら筆を走らせた。
朝方、7時をすぎても眠れない自分がいた。
そこで漸く、ああ、これがそれだったのかと気づいた。

「不安で眠れない時は服用してください」と処方された錠剤を手にとる。
そしてこの時やっと、この胸の高鳴りが不安な気持ちだったんだと気づいた。

実は私は今、休職をしてうつ病の治療を受けています。
思いがけずここで打ち明けてみますが、その時は本当に、まさか自分が、という気持ちが大きかった。
でもいざ、医療機関で、初対面の医師に、
「うつですね」
と、そう告げられた時の衝撃は忘れられない。

多忙だった昨年の後半から、今年の初め、
自分からしたら至極、好調だった。
仕事は楽しくて、やり甲斐があって、毎日が忙しく充実して仕方なかった。

でもあくまで今から思えば、なのだが思い当たる節は山ほど。
夜は眠れず未明に覚醒してしまうも二度寝して起きるべき時間には全然起きれない。ギリギリに起床し急いで支度をしてどうにか出勤するも、帰宅してからはすぐベッドに入り、いつもなら夕食を作るのにそれも全然できなくて、テイクアウトや惣菜、インスタント食品に頼る日々が続いていた。
休日は寝てばかりいたし、週末は日曜日の午後までベッドから這い出せない時も珍しくなかった。
きっと、ギリギリの状態だったんだと思う。
緊急対応で油断ができない日々が続き、そんな中で発生したケアレスミス。
上司に冷たく叱責された時、自分の中の糸がぷっつんと切れた気がした。

そしてそんな緊急対応がひと段落した翌朝、高熱が出て休まざるを得なかった。
重要なアポイントメントをリスケしなくてはいけなくて、この後のことを思うとお先真っ暗な気がした。
でもその次の日、熱は下がったはずなのに、なぜか体がうまく言うことを聞かない。

私は、ベッドから起き上がれなくなってしまっていた。

その日も重要なアポがあり、会社に休みの連絡を辛うじて入れたはいいが、
これを伝えなきゃリーダーに連絡を入れなきゃと思うのに、体が言うことを聞いてくれなくて、頭の中が雑然とした状態のままうまくまとめられずに時間だけが過ぎていった。
メッセージツールで送られてきたリーダーからの厳しい、でも至極真っ当な言葉を目にした瞬間、自分がバラバラになってしまいそうな感覚に陥って私は、気がついたら無我夢中で心療内科の初診予約を入れていた。

具体的にどうすればいいのかはわからなかったのだけど、自分が普通じゃない状態であることだけは分かったから。

そして休職期間となった2月のある日、
冒頭に至る。
しばらくは上手く他人と話せなかったり、頭の中に霧が立ち込めたようで早急な判断もできず、買い物もできず、好きな料理も満足にできず、
ベッドに潜ることしかできなかった。

自分がうつ病であることは、そう易々と認められなかった。

でも、これで漸く休めるんだと思った時、
涙が溢れた。

「感情失禁ですね」
診断で言われたそれも初耳だった。
この涙が溢れ出す現象が、症状だったなんて。
今まで職場でたまにあった事だが、私は自分の涙もろい性格のせいだろうと思っていた。

【自分はうつ病じゃない】
そう思うことがうつ病を悪化させる一因なのだと聞いて、まさにそれだと思った。

ずっとそういう性格なのだと思っていた。
月に2度か3度、朝起き上がれなくて仕事に遅刻して行ったりしたけど、出勤してしまえばどうにかこなせてしまうし、
社会人初期には自分は朝早い職に向いてないのかと思ったりもしていたから。
担当の先生の、淡々としているが論理的な説明が酷く自分に当てはまり、目から鱗だった。
おそらく私は10代の頃からうつ病だったのだろう、と。

虐待を受けていた子は、若年期に極度の緊張感を与える環境に脳の成長を妨げられ、うつ病を発症しやすい傾向にある。

そのことを、知らなかった。
教えてくれる人はいなかったし、自分がうつ病で治療を受けるべき人間であることもわからなかった。(※きっと認めたくなくて自分が耳を塞いでいたのもある)

でも今、20代後半になった今ようやくだけど、しっかり治療をしようと向き合っています。

もちろん、それ相応の時間も、お金もかかる。
でも、今、気づけて本当によかった。

希死概念なんて誰でもあるものだと思っていたし、仕事を休んでしまうのも自分の怠惰だと思っていた。

でも、病気でした。

体が動かなくなって、好きな仕事なのに続けられなくなって初めて気づいた。
やっと、気づけた。

休職をして最初、休み方がわからなかった。
罪悪感と、悔しさと、自分の無力さに苛まれて、悪夢に魘され、
何もできなくて、
起き上がれずひたすら横になることしかできなかった。

自分がうつ病に否定的(語弊があるかもしれないけれど、この表現が一番近いと思って敢えて言おう)
だったのもあり、誰にも言われていない言葉が想像に難くなく、頭に浮かんで仕方なかった。

今思うのは、きっとこんな、私みたいな虐待サバイバーが、
この世の中には沢山いるだろうということ。

20代後半にやっと気づいて、自分は衝撃的で悔しくて仕方なかったのだけれど、もしかして、まだマシなほうだったのかもしれないと考えた時、
心底はっとさせられました。

私のやるべきこと。
今は休むこと、なのですが、
回復したら、病状が改善したら私は、絶対私みたいなサバイバーのために行動をしたい。

そう、思っています。
認めよう、受け止めよう。
自分自身と、その事実を。

だって、私が今、苦しんでいるのは他ならぬ事実だから。

漸くこれをここでだけれど、言葉にできた今日、また一歩進めた気がしています。

眠れないのは、未来へのワクワクからだと思っていた。
でも、思考せずにいられないのは、不安な気持ちに押し潰されないようにだと気づいた。

いまこそ私は恐れずに誤魔化さず、しっかり治療を受けて、本来の自分らしさを取り戻す道を進みます。

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