菅原 雪地球

広告業界の片隅で霞を食って生きています。 学部と修士課程で物理専攻→システムエンジニア…

菅原 雪地球

広告業界の片隅で霞を食って生きています。 学部と修士課程で物理専攻→システムエンジニア→デザインの専門学校→広告関係の業界。 現職は、デザイン会社でデザイナーじゃないほうの仕事をしてます。 秋田県出身、東京都在住。

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きりしたん用語にあやしい魅力を感じる

フランシスコ・ザビエルの評伝を読んでたら、ザビエルの生涯に普通に感動したと同時に、きりしたん用語って独特な雰囲気であやしげな魅力に溢れていて、聴きたくもなるし使いたくもなってしまうと思った。 こんなこと言ったら真面目な信徒に怒られそうだし、実際に普段の会話で使ったら絶対やばい人だと思われるので使わないですけれども。 いくつか用語を貼っておきます。 こんちりさん/(葡)Contrição 深く罪を悔いること。痛悔。 こんちりさんのりやく(Contriçãoの利益) 16

    • ぼくたまの『Aria~紫苑と木蓮』をヘビロテしてます【日記】

      珍しく日記みたいなこと書くのだが。 最近youtubeを自動再生させてたら、昔好きだった漫画で、アニメ化もされた『ぼくの地球を守って』(ぼくたま)のサントラの一曲が流れて来た。『Aria~紫苑と木蓮』という曲らしいが、無性に気に入って一日百回くらい聴いている。誇張ではなくてたぶんほんとに百回は聴いてる。 『ぼくの地球を守って』挿入歌  『Aria~紫苑と木蓮』 作詞・作曲 野見祐二 歌詞の完全な全文がWeb上では見付けられなかったので、聴き取ったものを書いておく。完全

      • 清貧の思想の中の階級差別的固定観念

        例によって近所の古本屋で約100円だったので買った本だが。 中野孝次『清貧の思想』文春文庫[1996] (単行本の出版は1992年) だいたいバブル崩壊後に出て広く読まれたようで、僕が買ったものは16刷[2018]だった。 この本のテーマを端的に言うとしたら、「まえがき」にある次の数行を引用するのが良さそうだ。 このことを中野氏は「西行・兼好・光悦・芭蕉・池大雅・良寛など」を引きながら、二百数十ページにわたって解説しているのである。 次の箇所などは、同時代の雰囲気を

        • モンテッソーリ教育は大人にも使える

          仕事上でちょっとしたきっかけがあり、「モンテッソーリ教育」の入門的な本を一冊読んでみた。 だいぶ前から名前は知っていて、なんとなく、こどもの自発性を大切にして能力を伸ばす教育方法という程度の理解だった。しかし体系的に内容を知ったのは初めてで、それでタイトルのように「これは大人にも使える」と思った。 モンテッソーリ教育をもうちょっと正確に(ほぼ)一言で言うと、 だそうである。 敏感期モンテッソーリ教育の重要な概念の一つに「敏感期」というものがあるが、その意味は次の通りであ

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        記事

          MVVは企業理念に必要十分な要素か?

           大発見をしたような気がする。  MVVとはミッション、ビジョン、バリュー(Values)の略で、企業理念に必要な要素と言われている。  最近その哲学的基礎を解明できそうな予感を得た。 問題意識 一般的に良くある議論はだいたい次のようなものだ。 ・MVVは組織の理念に必要な要素である。 ・MVVを策定すれば、組織の求心力を高め、構成員が組織に貢献する意欲を高めることができる。  要すれば、「MVVが必要である」と言っているが、「MVVで十分である」とは1ミリも言ってい

          MVVは企業理念に必要十分な要素か?

          『チャンスと思うが大変とも思うという答えだったら、もうお宅はマネジメント能力を超えている』

          あけましておめでとうございます。 たまたまこの記事が2023年最初の投稿です。  仕事上の必要に駆られて、何冊か文献をひっくり返していたら面白いのを見付けたので、書き留めておく。起業家とイノベーションについて、ある雑誌の編集長からインタビューを受けた際、ドラッカーが面白いことを言っている。 「チャンスと思うが大変とも思うという答えだったら、もうお宅はマネジメント能力を超えている」―新規事業におけるトップマネジメントについての経験則だが、それ以外にもあてはまりそうである。

          『チャンスと思うが大変とも思うという答えだったら、もうお宅はマネジメント能力を超えている』

          【調べてみた】MVVの出典、特にバリューについて

          1.はじめに MVV=ミッション、ビジョン、バリューといえば、経営理念に必要な要素であり、現代経営学の父と言われるドラッカーが提唱したと説明されることが多い。ほとんど「型」(テンプレート)のように使われていると言っても過言ではない。  また、その出典として通常、次の2つの文献が挙げられる。 ドラッカー著、上田惇生訳『ネクスト・ソサエティ』ダイヤモンド社[2002] ドラッカー著、上田惇生訳『経営者に贈る5つの質問』ダイヤモンド社[2009]  このMVVは、少なからぬ混

          【調べてみた】MVVの出典、特にバリューについて

          芸術の御利益を心理学的に考える

          1. 主題―この記事の狙い 自分が創作する側であれ、あるいは消費する側であれ、物語、絵画、演劇などの何かを表現する行為を、なぜ人間は求めるのだろうか。何かをするからには何かを得ようとしているはずである。言い換えれば、芸術活動の御利益―効用、働き、機能―とは何だろうか。  その答え自体は、実は100年以上も前の芸術論(※)で明らかになっているようだが、心理学の側面からそれを補強してくれそうな材料を見付けたので、まとめておく。ほとんど自分のためのメモのようなものだが、同じ関心を

