土生　重次
（平成三年作、『素足』）
　チンパンジーにじゃんけんの規則を教え、ルールを学習できるか調査したところ、七個体中五個体が完全に習得したという。
ヒトの子どもにも同様の調査を行い、ヒトは約四歳で、じゃんけんのルールを習得できることがわかったという。
チンパンジーには、ヒトの四歳の子どもと同じくらい柔軟にじゃんけんの三すくみの関係を理解できる認知能力があるというとのことなのだそうだ。（京大霊長類研究所 高潔ほか 論文「じゃんけんのルールを学習する：チンパンジー対子ども（参考訳）」）
　娘が三歳のころ、保育園で教わったのか「じゃんけんをしよう」と言ってきた。
まだ指を二本立てることを覚えてきただけで、何回やっても「鋏」しか出てこない。
それでも親は、澄んだ秋空のような清々しい気分。

（岡田 耕）

（俳句雑誌『風友』令和五年九月号「風の軌跡ー重次俳句の系譜ー」）