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#映画「追想」を観て


初夜が一生を破壊するなんて思わなかった

セックスとはなんだ。

『追想』


2017年に公開されたイギリス映画で、日本では今夏8月中旬から公開になったばかりの、いわゆる恋愛映画だ。

だけど、伝えよう。

初夜が一生を破壊するなんて、思わなかった。

オープニングは、素晴らしいビーチ(チェジルビーチ)が映り、クラシックのメーロディーが少しの憂いを含めたまま始まった。


ここからは『映画のネタバレ』になるので、気になる方はリターンを。


そして、、ここでもう早速。


Filmarksより抜粋
1962 年、夏。世界を席巻した英国ポップカルチャー「スウィンギング・ロンドン」が本格的に始まる前のロンドンは、依然として保守的な 空気が社会を包んでいた。そんななか、若きバイオリニストのフローレンスは歴史学者を目指すエドワードと恋に落ち、人生をともに歩むことを決意する。結婚式を無事に終えた 2 人が新婚旅行として向かったのは、美しい自然に囲まれたドーセット州のチェジル・ビーチ。しかし、ホテルで 2 人きりになると、初夜を迎える緊張と興奮から、雰囲気は気まずくなるばかり。ついに口論となり、フローレンス はホテルを飛び出してしまうのだった。家庭環境や生い立ちがまるで違う2人であっても深く愛し合っていたが、愛しているからこそ生 じてしまった“ボタンの掛け違い”。それは、今後の2人の人生を大きく左右する分かれ道となってしまう。フローレンスとエドワードにと って、生涯忘れることのできない初夜。その一部始終が明かされる……。
https://filmarks.com/movies/78724


最初に流れるのはクラシック。

ヒロインのフローレンスはバイオリン奏者で、カルテットの楽団を起こしたいと知り合ったばかりのエドワードに恋をして、夢も話す、純粋な女性だった。

なんとも、はじまりの海辺での綺麗な砂利に足を取られながら歩く若いふたりは幸せそうだった。

(こんな綺麗な海辺で、わたしも愛する人と歩きたいと思っていた。)



海辺のホテルでの初夜を『追想』しながら、ふたりのバックボーンに触れ回想するストーリー展開。

現代の女性なら「初夜」なんて夢のある現実味のないモノだし、みなさんは初体験を覚えてるだろうか?

わたしは幸せな初体験があるので、そこにトラウマなんてなかったけど、

フローレンスは実父に性的虐待を受けていた。
(たぶん触られたり、汚されたり)

1962年の当時はまだ、宗教の思想なんかも濃く残っていたし
性的虐待をうけていての「初夜」とは、それはもうトラウマというか、立ちはだかる壁だったのか。

フローレンスは、この初夜に幸せをもたらす事は出来なかった。

失敗したのだ。

性的被害の事実を、フローレンスはエドワードに言わないまま、彼らはたった6時間の「夫婦」に終わりを告げた。


若きふたりの、ボタンの掛け違いとは

フローレンスは、
クラシックのメロディーのように、豪華で、繊細で、感情を直向きにする女性だった。

エドワードは、
ロックのリズムのように、激昂し、愚直で、感情をきちんと出す男性だった。

ここから彼のロックのリズムがこの映画を支配していく。

彼は、ずっと心に傷を負ったままだった。

自分のレコード屋でアナログレコードをかけながら、煙草をふかし、仲間と過ごす日々だった。


時は、1960年代から2007年まで、時間が進む。

わたしはこの時の、映画の中での時間展開に驚いた。
約50年をすっ飛ばすのか、と。

だけど、人生はそれほどあっという間に過ぎるんだということだ。

彼は、たまたまラジオで、彼女が昔「カルテット楽団を起こしたい」と言っていた楽団の存在を知り、会いにいく。楽団の活動が終わりを迎える。

若かったあの時、ふたりでこっそり入った劇場のC列9席目に座り、彼女の最後の演奏を聴く。

そういえば彼女は、ラジオでこんな紹介をされた。

楽団を起こし、学生時代のカルテットのメンバーと結婚し(!)子供ができ(!)孫が生まれ(!)楽団が大きな声援を受けるほどに成っている、と。

その老いた彼女は、身なりも気品あって素晴らしかった。

フローレンス。

(セックス乗り越えたんかい。。)

ふと客席みると、老いたフローレンスは、老いた元恋人エドワードを見つけてしまう。

ふたりは歓声のなか涙しながら、この映画はエンドロールへと入っていた。


あの時の最大の過ちと、最大の愛を

と、上記のような内容なんだけれども、

こういった少しの意思疎通が図れなかったり、タイミングに乗れなかったり、表現する言葉を知らないっていうのは、1960年代でもこの2018年でも同じだ。

わたしたちはこの映画を観て、それをどう自分に昇華させ、
彼らのような二の舞にならないように考えてもいいはずだ。

目を見て伝えるという手段があまりにも減っている。

時間は、本当にあっという間に通過してしまう。

こういった文字を書く事が好きなわたしですら、まだ2018年の3月くらいだと思っている。もう8月だ。

たった6時間の夫婦でも、話せば人生を添い遂げられたかもしれない。

たった6時間の夫婦でも、あの時早々に別れて正解だったかもしれない。

それでも、

初夜が一生を破壊するなんて思わなかった。

わたしにも、それは訪れるかもしれない。

なにかをきっかけに、破壊することだってあるのかもしれない。

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