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5F分析の肝は"縦"と"横"?ーー「ギグワーク」市場を読み解く

ビジネスフレームワークを学ぶと、必ず出会う「5F分析」。業界の収益性に影響を与える要因を分析する目的で使われます。

ただ、学んだ当初は「これ、どう使えばいいんだろうか」と分かるようで分からないのではないでしょうか。

そこで今回は、国内で急成長中の「ギグワーク」市場を題材に、5F分析の実践方法を見ていきましょう。




まずは「横軸」を意識する


5F分析を実践する際には、「横軸」と「縦軸」を意識して分析します。「横軸」は「買い手(顧客)」「業界(自社)」「売り手(サプライヤー)」を指し、これらは価値・利益の分配がどのようになっているかを示します。

例えば、ギグワーク市場では、まず「買い手の交渉力」を考えてみます。ここでの買い手は、労働力としてギグワーカーを必要とする企業です。企業はギグワーカーを活用することで人件費を抑えることができますが、報酬や待遇、仕事の内容などについては、企業とギグワーカーの間で意見が一致しない場合があります。

次に、「売り手の交渉力」を考えてみます。売り手はここではワーカー自身です。ギグワーク市場には多数のワーカーが存在し、彼らのニーズに合わせたサービスの提供が求められます。ワーカーがプラットフォームを選ぶ基準は、報酬、仕事の内容、働きやすさなど、多岐にわたるでしょう。

現在、労働力が不足しており、売り手が働く場所は多様です。一方、買い手である企業は他の手段も持っていますが、スポットで雇え、費用も抑えられるギグワーカーの存在は大いに価値があります。これはまさに、プレイヤーが得られる利益が大きいということを示しています。


次に「縦軸」を意識する


次に、「縦軸」を見てみましょう。「縦軸」は「新規参入業者」「業界内の競合」「代替品」を指し、これらは顧客を奪い合う競争関係にあります。

まず、「業界内の競合」を考えてみます。ギグワーク市場には、タイミー、メルカリ、クラウドワークスなど、多くの競争者が存在します。これらのプラットフォームはユーザー獲得のために様々な戦略を展開しており、競争は激化しています。

しかし、競争が激しいとはいえ、「新規参入の脅威」を見過ごすことはできません。ギグワーク市場は成長が見込まれており、新規参入の可能性は高いと言えます。しかし、既存の大手プラットフォームが強固な地位を築いているため、新規参入者にとっては競争が厳しいかもしれません。

さらに、「代替品の脅威」も考慮する必要があります。企業にとって、フルタイムやパートタイムの従来の直接雇用だけでなく、人材派遣や人材紹介業なども代替品となり得ます。また、業務内容によっては、独立した個人事業主も代替品となり得るかもしれません。


5F分析から何が言えるか?


5F分析を通じて明らかになるのは、働き手であるワーカーをどれだけ確保できるかが重要であるということです。他の要素と比べて、働き手が圧倒的に不足している現在の社会において、どれだけワーカーが自分のプラットフォームを通じて働きたいと思うか、つまりロイヤリティを高めることが極めて重要になります。

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