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最初の私有財産?

って何だったんですかね?

 「私有財産」というものが実は、いつでもどこでも一様に存在していたものではない、ということは比較的よく知られている。まずはあるものを占有・使用する権利が発生し、そののち所有権が発生した、とするのが定説のようだ(頭の中でシミュレーションしてみると納得できると思われる)。

 非西洋社会の中には、ほんの少し前(せいぜい100年程度)には私有財産という概念が存在しない部族が実際にあったそうだ(今はもう無いかもしれない)。

「女」説

 偉大な経済学者にして変人として知られるソースティン・ヴェブレンは、その著書「有閑階級の理論」(※1)のなかで、最初の私有財産は「女」だったという。強い男が、他の集団から女を略奪して捕虜とし、占有したことが起源だという。さらにこのことが、女を所有するという形での結婚につながり、ひいては男を家長とする男尊女卑的な家族制度を出現させた、と。

 しかしこの本は全然参考文献を示していないのと、原著が出たのが1899年とかなり古いので、少なくともこの部分については、「ほんまかいな」という疑いがぬぐえない(しかしそれでもヴェブレンのこの本はすごいと思っています)。ただ、そこから出てくる説明は、思考実験としては筋が通っている。ただ(ただが多くてすみませんが)、おそらく何万年も前なので直接には確認のしようがない。

「土地」説

 マルクスの盟友、フリードリッヒ・エンゲルスはその著書『家族・私有財産・国家の起源』(※2)のなかで、次のようにいう。農耕や牧畜が発達して「財産」が形成されると、それは土地を分割したり、土地をある人の管理下に置いたりする、ということをもたらす。 この「土地を管理する人」として選ばれるのが戦闘力の強い男性であった。要するに、最初の私有財産は「土地」だったという。こちらの本は1908年に出ている。


 いずれにしても強い男が所有者であることになっている。

 最近の研究ではどうなってるんでしょうかね。

※1 ソースティン・ヴェブレン著、村井 章子 訳『有閑階級の理論[新版]』[2016]筑摩書房、p69、第2章「財力の張り合い」

※2 wikipedia 『家族・私有財産・国家の起源』

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