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人材と人財、何が違う?

皆さんの会社は、自社の従業員にどっちの言葉をお使いになっていますか?

「人財」という言葉は、"財"の字から「従業員を宝物のように大切にしたい」という想いが伝わってきます。

一方、「人材」は"材"の字から「使い捨ての資材のように使う」との印象を一見受けますが、他の意味もあるのです。

詳しく見ていきましょう。


人材の本当の意味は「才能や素養のある人」


たしかに「人材」は"材"の字から「会社を運営する労働力」であり、「代わりが利くもの」と受け取られがちですが、他の意味も持っています。それは「才能や素養がある人」という意味です。

というのも、もともと"材"の字は、原料となる木などの意味のほか、役に立つ能力や素養という意味も持っています。「人才」と書くこともあるように、人材は才能を持つ人、素養がある人、役に立つ人などの意味を持っているのです。

現在、個々の能力を最大限に引き出し、組織の成長に貢献することが重要視されていますが、こうした今の状況を踏まえると、「人材」はまさにぴったりの表現なのです。

一方で、ふと「なぜ"人材"から"人財"になったのだろうか」と疑問に思う方もおられるでしょう。その背景を探ってみます。


時代とともに「人財」の持つ意味も変わっていく


さまざまな説がありますが、この言葉が使われ始めた起源を探ると、歴史は高度経済成長期に遡ります。

ご存じの通り、当時、企業は従業員を定年まで雇用する雇用環境がなかば当たり前の時代でした。こうした環境下では、30年単位で人件費を計算することもできたため、人材は設備投資などの固定費と同じ観点でも捉えることが可能だったのです。

要するに、「人材」はあくまでコストと扱われていたということです。



しかし、高度経済成長期以降、オイルショックが起こり、それまでの好景気が一変しました。また、この時期に日本型の雇用制度も見直され始め、成果主義や能力主義が注目されることになります。

その結果起こったのが、次の二つの捉え方です。

ひとつは、企業はあくまで労働力として企業成長に寄与してくれる従業員を「人材」とみなしたこと。もうひとつは、成果を出し、将来の経営幹部も期待できる従業員には投資すべき「人財」と捉えたことです。

つまり、「人材」をコストだけでなく、「人財」という投資の対象としても捉えるようになったのです。実は「人財」という言葉にはこうした意味が込められているのです。


さらにバブル崩壊が起きた90年代以降、再び景気が低迷することになります。そこで起こったのが「人材の流動性の高まり」です。年功序列や終身雇用が崩れ、転職するビジネスパーソンも増える中で、企業として従業員を確保することが難しくなってきました。

そして現在、超少子高齢化の中で企業は人材を獲得しようと必死です。

各社とも人材争奪戦を繰り広げ、とにかく人を囲い込もうとするなかで、「人がいなければ事業そのものが運営できない」という切迫感、その中で「今、組織に所属する人は大切にしたい」という想いのもと、宝物の意味を持つ「人財」を使い始めます。

ただ、こうした歴史的背景があるとはいえ、「人材」と「人財」の捉え方は企業や個人によって異なり、印象もさまざまであるのが実情でしょう。たとえば「人財」という言葉に好印象を持つ方もいれば、どこか胡散臭さを感じる方もいます。

それでも本質的に大切だと思うのは、「じんざい」という言葉にどんなメッセージを込めたいのか、ということです。企業としてここを明確にすることが何より重要でしょう。

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