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【旅】モンゴル ロードトリップ |DAY4|羊を捌くおばちゃんに「あなたたちを待っていた」と言われた [観光じゃない旅クロニクル]

彼女は話しながら目に涙を浮かべていた。
お昼ご飯で寄った「ゲル食堂」のおばちゃんとの不思議な心癒された出会い。

『この羊は2日前に仕留めたけど、
実は今日まで肉をさばくのをためらっていた。
・・・
なぜかははっきりわからないけど、
天から「何か」を待つように言われている予感がしたから。
・・・
そしたらあなたたちが来た。
あなたたちがきっとその「何か」だった。
あなたたちを待ってよかった。
・・・
私には息子が二人いるけど、
あなたたちを息子たちのように想う。

来てくれてありがとう。
あなたたちの旅が安全で成功しますように。』

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モンゴルの田舎によくあるという「ゲル食堂」。看板が地面に倒れていたのに、なぜコーディネーターの二人がここを見つけられたか不思議。本当に来るべきして何かに導かれてきたのかもしれない。

ゲルに近づくと、ちょうどおばちゃんが爽やかな風に吹かれながら羊を捌いてた。初めて見た。綺麗に分解された羊の内臓。

芝には今回捌かれたであろう羊の毛皮が干してある。

食事後、他の料理を作る様子を見せてもらったり、お話を聞かせてもらったり。今は夏休みで孫や子供がおばあちゃんのゲルに遊びにきている様だ。すごく賑やかで、家族の営みにほっこり。

ひと段落して、まったりした気持ちで家族の写真を撮っていると、彼女は私の前に立ち、目をまっすぐ見ながらモンゴル語で何かを話し始めた。

「何を言っているかわからないよ」と私は笑いながら彼女に日本語で言った。すると彼女は私の肩を両手で包み、両ほっぺに一回ずつキスをくれた。

何を言っているかわからないけど、とてもあたたかい気持ちが伝わってきた。人に優しくされた時になる、あのなんだか泣きそうな気持ちになった。

ここを去る直前、サンサルさんが、
冒頭のおばちゃんの話す言葉を通訳してくれた。

彼女は私たちのことを、
天に告げられて2日間「待っていた」と言う。

遠い国から来た旅人に、大事な羊を食べさせてくれた。

モンゴルでは「テングリズム」という伝統的信仰がある。祖先の智慧を受け継ぎ、自然と調和して生活することが基盤としてあって、必要以上に食べたり、殺したりしない。その考えは現代のライフスタイルでもあり、モンゴル人の魂の根幹に深く息づいている。

そんなテングリズムでは自然への感謝や神々への供物を表し、祖先や精霊への敬意を示すために、天に向かって牛乳とお酒を撒らすんだけど、

私たちの車が発車する際、後ろを見ると、
彼女こちらに向かって牛乳を撒いてくれていた。


私はずっとこういう瞬間を集め続けて、
自分の引き出しにしまっていきたいと思った。

この旅に出てよかった。

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この日に関してはこの出会いについてとにかくかきたかった。
残りの日記を記録用に残してます。笑
写真もあるのでよかったら見てください。
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06:00に目が覚めた。
テント泊初の朝の焚き火の残り香すき。

ここはアルハンガイ県、イフタミル村周辺のタミル川沿い。

みんなはまだ寝ている様子。
川で顔を洗って、昨日手に入れた、モンゴル民族衣装の「デール」(布団のような着物)を羽織って、しばらく川のコロコロする音を聞きながら瞑想。気温は低いけど、デールのおかげであったかく、日差しも強い。

はだしになって川に入ってみる。すごく冷たくて足が瞬時に痛くなる。でも自分の体の存在を再確認できる感覚が気持ちいい。髪を洗いたくて頭をまるごと川にディップ。冷たくて頭と耳ががキーンとする。そして川の成分で髪がトゥルトゥルになる。

2時間後、みんなそろそろ起きてこないかなーと思いつつ、遠くの方に見えるテントを眺めても全然起きてくる気配はない。

今日も目標は何百キロも先。「早く出発しないと辿り着かない。。。」と思った(この時はまだせっかち/邪念がち)な私は、痺れを切らして「朝だよー」と言いながらみんなを起こす。

もぞもぞ起きてくる。パンとハムを朝ご飯に食べて、わちゃわちゃとキャンプ道具を片付け、結局めっちゃのんびり出発。天気がものすごくいい。暑いくらい。半袖半ズボン。それだけで気分がとてもいい。

今日も一日中車でロードトリップ。
少しモンゴリアンな草原景色に飽きてきている自分もいる。

けど、この日は道中いろいろ爆笑した。悔しいことに何に笑ったかをどうしてももう一ミリも思い出せない。

4人のケミストリーは本当によく、私はとても心地よい。昔からの友達のようで、ふとした瞬間「あれ、私たち何しにどこに向かっているんだっけ!?」って心の中で我に戻る様な愉快な旅路。

マイブームは、隣に座っている相方が突然何か探し物をし始めて、カバンやポッケをディグしているのを観察すること。さー何が出てくるのだろう?とワクワクしながら見るのが楽しい。大体出てくるものは4パターンくらいだけど。

『相手のことを本当に知りたければ一緒に遠くへ旅にでればいい』という言葉がモンゴルにあることをサロールさんが教えてくれた。ウランバートルから1000キロ近く、3日間かけて4人で車で移動したけど、日に日に3人へのラブが増していく。

お昼はモンゴルの田舎にによくあるというゲル食堂に寄る。(看板が地面に倒れていたのに、なぜモンゴルチームの二人がここを見つけられたかは謎)

ご飯ができるのを待っている間にサンサルさんと旅の相方の男子組はパンイチで川に入っている。「男子はこういう時いいよね〜」とサロールさんとケラケラ話ながら、私たちは足だけディップ。

新鮮な羊の手打ち焼きそば「Tsuivan」はすごくおいしい。けど量が半端ない。
ゲル食堂の住人の子供達を観察しながら羊の内蔵の料理「Gedesnii shol」ができるのを待つ。

※ゲル食堂の家族との出会いは冒頭に

今日の走行距離は400キロくらい。行けるとこまで行くということで、辿り着いたのはモンゴル西部のザブハン県のテルメン。

その日ごとに、目的地についてから寝る場所を探すスタイル私は嫌いじゃない。

街で聞き込みをしながら、寝るとこあるかなぁとハラハラしながら、無事ホテルに到着。徒歩5分くらいにあるサウナも高校生のバイトの子達にお願いして無理やりオープンしてもらった。

サウナでおしゃべりして気づいたら深夜1時。

帰りにホテルの表のドアが閉まっていて、寒いから凍死するおわたっと思ってプチパニックになったけど、しばらくドアをノックしたら、女将さんがあけてくれて入れた。

「記者」と部屋でパンにハムを乗せて食べて寝た。
AM2時くらい。

明日からデジャヴとタイヤパンクの悲劇がはじまることをまだ知らずに。。。

2023/6/29
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ソフトボイルドに旅の記録を綴る、何者でもない写真旅人。2023年6月、「記者」の同行で【鷹狩のカザフ族とモンゴルの遊牧民族】取材を目的にモンゴルへ行きました。心が動いた瞬間を忘れないように記憶。
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