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現役JリーガーがNPO法人を設立

2022年9月。『NPO法人ツナグーFootballer』が認証され、登記を経て正式に法人化されました。

公式ページ:https://npo-tsunagu-footballer.com

NPO法人ツナグーFootballer

私たちサッカー選手(プロアスリート)の社会的な役割は、応援してくれる方々へ夢や希望、生活の活力を与える事だと思います。

試合で良いプレーをして勝つ事で、喜んでくれる方達がいる。戦う理由はそこにあり、自分の価値を証明しチームの価値を証明するために戦うのが私たちの仕事です。

以前に、試合後にSNSで「明日からの1週間頑張れます!」「戦う姿に勇気をもらいました!」などというメッセージを頂いたことがあります。自分の存在が、誰かの生活の活力になっていると感じることができる、とても幸せな出来事でした。

そこで自分の(プロアスリートの)社会的価値、そして影響力に気づき、「もっと人を喜ばせたい」「誰かのためになりたい」そして「自分たちからも動かなければならないのではないか」と思うようになりました。

競技以外でも自分達が先頭に立ってアクションを起こすことで、現状の社会問題や人々の生活の悩みに対して、何か好転させるきっかけを与えることができるのではないかと考えました。

田口潤人(FC琉球)杉本大地(ベガルタ仙台)毛利駿也(ツエーゲン金沢)武沢一翔(FC琉球)この4人で、自分達の価値を社会にどうやって発揮して、どうすれば価値を最大化していけるか話し合いを重ね、この組織を設立しました。

この「NPO法人ツナグ–Footballer」設立までの経緯、そしてこの組織が起こしていくアクションについて、この記事を読んでいただきより多くの方々と共に支え合える社会をつくっていきたいと考えています。

私たちが考えた疑問

1.サッカー選手の価値ってなんだ

私たちサッカー選手は、競技を通じて人々に価値を与えるべき存在だと思っています。興業として経済を動かし、勝敗やそこまでの過程が見る人の感情を動かすという意味でも、世の中への影響力を少なからず持っていると思っています。

その一方で、「職業としてのサッカー選手」に疑問を持つこともあります。自分たちはサッカー以外で、社会的な価値がある人間なのだろうかと。

もちろん、サッカー選手はサッカーに命を燃やし、サッカーでご飯を食べていくために生活を捧げています。当たり前の事ですが、技術を向上させ判断を磨き、試合で活躍するために多くの時間を費やします。

それと同時に、サッカー選手になったら引退へと向かっています。このような意識で選手生活を送ることに様々な意見があることは承知ですが、その後の人生をどう生きたいか、何を大事にしたいか、それを現役中に考えることも、サッカー選手として生きるということだと思います。

そこで先ほどの、サッカー以外での社会的な価値の話に戻ります。

サッカー選手(プロアスリート)は良くも悪くも、多くの人が見ている「当たり前の社会」と距離があります。誰もが分かっている、「当たり前の社会の常識」を知らないことも珍しくはありません。それなのに、引退後はその「当たり前の社会」に入る可能性がほとんどなのです。

そんな世界を自ら知ろうともしないまま、日々進み続ける社会の中で、当然のことのように生きています。(あくまで現状の自分の話です)

自分から社会を知り、その一員として生きていくという意識を持つことが、今必要なのではないかと感じています。

2.「社会貢献」ってなんだ

最近は「社会貢献」という言葉を特によく聞きます。SDGsという活動も盛んになり、国をあげて企業を巻き込み、持続可能な社会というものを目指しています。

語弊があるかもしれませんが、「社会貢献をしなければいけない!」というような風潮もあり、何か半強制的にやるべきことのように感じてしまう人もいるのではないでしょうか?

