見出し画像

「社会の理想の姿」の研究を振興してほしい

Society 5.0、DX(デジタルトランスフォーメーション)、SDGs(持続可能な開発目標)などは、いうなれば、世界規模でまたは国家規模で、目指すべき社会の理想の姿を定義したものです。

Society 5.0では、サイバー空間とフィジカル空間が高度に融合し、IoTですべてがつながり、AIが情報の探索・分析を勝手にやってくれて、ロボットや自動走行車が人間の労働と行動の可能性を広げる。そしてこのような技術的基盤のうえで、イノベーションが巻き起こって社会的な課題も勝手に解決される(解決するのはやはり人間なのだが、解決する側の人間はごく一部であって、圧倒的大多数の人間にとっては、ほうっておいても解決されていくように見える)。

参考:内閣府ホーム > 内閣府の政策 > 科学技術政策 > Society 5.0

これらは良いこともたくさん言っていると思うのですが、いずれもやはり近代の固定観念から脱し切れていないと思います。

特に大きな近代の固定観念は、だいたい次の2つに集約されると思われます。

  1. 人間が幸せになるには、経済成長が必要である。

  2. 科学技術が発展すれば、人間は幸せになれる。

冒頭に上げた「理想の姿」は、いずれもこの固定観念を、やはり暗黙の前提にしています。「持続可能な成長」などという表現は、そういう姿勢を露呈してしまっています。おそらくこれらの「理想の姿」を実現できたとしても、やはり取り残される人が出てくるでしょう。
少し補足説明すると、SDGsの理念はとても良いものだと思いますが、それを実現する方法が固定観念に縛られてしまっていると思います。

とはいえ2つの固定観念は―現代人なら肌感で理解できると思いますが―、次第に弱くなっています。しかし、この固定観念を脱却するにはどうすれば良いのか、多くの人が納得できる答えはまだ出ているとは言い難いです。近代の固定観念を脱却した、社会の真の「理想の姿」は、まだはっきりと呈示されていません。それは、簡単に答えが出るものではないと思います。

だからと言って諦める必要もないと思います。難しいのであるならば、研究すれば良い。日本も世界も、このような「社会の理想の姿」を明確にするための研究に、真剣に取り組む必要があるのではないでしょうか。そういう研究になら、税金を使われても(少なくとも僕は)文句はありません。


この記事が面白い、役に立った、と思った方はサポートをお願いします。