見出し画像

賃金はどう決まる? ーー 職務給、職能給、役割給の比較から考える

会社から毎月もらえる賃金ってどう決まるんでしょう。

働いてる時間?それとも仕事の成果?

会社によってその考え方はさまざまですが、この「賃金制度」には基本があるんです。



まずは前提となる賃金制度を知る


皆さんは「賃金制度とは何か?」と問われて、最初に何を考えますか?

賃金制度は、企業において従業員の基本給や手当の決定方法や支給基準をまとめたものですが、大きく基準内賃金と基準外賃金の2つに大別されます。

基準内賃金は、所定労働時間内の労働に対する対価として支払われる賃金で、最低賃金の対象となります。一方、基準外賃金は所定労働時間の労働に関係なく支払われる賃金で、最低賃金法の適用はありません。

まず考えるべきは、この基準内賃金のあり方です。基準内賃金には、仕事給型、属人給型、総合給型の3つの性質があります。

仕事給型は、担当業務や職務遂行能力に応じて分類される賃金です。職務給、職能給、役割給が仕事給型に該当します。

属人給型は、従業員個人の年齢や勤続年数、資格などに基づいて設定される賃金です。年齢給や勤続給が属人給型にあたります。

総合給型は、仕事給型と属人給型の両方の要素を含む賃金で、総合職給がその例です。

さて、これらが賃金制度の全体像ですが、その設計で頭を悩ませるのが仕事給を採用したときの基準です。

職務給、職能給、役割給の違いは?


職務給は、職務の難易度や責任の度合いに応じて、職務等級を設定し、その等級に応じた賃金を支払う制度です。職務給は、職務内容が変わると上昇や低下することもあります。そのメリットは、会社全体の職務内容が明確になり、不足や無駄を削減できることです。また、従業員の職務レベルを正確に把握することで、給与が従業員の貢献に見合っているかを評価できます。ただし、制度を導入するためにはかなりの時間と労力が必要であり、業務内容の変化に柔軟に対応するために頻繁な評価基準の更新が必要となります。効果的なのは、職務の内容が明確で、難易度や責任の度合いに差がある場合です。

職能給は、従業員の職務遂行能力を評価して、資格等級に基づいて賃金を設定する制度です。職能給は、勤続年数や役職に応じて上昇する傾向があり、基本的には下がることはありません。職能給のメリットは、従業員のモチベーションや自己実現を高めることができる点です。また、経験やスキルを積んだ人材の獲得や育成が可能になります。一方で、評価基準が主観的になりがちであり、公平性に欠ける場合もあります。また、職務内容の変化に関わらず、給与が変動しないため、業務の効率化や柔軟性に制約が生じます。職能給が効果的なのは、従業員の能力や成果だけでなく、態度や人柄なども総合的に評価したい場合です。

役割給は、従業員が与えられた役割に基づいて設定される賃金です。役割給は、自身の役割の幅を広げることで、昇給する可能性があります。役割給のメリットは、従業員の自主性や創造性を引き出すことができる点です。また、企業の目標や戦略に沿った人材の配置や活用が可能です。一方で、役割の設定や評価が難しいというデメリットもあります。また、役割の幅が狭くなると給与が低下する場合もあるため、柔軟性が求められます。役割給が効果的なのは、従業員に自ら目標を設定し、役割を拡大できる場合です。

賃金制度は、企業の経営理念や経営戦略、組織文化に合致している必要があります。自社に最適な制度を検討する際には、各制度の特徴や適用状況を慎重に考慮することが重要です。

この記事が参加している募集

人事の仕事

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?