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「ずうのめ人形」澤村伊智

以前、「ぼぎわんが来る」の紹介をした。
本作はそこに出てくる比嘉姉妹のシリーズ2作目、前回お祓いをするのは姉の琴子だったが、今回は真琴が頑張る。

以前の紹介では、ホラー小説の自論を述べさせていただいた。
ホラー小説は怪異の恐怖のみが語られるもの、怪異の解明がメインとなるもの、人が怖い系などがあると。
それらの話がメインであまり触れることが出来なかったが、澤村伊智のホラー小説にはひとつ大きな特徴があるのだ。
それはミステリー小説要素だ。

本作でもミステリー的な要素がある。
あまり詳細を言うとネタバレになりそうで難しいけど。。。

例えば「地の文」、ミステリーのルールとして地の文には嘘を書いてはいけないというルールがある。
そこで作者に嘘を書かれてしまったら、読者との頭脳ゲームとしてフェアじゃないからだ。
ではどうやって読者をごまかすかというと、書かない、表現を変えるなどで対応する。
そこを見抜けるか。

また「作中作」も出てきた。
物語の中に物語が出てきて、それが真相に近づく手掛かりになるという趣向だ。

そういったミステリー小説にはよくある装置を上手に使いながら、もちろん怪異の恐ろしさも上手に表現している。
特に自分としてはタイトルにもなった「ずうのめ」の真実に衝撃を受けた。
じゃあどういうこと?どういうこと?とページをめくる手が止まらなかった。。電子書籍だけど。

あらすじはこう。
出版社にて雑誌の締め切りが迫っている中、あるライターと連絡がとれない、バイトが様子を見に行くと、ライターは目を抉り出されて死んでいた。
そしてそこには1篇の原稿用紙が。
それを読むと、ずうのめ人形に呪われて4日後には死ぬ。

作中には何度も「リング」の話が出てきていて、作者が自分なりの「リング」を書こうとしているのが読み取れる。
それは多分大成功だと思う。
ミステリー要素もあって個人的にはこっちの方が好きだ。

また、冒頭で登場人物の1人が語る「都市伝説」についての考察も、非常に興味深かった。

あとね、シリーズなので比嘉姉妹とライター野崎の物語も気になる。
TikTokの、カップルチャンネルを見ているような感じがあるな。

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