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#30 『この世界が消えたあとの科学文明の作り方』を読んでみて

こんにちは。なびです。

久しぶりの書評は、、ジャケ買いしたこの本を紹介します!

【読んだ本】『この世界が消えたあとの科学文明の作り方』
【著者 / 訳者】ルイス・ダートネル / 東郷えりか
【発行所】河出書房新社
【初版】2018年9月6日

ーーなぜ読もうと思ったか

端的に言ってしまうと、本のタイトルが魅力的だったから、ですw(本当にタイトルって大事。。!)

科学文明や現在の世界というのはこれまでの人類の歴史において先人たちが積み重ねてきたもの、という漠然とした捉え方をしていました。じゃあ、初めから積み上げていくとなった場合に、具体的にどういったことをしていかないといけないのかということを知識として持っておいていいのではないか、という思いもあり本書を手にとってみました。

ーーどんなことが書いてある

タイトル通り、今のこの世界が消えたときにどうやって科学文明を発展させていったらよいか、ということが段階を踏まえて記載されています。もちろん、本当に世界が滅んだ経験を著者はしていないため、本書で書かれていることはある程度仮説の範囲ではあります。しかし、人類が経験した科学文明の発達をトレースしながら、じゃあ今世界が滅んだとき、残された人間は何をすべきかどうかを考える、一種の思考実験が繰り広げられています。

まずは衣食住の確保から始まり、科学文明の発展に必要不可欠なものをどう作り出していくのか、それを応用させるためにはどのようなことをしていかないといけないのか、ということが書かれています。

ちなみに著者のルイス・ダートネル氏はイギリス・レスター大学にあるイギリス宇宙局の研究者であるため、内容はかなり理系チックです。化学や材料科学などの話題が豊富にあるため、結構読み応えがあります。

アイ・アム・レジェンドの世界観が好きな人とかはもしかしたらハマるかもしれません。

ーー印象に残ったこと

アイ・アム・レジェンドを引き合いに出しちゃいましたが、本書は決してSFモノではなく、「より実践的な」内容になっています。

僕自身を含めた九九%以上の人間と同様に、読者のあなたも周到な準備をするプレッパーではないと想定し、食糧や水を備蓄して、家を要塞化したり、世界の終わりに向けてあらかじめ準備したりはしていないと考えよう。  そうなると、新たなものを生産し始めざるをえなくなる前の決定的な緩衝期間を確実に生き延びるために、残されたどんなものをあされるだろうか? 後退してゆく技術の潮流によって残された遺物を拾い集める際に、何を探せばよいだろうか?

そう、まさに世界が崩壊したあとを想像し、残された自分はどうすべきかということを追憶しながら読んでいくことを想定されているものなのです。

まずは安全な場所へ拠点を作り(都心ではなく田舎へ移動すべき!)飲水を確保することが重要。食料は生鮮食品を優先し缶詰は最後まで取っておく。衣食住を確保することができたら、農業を立て直していく道筋が述べられ、果ては医薬品や電気の生成、蓄積、紙やインクといった情報伝達の手法など、文明を発展させるために必要不可欠なノウハウがまとめられています。

本書は、復興期の初めに生存者を助けるための基礎に、充分な基盤を与えるものにはなると考える。また、科学と技術の網目をくぐり抜けて迅速な復興に向けた最適ルートをたどる大まかな方向性をも示すだろう。そして、濃縮された知識の種を与えれば、探究することでそれが開花するという原則に従えば、一冊の本には莫大な量の情報の宝を盛り込めるのである。このマニュアルを読み終えたころには、読者の方々も文明化された生活を営むためのインフラをどう再建すればよいか理解しているだろう。

これまでの通り、本書は文庫本レベルを大きく超える膨大な量の情報で満たされており、様々な分野に渡って詳細に書かれています。著者の知識量、情報集約力には脱帽します。。本当にものすごい内容です。

今すぐには役に立たない情報が多いかもしれませんが、本当に世界が滅んだときにはこの本がバイブルになるかもしれない、と思わせられるほど濃厚な内容でした。

ーー本書を読んで

本編を通じて感じたこととしては、いかに電子媒体が役に立たないか、我々は先人が積み重ねてきた土台におんぶにだっこ状態なのか、ということです。

つまり、世界が滅んでしまったときは、文字通り一から(これまでの実績がほぼリセットされた状態で)科学文明を発展させていかないといけない、ということを痛烈に感じました。

現代人の基盤と言える都市機能は、世界が滅んだあとは全く役に立たないものになってしまう。文明の発展のために、スマートフォンやコンクリートは全く活用できず、昔の農村からの生活を始めないと生きていけない、と。。

便利になりすぎた世界が急に崩壊したときに、便利さに慣れ親しんだ現代人が再度科学文明を取り戻すのは本当に大変なことだなと感じさせられ、同時に先人たちへの感謝の気持ちが芽生えるようになりました。

ちょっと本書の内容からそれちゃいますが、まさにドンピシャな内容の映画、思い出しましたw

この映画と合わせて本書を読んでみると通じるところが多々あって楽しめると思いますよ!映画だけでも面白いので、ぜひ!w

いつも読んでくださりありがとうございます!
それでは!

TOP画像:Photo by Asa Rodger on Unsplash

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