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9割がバイトでも最高の感動が生まれる ディズニーのホスピタリティ (福島 文二郎)

 先般、同じ著者の初の著作「9割がバイトでも最高のスタッフに育つ ディズニーの教え方」を読みましたが、本書はその第2弾です。

 今回のテーマは「ホスピタリティ」
 まずは、著者による「ホスピタリティ」の定義から。

(p39より引用) 日本語には「おもてなし」という美しい言葉がありますが、ホスピタリティに近い言葉だと思います。・・・
 ・・・本書では、よりわかりやすいように、ホスピタリティを、そのマインドも含めて「相手に対する主体的な思いやり」と定義して話を進めていくことにします。・・・もっと具体的にいえば、「自ら相手の気持ちになって、相手の立場に立って、共に考えてあげる気持ち・心」のことです。

 もうひとつホスピタリティに近い言葉として「サービス」がありますが、著者は、サービスには「お客様に対して必ず履行・提供しなければいけない」というニュアンスがあると考えています。この義務感に基づく行動では、お客様に「予想外の感動」を与えることはできないのです。

 ホスピタリティは「マインド」ですから、これを根源とした「行動」は、相手やシチュエーションに応じて様々な形をとります。そこにディズニーならではのオリジナリティが現出し、お客様に「予想外の感動」を与えるのだと著者は語っています。

 さらに、ディズニーでは、優れたホスピタリティ行動はキャスト全員に共有化されます。そして、マニュアルという形式知化によりサービスとして定着されていくのです。

(p94より引用) 「これはいいな」という言動や方法は、ルールとして規定され、みんなで共有し、守ります。
 ですから、ディズニーのルールは、キャストのホスピタリティ・レベルの進化に応じて、どんどん進化しています。

 ホスピタリティの進化は、「平等の向上」とでもいうべき姿勢によっても推し進められます。
 あるキャストが機転をきかせて自分の判断でお客様が喜ぶ行動を起こしたとします。このときディズニーではこう考えるのだそうです。

(p108より引用) これを上司が聞いて「何やっているんだ。ほかのゲストと平等にサービスしなければ苦情がくるだろう」などとは言いません。
 上司は、まずそのキャストをほめ、そして「どうしたらほかのゲストにも同じようにサービスできるのか」を考えるのです。

 ディズニーでは、上司・先輩・同僚が「すべての人にハピネスを提供する」というひとつのミッションに向かって行動しています。そして、それぞれの行動の誘因として「ホスピタリティ」というマインドが通底しているのです。

 本書の「あとがき」で、著者は、「ゲストにホスピタリティを感じてもらう」重要なポイントを繰り返し説いています。

(p206より引用) シンプルではありますが、やさしい笑顔、親しみのある挨拶、相手の存在を認めるアイコンタクト、そして相手が不快に思わない身だしなみ・・・
 まず、基本があり、そこから「ホスピタリティ」が生まれると考えたのです。

 このディズニーの「ホスピタリティ」は、ゲストに対する心からの思いやりの発露として、東日本大震災時の東京ディズニーランドにおけるキャストの行動に現れたのでした。



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