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歳時記を旅する41〔原爆忌〕前*広島忌すぎてざらつく夜の髭

土生 重次
(昭和五十六年作、『歴巡』)
二〇一六年五月二十七日、米国の現職大統領として初めてオバマ氏が被爆地、広島を訪れた。その演説である。
広島訪問について「亡くなった十万人を超える日本人、数千人の朝鮮半島出身の人、捕虜になった十数人の米国人を追悼するためだ。」と述べ、原爆の犠牲になったすべての人を追悼した。核廃絶の目標に関して「私の生きているうちには達成できないかもしれない。だが、たゆまぬ努力で惨劇の可能性を後退させることはできる。」と訴えた。 
 句は、手の触覚が何を思い起こさせたのか。あの日、重次は十歳。一か月前に大阪、堺の大空襲で被災している。 (岡田 耕)

(俳句雑誌『風友』令和五年八月号「風の軌跡ー重次俳句の系譜ー」)

*参考文献
 吉野直也『「核なき世界」の終着点』日本経済新聞社
   

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