では、『社会貢献』とは何でしょうか。身近なところで言えば、「近所の方に挨拶」することでしょうか。「街のゴミ拾い」をすることなのでしょうか。「困っている人を支援」することなのでしょうか。

この『社会貢献』という言葉の定義は、きっと人それぞれなのでしょう。貢献というくらいですから、もしかすると少しの奉仕や自己犠牲の精神による自分の満足感だけなのかもしれません。

ですが、もしそれが仮に自分の満足感だけなのだとしても、それによって誰かが助かったり、ありがたいと思ってくれたりするのであれば、迷わず動きたいと強く思っています。

自分に余裕(精神・経済・時間など)が少しでもあるのであれば、積極的に皆で手を取り、助け合いの輪を広げていく必要があると思っています。

立場や環境に関係なく、1人でも多くの人が「目の前で困ってる人のために、自分が少しでも力になろう」と思えるように、今ここから、自分たちからアクションを起こさなければいけないと感じました。


設立の目的

私たちがするべき社会貢献の観点から、目の前で困っている人たちを支えられる存在となれるように、アクションを起こしていこうと決めました。

そしてまず、私たちが指す「目の前の人」は『経済的に困窮するひとり親世帯』です。

僕は、子どもの教育環境が経済格差や家庭環境によって極端になっている傾向を感じることがありました。それが子どもの成長過程における機会や選択肢を減らし、将来的に自分らしさを持った人生を送れる可能性を減らしてしまうのではないかと考えました。

この社会的背景をもとに、自分が貢献できることは何かと考え、昨年から沖縄でひとり親の支援をする活動家「ゴージャス理枝さん」の活動に協力を始めました。

活動に協力するなかで、自分1人の力で「支援できる人の数」や、「支援できる資金」に限界があるのではないかと感じました。

活動への協力を通じて自分自身ができることの中から「社会の為に何をしたいのか」ということがさらに明確化し、自分自身の立場的な価値(サッカー選手としての影響力など)や多くの仲間を巻き込める環境を生かして、より多くの子どもやその親のために、動きたいと思いました。

設立メンバーである選手は、それぞれ自身が育ってきた環境や経験、身近にそういった境遇の方がいます。それが故に、ひとり親の苦労やその子どもの思いを他の人より知っています。

自分たちが心から人のために動く。目に見える困難、潜在的な想いを少しでも汲み取り、1人でも多くの親とその子どもが、未来に向かって進むための支えになりたいと思っています。

そして、このNPO法人は私たち現役の選手が、1から考え、定期的に異なる地域の選手でミーティングをして、活動の方向性や目的を確認して設立されました。慣れないHP作成やSNSの発信内容を考え、支援してくださる仲間を集めて、運営をしています。

誰かがやっていることに、協力するほうがもしかしたら仕組みが整っていて効果が大きく、意味があることなのかもしれません。でも、それでは多くの人が見ている当たり前の社会との距離は縮まりにくく、不十分だと私たちは感じました。

自分達が、社会の当たり前の感覚に近づいていくために主体的に考えて議論し、活動をするというチャレンジをしていく決意をしました。

スタートラインに立つここまでの過程で、多くの想いを抱え、やったことのないことに苦労しながらチャレンジして、4人で進んできたことに大きな意味があると思っています。

私たちの活動をご理解いただき、支援の輪、笑顔の輪が広がっていくことを願っております。

これからのアクション

実際にこれから、『経済的に困窮するひとり親』に対しての支援を行います。ただ実際はメンバーや資金に限りがあるので、各選手が所属するチームのホームタウンなどを中心に、支援を広げていきたいと思います。

具体的な流れとしては、

①自分たちや支援してくれる仲間で資金を集める

②各エリアでの困っている方に周知して声を拾う

③毎月数十人の方に、必要物資をヒアリングして調達する

④その物資を自分たちで配送や郵送を行う

このような形で進めていきたいと思います。

必要物資をそれぞれの方にヒアリングするのは、当然のことながら季節や環境、子どもの年齢によっても、必要なものは大きく変わってくるからです。形だけではなく、本当に役に立てることを目指していきます。


理事(代表) 田口潤人


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