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あなたにパピコ♬

フー様が部屋からお出ましになられた
太古の眠りから目覚めたカピバラのように
目を半分閉じたままに

本日はいつもにもまして、ご機嫌がうるわしゅうない
水色のアイスノンを小脇に抱えていらっしゃる
もう夏も終わったと言ふのに、暑さで目覚めてしまわれたのだろうか

すると、フー様、おもむろに体温計を取り出し
日本刀を差すように、ゆっくりと優雅に脇へ
まだ、うつろな瞳は半分閉じていらっしゃる

ピッピの音で目をカッと見開かれたフー様
体温計を5秒ほど凝視されると、それを高々と掲げられた

37.9℃

微妙すぎる体温ではあるが、フー様は保育士
社会人になって初めての有休消化が確定


おおかみ、十数年ぶりにフーに付き添って病院へ

我が家では家事も育児もママぶたと分担しているけど、それなりに危なそうな状態の時、つきそいはおおかみのことが多い

ママぶたは”良い子ちゃん”なので、医者の言うことを素直に聞いてしまうから、ちょびっと心配なの

検査の結果は

A型インフルエンザ

久しぶりぃ~元気してた?

看護師がビミョ~にタミフル(飲み薬)に誘導してきたけど、おおかみが割って入ってビシッとイナビルにしてもらった


家に帰ると39℃を超える。まあ、大丈夫だろうけど念のためお休みをとることに

おおかみ、隠居の身。けど、この日に限って車屋さんへ出かける予定が。久しぶりの欠勤連絡である。欠勤じゃ無いケド

「あ、ホンダさんですか。いや、実はですね、娘がインフルになりまして…」

いやぁ、懐かしい。電話の向こうから見えてないのに、頭をヘコヘコしてしまう。純昭和な日本狼

こどもの病気を印籠にして、頭を下げつつ、胸を張ってお休みをいただく

なんか誇らしく、気持ちいい

…と、おおかみはいっつも感じてた。変な奴
ま、子育てにプライドを持ってたんだな。きっと

おおかみ家には強力な援軍、ジジババがいたので、他の子育て家庭よりは少なかったと思うケド。それでも3匹もいれば、それなりにドタ欠勤したもの

もう、電話をしながらしみじみ
懐かしすぎる、この感覚…悪くない、悪くないぞぉ~
懐かしい痛みだわずっと前に忘れていた…甘い記憶 Sweet Memories ♬


こんなとき、ママぶたは自分だったら欲しいものを差し入れる
咳コンコンで熱があるとき、ママぶたが欲しがるのは

のど飴

こないだ、ママぶたがコロナになったとき、おおかみはいろんなのど飴を5袋も買ってきた

おおかみは違う。こぶたの欲しがるものを考えて、差し入れる
熱を出したフーには

パピコ!

だ。寝たまま食べれるし、冷たくて甘いものは身に染みる

パピコを差し出したときのフーの笑顔と言ったら…
十数年前を思い出し、君に胸キュン♬

踊る宇宙飛行士のセリカちゃんなんか、常に2本くわえてる
パピコは父と娘をつなぐアイスなのだ


こぶた達への愛情はきっとママぶたのほうが深い
けれども、こぶた達が喜ぶことが出来るかというと、また話は別なのだよ

え、おおかみが熱を出したときには何を食べたいかって?
そんなことは決まってる






パピコ♬



昭和な時代だと「チューチューアイス」とか言ってた
そうそう、「おっぱいアイス」ってのもあったな。あっちのほうが好きだった
最後の最後に「ピュッ!」と中身がまとめて出てくるの。油断してると大変なことになった

最近みないケド…どこかに売ってないかなぁ「おっぱいアイス」♬

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