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エッセイ 閉塞的A型組織の限界   ~2・26事件の悲劇~

 たびたび2・26事件のことを書いてきたが、それほど詳しく勉強しているわけではない。ただ気になるのだ。タイトルにもつけたように、あるいは座標軸の記事でも書いたように、あの時代をA型独占の時代と考えた場合に、(以下この前提で話を進めますので、またか、と思われる方はここで読むのをおやめください)2・26事件は陸軍の若手将校が起こしたクーデター未遂事件であり、それがなぜ起きたのか、なぜ未遂に終わったのかを考えていくと、A型の欠点が当然あぶり出されてくる。同じA型の人間として、やはり、軽くは考えられないのである。
 まずは組織の問題。当時の陸軍を会社に見立てた場合、天皇が社長で、陸軍の上層部が役員、若手将校は中間管理職、兵士は社員となろうか。中間管理職が社員の惨状、不平・不満を敏感に感じ取り、なんとかして改善してやらねばと考える。しかし上をみれば皇道派と統制派で派閥争いをしている。下の意見など吸い上げてくれない。ましてや社長にまで届きようがない。コミュニケーションの悪さが露呈される。A型はコミュニケーションが苦手である。中間管理職が何を考えているかに社長がもっと耳を傾けていれば、あの事件は起きなかったと思う。会社のためを思って起こした行動が、社長によって否定されるということほど、馬鹿げたことはない。どちらが悪いというより、組織の風通しの悪さが原因であろう。

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「勅命下る軍旗に手向ふな」
反乱軍に投降を呼びかけるアドバルーン

 次に経済の問題。格差、貧困が当時の社会問題としてあった。貧しい農家の娘が身売りをしなくては生活していけないという厳しい現実が片方にあり、また片方には、国家と癒着した財閥が栄華を貪っている。それをどうしたら解決できるのか、それに対する答えを若い軍人の単純な頭で考え出せるわけがない。財閥の要人を一人や二人暗殺したところでどうにかなるものではない。資本主義を否定し、共産主義を毛嫌いし、他に何ができるというのか。A型は経済が苦手なのである。高橋是清のような経済の天才を殺してしまって何をしようというのか。当時の日本の経済の問題点は、資本主義の欠陥というより、日本型の上から押し付けた資本主義の欠陥であった。軍事力を背景にした経済など本当の経済ではない。
 なんでもA型だけでできると思ってはいけない。コミュニケーションはO型が得意だし、経済はB型が得意とするところである。A,B,O(、AB)それぞれが得意とするところで力を発揮し、協力し合ってこそ、会社も世の中もうまく回っていく。A型的発想だけで問題を解決しなくてはならないという硬直した時代に生きたことが、陸軍若手将校にとって不幸であったと思う。

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