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ピーターの法則 ーー なぜ、無能な上司が生まれてしまうのか?

米教育学者、ローレンス・J・ピーター氏らが提唱した法則です。

言葉を選ばずに言えば、「無能な上司が生まれるのは何故か?」という問いに答えた法則であり、さらには「組織が無能化してしまう」現象を説明した考え方でもあります。

内容を見てみましょう。


無能な上司も、かつてはエース社員だった


ピーターの法則は、組織における無能化現象を説明した法則です。

米教育学者、ローレンス・J・ピーター氏らによって1969年に発表された『ピーターの法則 創造的無能のすすめ』の中で初めて提唱されました。

この法則によると、能力主義の階層社会では、人々は自身の能力が極限に達するまで昇進できますが、その能力の限界に到達すると昇進がストップします。結果、各階層で能力の限界に達した人材で溢れ、組織の機能が損なわれるとされています。

具体的には、一つの職階で成功を収めた人材は、昇進を経て、次の階層に到達します。たとえば、営業現場で実績を上げると、チームを束ねる営業リーダーに昇進するなどです。しかし、昇進を続ける過程でその人の個人的な能力が限界に達すると、上位の階層に昇進した途端に、その人は適切に業務を遂行できなくなります。

たびたび「ウチの部長は部長ではなく、"大課長"なんです…」とお話される人事の方にお会いしますが、これはその典型例でしょう。能力不足の管理職が各階層に溢れてしまい、部長職を全うできない"大課長"が量産されてしまうのです。結果、その組織では一部の人材が組織の多くの業務を担っている状態に陥ってしまいます。


ピーターの法則を回避するにはどうすればいいか?


ピーターの法則を回避するには、組織としてどう対処すればいいのでしょうか? 解決の方向性を幾つかご紹介したいと思います。

① 「昇進」ではなく「昇給」で対応する
成果を出した人材に対する処遇として、昇進ではなく昇給を検討することが一つのアプローチです。ただし、これは金銭的報酬に重点を置く人材に対してのみ有効であり、その組織での地位に価値を感じ、昇進を希望する人材には適さないかもしれません。

② 役割の転換点前後で、能力開発をサポートする
能力不足が問題となる場合、昇進前にスキルの評価を行い、不足しているスキルをトレーニングで補強することが解決策の一つです。これによって、無能な管理職の誕生を防ぐのに役立ちます。さらに昇進後のパフォーマンスにも不安がある場合、能力向上の機会を継続的に提供することも重要です。

③ 場合によっては降格も辞さない
ピーターの法則が起きる背景には、昇降格の基準を設けていながらも、それを徹底運用できない難しさがあります。それは、組織として決定した「昇進の意思決定」を取り消しにくいためです。こうした難しさを放置したままだと、組織が無能化の一途を辿ります。昇格時に降格条件も明確に設けておき、パフォーマンスに問題がある場合は元の職位に戻すことも考慮することが必要です。

ほかにも、ピーターの法則を回避する手立てはさまざま存在します。その企業の置かれた状況によって解決策は違いますが、大事なのは組織が無能化して機能しなくなるために、その組織全員が絶えず能力を向上させ続ける努力を行うことでしょう。

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