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5分の1の、モリー。

親になると子供の学校のことで悩む、とは聞いていたけれど。
まさかこんなにも早く、こんなにも多様な事柄で悩むことになるとは。

日本でもアメリカでも、娘の学校のことで悩みに悩み、もうこれは私の趣味なのではないか?と思うほど、悩み続けています。
「学校の悩みなんて、中学受験くらいからかしらん?」なんて思っていた、のんきな自分が懐かしい。

長女の学校に関する悩みは、彼女が0歳のときから始まっています。
早い。あまりにも早い。
彼女はいわば「保育園全滅っ子」で、私は「職場復帰」という、吹けば飛んでいってしまいそうな四文字を失わないよう、必死に学校を探しました。

そしてやっと見つけて、唯一受け入れてもらえたのが、新設ほやほやのインターナショナルスクールでした。

学費は月に二桁万円。(キャー!)
わざわざインターを選ぶほどなので、親御さんたちの意識は高い。
ついでに、社会的ステータスも高い。

『親子懇親会』(ファミリーレセプション的な名称だったかな?)なるものが開催され、パパとママの名前と職業を発表する自己紹介タイムなるものがあり、そこでびっくり仰天。

弁護士です。
うちは夫婦で弁護士です。
脳外科医です。
IT系で起業しています。
ブティック経営しています。
芸能関係です。

なにこれ?憧れの職業を言えばいいのかな?・・・とも思ったのですが。ここは娘のために、胸を張って堂々と、正直に答えました。

「夫婦共々、普通の会社員です!」と。


場違い感は拭えなくとも、保育園が決まって一安心!ところが、いざ娘が通い始めると、私は日々の些細な出来事に一喜一憂するようになります。

お友達に噛まれた!と聞けば、「なんてかわいそうなんでしょう。このまま通わせて大丈夫かしら」と涙する。
おしりがかぶれてきたら、「あらまあ。大変!ちゃんとおしり拭いてもらっているのかしら」と疑ったりもする。

あの頃を思い返すと、うっすらずっと心配していた私。でも本人は毎日楽しそうに過ごしていたし、お友達もできた。先生たちも個性的かつ意欲的で、すんばらしい学校でした。

何より、1年足らずで夫のアメリカ転勤が決まったので、インターに通わせたことは結果オーライどころか、大正解!だったわけです。


アメリカでの新生活が始まると、学校選びの苦悩、再び。

アメリカでの義務教育はキンダーガーテン(小学校の1年前)からなので、それ以前は基本的に公立校ではなく私立。学費はどこも高額です。
通わせるか通わせないかは自由なので、補助金などのサポートもありません。嗚呼、二桁万円相当の学費から抜け出せない我が家・・・。

そして今度は、学校の候補が多すぎる!と、悩みます。

プリスクール(いわゆる幼稚園)もあれば、デイケア(いわゆる保育園)もあるし。全日もあれば半日も。ランチ持っていくタイプ・給食タイプ。
カリキュラムは独自スタイルなので、勉強する派から遊び大切派までのグラデーション状態。おまけに、個人経営のナーサリーみたいなものもあるし、もう何が何だか。

選択肢が多すぎるぞ、アメリカ。

でも実は、この「自由過ぎて逆に不便だラビリンス」は、アメリカではよくあること。

例えば、自分の好みのヒトサラを作れることで評判のサラダボウル屋さん。
ベースはサラダやグレインなど、5種類から選択できます。
ディップはフムスやらナスペーストやら6種から、最大3個まで選択可能。
プロテインは、チキンやミートボールなど、7種類から。
トッピングは、トマトやキュウリ、オリーブなど、12種類からお好みで。
最後にドレッシングは、レモンハーブやらグリークヨーグルトやら、個性派6種類。

「よくわからないから、おすすめで作って欲しい」とお願いしたら、「ノー!好みは人それぞれ。自分で決めて」と言われました。

話を戻して、学校を選ぶ話。

多種多様な選択肢の中から、まるで好みのサラダボウルを探求するかのように。検討に検討を重ね、選びに選び、なんとか「ここにしよう!」と決めて、いざ現地校での生活スタートまでこぎつけたのですが・・・。

日本でインターに1年通った彼女とはいえ、ガチの現地校はやっぱり勝手が違う。本場の洗礼を受け、しばらく毎朝泣きながら通っていました。

娘の涙を見ると「あー、違う学校のほうがよかったのかしら」とか、「どんなフォローをしてあげたらいいんだろう」と悩む。
でも先生に聞くと、ママが帰ったあとはケロッとして、お友達とすぐ遊んでましたよ、と言われたりする。

「エレーナはベストフレンドなんだよ!」と教えてもらい、親友ができて良かった!今の学校に決めて良かった!と、心底思う。
かと思うと、「もうエレーナとは遊びたくない」と言ったりするから、オーマイグンネス、となるわけです。


そしてここ最近の私を悩ませているのは、モリーという少女の存在。
(やっと出てきた!お待たせ、モリー!)

どうも娘は、このモリーとぜんぜん気が合わない。

「ダイナソーで一緒に遊んでたら、ブンブン振り回してきて嫌だった」とか。「私もプリンセスになりたいのに、子供役をやれって言われた」とか。

たぶんモリーに悪気はないし、いじめというほどのことでもない。
もしかしたらモリーは、家で姉に鍛えられているのかも。イケメンマッチョでタトゥーのよく似合うお父さんと、ラフな遊びをしているせいかも。
原因は想像でしかないけれど、とにかくオラオラ系女子であるモリーと我が娘とは、波長が合わないようなのです。

ならば違う子と遊べばいいじゃん!と思うのですが、コロナの影響で生徒数が減ってしまい、少ない日はクラスに5人しかいない。

そう、今は5分の1がモリーなのです。

きっと“モリー”は、どの学校にも居る。

でも、5分の1じゃなくて、12分の1がモリーだったら?
まだ薄まるんじゃないかしら。
いやでも、新しい学校には、もしかしたら3人くらいモリーがいるかも。

・・・と、私の悩みは尽きないのでした。


※モリーが日本語を読めないことをいいことに、名前を出しまくってしまった。今さらですが、モリー(仮)、ということにしたいと思います。

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