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「マス」ではない場所で、求められるテキストを書くという仕事

最近のある案件がきっかけで、うっすら感じていたことが「やっぱりそうだよね」と確信に変わった。それはテキスト作成のフィールドは「マス」だけに限らないということだ。

何となくの「マス」前提

ライターというと、昔から新聞や雑誌・書籍が活躍の舞台だった。インターネットが出てくるとwebライターという肩書で文章を書く人も増えた。ツールは紙とデジタルという差があるものの、どちらも「マス」が対象になっている。

新聞社や出版社という昔からの発行元のほかに、web媒体やオウンドメディアと呼ばれるところも出てきたけれど、やっぱりこれも「マス」が対象で、なるべく世の多くの人たちに読まれるのが望ましく、バズったら大金星のようなところがある。

個人の発信としてはブログやnoteのような(ブログとnoteはなんだか一緒には扱えない気がしている)書きものサイトがあったり、もっと短い言葉が流通するSNSがあったりする。企業の自社サイトもこのうちに入るかもしれない。でもこれらもどこか「マス」につながりたい願望が込められているツールだと言える。

ライターという仕事はその界隈に付随していて「マスのフィールドで多く読まれるためにどうするか」を探ってみんな磨きをかけている。

「マス」ではない場所の体験

でも意外と「マス」にこだわらない場所もある。

例えば、企業内だけで発行する広報誌や小冊子は同じポリシーを持っている仲間に伝わるように書けばよく、それが社外でどれだけ読まれるかは最初から視野に入っていない。

「マス」を惹きつける文章を書くより、紹介する役員がどれだけその企業に貢献したかを押しつけがましくない言葉で伝えるとか、一番伝えたい苦労についてなるべく深く書くとか、オリジナルの工夫ポイントがある。そのプロセスも書き手としてめちゃくちゃ楽しい。

最近出合ったのは、個人から個人に向けたテキスト作成の案件だ。

お金と時間はかかるけれど、それでもまとまったテキストとして残して伝えたい。話せるけれど書けないのでサポートしてほしい。そういうニーズもあるのだと知った。

お話を進めていて自費出版よりもさらにプライベートなイメージを持った。自費出版というとやっぱりまだ「自分の本が書店の棚に並んでほしい」とか「本業のブランディングに役立てたい、たくさん読まれたい」という願いが透けていることが多い。

でもそれとは関係なく、純粋にテキストを作りたいというニーズもあった。世の中は思っていたより広い。

自分の目標にも影響が出ている

「マス」向けの文章作りが得意な人たちは確実にいる。でもそうでない人も確実にいる。

どちらかというとエモい文章が苦手な私は、たぶん後者の部類に入るだろう。もちろんちゃんと読み手に伝わって求める行動へつながるような文章を目指すけれど、その手前で依頼してくれた人・語ってくれた人にとって満足いく文章にしたいとも考えている。

「マス」から離れるとそこに集中できる。これは自分にとってとてもありがたいフィールドだ。

何となくこれまでは「マス」を目標にしなきゃいけないとか、そういう仕事に関わらないと一人前でないとか、そんな感覚もあった。でもそこから脱皮する良いチャンスかもしれない。

ライター仕事の奥深さを、改めて噛み締めている。

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