          芸術の御利益を心理学的に考える

          ビジョン、あるいは混乱をもたらすもの

           結構役に立ち、しかも面白いことが書けた気がする。 1.この記事の狙い  ビジョンは、企業理念や経営戦略の文脈でごく普通に使われる用語で、「未来の姿」、「将来あるべき姿」を規定したものだとされています。上手に使えば有用なものですが、「ミッション」や「パーパス」という言葉と同様、この言葉もしばしば混乱をもたらします。  この記事は、「ビジョン」という概念を有効活用するために、ぜひ理解しておきたいことを紹介します。この内容を理解しておけば、たとえば「ビジョンとは何か?」という

          ビジョン、あるいは混乱をもたらすもの

          ミッションとパーパスは同じもの

           2,000字くらいで書けるんじゃないかと思っていたら、約4,700字になってしまった。  ミッションとパーパスは、企業理念に関する文脈で多用され、時おり混乱を引き起こす。その意味や定義を巡って、何時間も(あまり利益の無い)議論が今日も日本のどこか勃発しているかもしれない。  この二つが異なるものだと主張する人もいる。Web上で検索すれば山ほどその種の記事が見付かる。僕がこの記事を書くのをためらったくらいだ。  しかし、同じものだと考えると極めてすっきりするという利点があ

          ミッションとパーパスは同じもの

          デザイン思考とデザインプロセスは違う〜『デザイン思考の道具箱』奥出直人 著

          先月読んだばかりの本です。 軽いおさらいのつもりで読んだのだが、読み終えて、 「デザイン思考ってそういうことだったのか!」 と思った(笑) デザイン思考とデザインプロセスは違うデザイナーの仕事の仕方をその他の事にも応用するなら、わざわざ「デザイン思考」などという大仰な固有名詞を作らなくても、「デザインプロセス」で良いじゃないか、という意見がある。 恥ずかしながら僕もそう思っていました。すみません。 とはいえ、「デザイン思考」を、「(デザイン以外にも応用することを前

          デザイン思考とデザインプロセスは違う〜『デザイン思考の道具箱』奥出直人 著

          「ただより高いものは無い」の文化人類学的な意味―使用価値が高すぎるものは交換価値をもたない

          超絶面白いねたを見付けたのでメモっときます。いまサーリンズの『石器時代の経済学』[原著初版は1974年]を読んでおり、それにかぶれてます。マイブームがしばらく続きそうです。 前置き日本語の諺で、「ただより高いものはない」というのがある。まずは通常の意味を確認しておく。 少しでも文化人類学をかじったことがある人なら、真っ先に「互酬(reciprocity)」を思い付くであろう。小難しい言い方だけれども、要は「贈り物をもらったらお返しをする」ということだ。「互いに酬(むく)い

          「ただより高いものは無い」の文化人類学的な意味―使用価値が高すぎるものは交換価値をもたない

          「100人の壁」と未開社会

          なんか面白いことを思い付いた気がする。 100人の壁ビジネスの世界で「100人の壁」というと良く知られてますが、社員が100人を超えると劇的に多くの問題が発生し、それ以上の規模になることが難しい、というものです。ネット上で「100人の壁」で検索すれば、たちどころにたくさんの記事が出てきますし、僕自身や僕の周囲の人々も、肌感でそういう傾向は感じています。 論者によってばらつきはあるようですが、その問題とはたとえば次のようなものです。 社内コミュニケーションが煩雑になる。

          「100人の壁」と未開社会

          アニメ『平家物語』[2022年1~3月放送]の感想

          3月24日(木)の放送で、ついに最終回になりました。 日本でこれほどよく知られている物語もそうそうないと思いますが、それでも面白かったし何度か泣けました。物語に接して泣けてくると、意外と自分は単純な人間なのだと、人並みの感情がちゃんと備わっていると確認できる気がします。 第9話と第11話をピックアップして、その後全体的な感想を書きます。 第9話「平家流るる」平家は都を落ちて、西国に逃れる。 敦盛の最期で泣けた。結末が分かっているのにやっぱり泣けた。 ただ、細かいところを

          アニメ『平家物語』[2022年1~3月放送]の感想

          「社会の理想の姿」の研究を振興してほしい

          Society 5.0、DX(デジタルトランスフォーメーション)、SDGs(持続可能な開発目標)などは、いうなれば、世界規模でまたは国家規模で、目指すべき社会の理想の姿を定義したものです。 Society 5.0では、サイバー空間とフィジカル空間が高度に融合し、IoTですべてがつながり、AIが情報の探索・分析を勝手にやってくれて、ロボットや自動走行車が人間の労働と行動の可能性を広げる。そしてこのような技術的基盤のうえで、イノベーションが巻き起こって社会的な課題も勝手に解決さ

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          【古い本を読んでみる】伊藤邦雄『コーポレートブランド経営』

          今回取り上げる本。著者の伊藤先生は、会計学が専門で現在一橋大名誉教授。 コーポレートブランドに関する、わりと古典的な本のようだ。初版は2000年だが、少なくとも2007年には15刷まで増刷されている(手元の本がその15刷なので)。ビジネス書としては結構な長寿だ。 この本の時代背景と主題この本が世に出た2000年頃というと、ちょうど「失われた10年」が終わった年である。バブル経済が崩壊して90年代初頭からの10年間、日本が不景気に喘いだ期間であって、大企業の倒産や大手金融機

          【古い本を読んでみる】伊藤邦雄『コーポレートブランド経営』