見出し画像

【目印を見つけるノート】1240. 言葉もキャラクターなのです

月曜日になりました。
8月の最終ウィークですね😱
7~8月とややアクティブ?でしたが、9月はメンテナンスに宛てたいなあと思っています。
今日は来月のスケジューリングと予約の日にします。

さて今日は28日、小説の更新日です。
しました👍
『福山ご城下開端の記』

さて、
歴史のお話を書くときに、「話し言葉をどうするか」というのはなかなかの難題です。資料は書き言葉ですので、あまり参考になりません。「こう喋っていた」という参考テキストは過去になればなるほどなくなります。

例として、割と近々の
明治維新の人々で考えてみましょう。

例えば勝海舟さんの談話の聞き書き、『氷川清話』は目の覚めるような江戸言葉ですが、ご本人の言葉を正確に興したものではないとも……ただ、江戸言葉を知っている人が聞き書きしたのでニュアンスは合っているのだと思います。

ドラマなどはもう、チャキチャキの江戸弁で出てこられますよね。江戸弁は、それこそ落語や歌舞伎にも出てきますし、武家や町人、廓言葉などテキストとして残るものも多いです。

また、例えば、
西郷さんや大久保さんは薩摩弁、坂本龍馬さんは土佐弁、高杉晋作さんは長州弁というのは分かりやすいですね。
「じゃっどん」、「いかんぜよ」辺りはすぐ出てきます。あれ、長州弁は?

おもしろき
こともなき世を
おもしろく

おもしろない世ん中やけん
おもしろしちゃろう

ぐらいでしょうか。どうでしょう。「う」を入れた方がいいかな。

また、この前、那須塩原で大山巌さんの墓所の近くを通りかかりましたが(そこにあるのに驚きました)、「大山さんは終世薩摩弁を通したのかな」とふと思いました。奥さまの山川捨松さんは会津の人ですから、多少うつったりするんじゃなかろうかとも思いました。
そのような要素もあります。

じゃっで、ドラマもそうですが言葉はその人のキャラクターなのですね。

私は明治維新期は書いていませんので、それぐらいしかパッと浮かびませんが、よく書いている戦国~江戸初期になるとさらに判然としなくなります。

これまで書いてきた地域の話し言葉、何を参考にしてきたか思い出しつつ羅列してみます。もしかして、「この地域を舞台にした話を書きたいけれど、どんな風に資料を探すのかな」と思う方がいらっしゃったら参考になるかもしれませんので、置いておきます。

・尾張と三河
津本陽さんの『下天は夢か』がまず筆頭です。初めて読んだときはぶっ飛びました。続いて清水義範さんの『どえりゃあ婿さ』(『私は作中の人物である』所収、この本は名作😆)です。大河の『秀吉』もなかなかインパクトが強かった。この3つが主に尾張弁の基礎になっとるでみゃあ。

当時は名古屋・岐阜・刈谷の知人がいましたので、お喋りで覚えた部分もあります。特に刈谷の知人の話し言葉は自分の三河弁のベースです。刈屋生まれの人を書くのにちょうどよかったですし、家康の話し方の参考にもしています。

・備中と備後(岡山と広島東部)
最初に参考にしたのは瀬尾公治さんの漫画『君のいる町』です。なかなかにこんがらがった青春恋愛ものなのですが、初期の舞台が広島県庄原市です。現代ものですが、参考になりました。

あと、備中といえば横溝正史さんは外せません。そこが舞台になっているお話も多く、金田一さんを除いて地元・警察の方はネイティブだったりします。土地勘を付けるのにももってこいです。現代のお話ではなく、ちょっと昔のお話ですので、しっくり来るようにも思います。
『八ツ墓村』もよく読みましたが、こちらをよく見たように思います。

あとは……以前三原に知人がいたり、去年は福山に滞在して、割と人様の話し方に耳を傾けていました。福山中央郵便局で記念切手を買う列に並んでいるときも前後の方と話していましたが、おさらいのような感じです。ミュージシャンのSNSを見ているのもあります。たまにちょびっと使ってくれたりしますので、拾って参考にしています。

・九州
九州は各県でかなり違いがあるようですが、本で見たのは石牟礼道子さんの『苦海浄土』などの著作(熊本弁)と『博多華丸・大吉式ハカタ語会話』(博多弁)でしょうか。

九州については福岡・長崎・大分・熊本に知人がいて、彼らの話し方を聞いていたのが大きいと思います。『肥後の春を待ち望む』という小説では熊本生まれの人と、大分から福岡に移った人ふたりを主人公にしました。チャレンジングでした。多少使い分けていますが、完璧だというにはほど遠いと思います。

というように、初めは本を探して読み、次第に知人の言葉頼りになるというのが自分のパターンのようです。

『16世紀のオデュッセイア』でフランシスコ・ザビエル一行をベルナルドと呼ばれることになる青年が薩摩弁で庇うシーンがありますが、鹿児島出身の校正者の方にその部分を読んでみたところ、及第点をいただきました。
「じゃっで、まめい聞いてくいやい」とかそのような感じです。
これまで、「うまく行ったぞ」と喜んだのはそれぐらいでしょうか。

ただ、
正確さに重きを置いて全面的に地域の言葉にしてしまうと、他の地域の方には理解不能になるかもしれません。それに注釈を付けていると煩雑になるでしょう。ほどほど取り入れるというのが現実的だと思っています。

例えば、津軽弁で漫談をされている伊奈かっぺいさんも、全面的に津軽弁を展開されるわけではありません。言葉の特徴的な部分を紹介されるのが主かと思います。自分の言葉ですので匙加減が効くのだろうと思いますが、自分の言葉でない場合は上記のようにしてみたり、あるいはとにかく音にして喋ってみるのがいいかもしれません。

そして、
数百年前に現在と同じ言葉で喋っていたかは定かではないです。そもそも言文一致が小説で取り入れられるようになってから150年も経っていないのです。

あ、長くなってしまいましたね。
今日の曲です。
Ella Fitzgerald『Thou Swell』

この曲のタイトルにあるThouは「あなた」の古語です。古語なのですが、聖書で「汝」として出てきますので今もなくなっていない言葉です。ゴスペルなどでも出てきますね。
明治の言文一致も大きな意味があったと思うのですが、江戸までを切り離してしまったのかなという部分はあります。それ以前を書く立場としては、意識しておきたいなとも思っています。

それでは、お読み下さってありがとうございます。

尾方佐羽

#エッセイ
#ブログ
#日記
#8月
#言葉
#方言
#参考にした本
#創作
#小説
#本
#津本陽
#清水義範
#石牟礼道子
#瀬尾公治
#横溝正史
#華丸大吉
#音楽
#EllaFitzgerald
#ThouSwell
#毎日note
#noteの書き方
#言文一致

この記事が参加している募集

noteの書き方

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?