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もう「円安」だけで「日経平均」は買えない - 「円安」を止める "鍵"

 はっきりした「ドル建日経平均」戦略Ⅲ - ヘッジファンド ”恐るるに足らず”|損切丸 (note.com) を書いてきたが、どうやら ”ゲーム” のルールが変わってきたようだ。もう「円安」だけで「日経平均」は買えない

 3月まであれだけ勢いよく買われてきた「無敵の日経平均」だが、今や見る影もないほど弱々しい月2,000億円とも言われた「新NISA」の弾が切れつつあることもあろう。まさに実需の買い注文の先回りをして何万回も売買を繰り返すHFT(High Frequency Trades、高頻度売買システム)の出番だった訳だが一気に失速している

 実際海外にかなりの生産拠点を移してしまった日本は既に「輸出大国」ではなく「円安」の業績貢献度は限られる。ところが多くの日本人、特に国政を牛耳っている「昭和世代」の代議士の先生方は未だに「円安」≓「株高」と信じ込んでいるようで、その "隙" をファンドに突かれた

 現実には原材料の殆どを輸入に頼る日本では「円安」のダメージが大きく、@154円まで来てしまってはマイナスの方が大きい直撃を受けたのが「値上げ」交渉力に劣る中小企業であり「円安」倒産が相次いでいる。根本には小規模企業が多過ぎるという日本固有の事情もあり、これは飲食業、観光業、銀行等々も同様。「人手不足」が相まって社会変革の過渡期を迎えている。ここでの「日経平均」の上昇停止は淘汰が進んで生産性が向上するかどうか、見極めの時期に入ったことを意味する

 この議論は「金利」にも適用できる

 そもそも「超低金利政策」「マイナス金利政策」はこれらの ”ゾンビ企業” を温存するために取られた政策政党にとって主要な票田であったことがその理由だが、厳しく言えば「もうこのままでいい」という慢心「低金利」は「現状維持」の象徴であり「失われた20年」の根源と言っていい

 実質賃金が低下を続けて生活が苦しくなった国民からは怨嗟の声が噴出してるが、あれだけ「低金利」に拘った財務省が国債の想定金利を@1.9%に引き上げた点から察するに、何かを変える「覚悟」が定まったと感じる

 悪く言えば「切り捨て」だが、現状の「円安」は日本がそこまで追い詰められている事を示唆している「利上げ」をすると中小企業や住宅ローン借入者が大変になるというが、一部のために全体が犠牲になる余裕はもうない

 社会福祉政策にしても①年金支払いを5年延ばす②薬価の算定に効果を加味、等の議論も出てきて "ゆりかごから墓場まで" はもう無理。ー 「お金」の事ははっきりさせよう。|損切丸 (note.com) かつて「イギリス病」から立ち直った英国と同じ軌道を歩み始めた

 メディアは「利上げ」の悪い点ばかりをあげつらうが、低すぎれば「金利」本来の「所得分配機能」を歪める。そもそも金融政策は「物価」に沿って運営されるものであり、中立金利≓潜在成長率(物価上昇率)+1%がコンセンサス*CPIを▼2%以上下回る円金利の方が異常

 特に1,000兆円もの「預金大国」日本では預金金利が+1%に上がるだけで+10兆円が国民全体にまんべんなく配られる。これは「コロナ危機」で配られた10万円の給付金と匹敵する。よく金利が上がると財政危機になると言う論説がぶち上がるが、日本の「資金繰り」で考えると嘘である事が判る。JGBの殆どが国内で消化されている日本では上がった金利の利息は財務省から銀行、生保等を通じて国民に移動するだけ。日本が破綻するなんて話にはならない。ヒット率重視で煽ってばかりのメディアに踊らされないように

  "鉄の宰相" サッチャーが主導した変革も相当な痛みをイギリスにもたらしたが、この国も「お金」がないのは厳然たる事実で、海外のように病院に行くのに3ヶ月待ち、なんて事態も将来起るかもしれない。まあそこは「国民の選択」になる訳で、どうしても「国民皆保険」がいいというなら社会保険料の引き上げには反対できない今の人口動態で現状の公共サービスを維持するには「七公三民」ぐらいは覚悟すべきだろう

 これは「金利」を巡る議論も一緒。住宅ローンの固定金利が嫌で金利を上げるなというなら「お給料」も上がらないことは甘受すべき。現状の過剰な小規模企業・店舗を温存すればそうならざるを得ない。そうやって「失われた30年」を過ごしてきたがまた繰り返すのか。そう言う問い≓「現状維持」でいいのか、を「金利」は日本人に突きつけている

 「政治は国民の鏡」。政治家の言動は我々の現状を映している。つまり選挙民の行動・意識が変われば自ずと政治も変化する。国民が「覚悟」すれば日銀も「利上げ」に動き易い。彼らの躊躇は我々の躊躇。「黒船」はその点を注視しており「円安」を止める "鍵" になる。「黒船」≓「円安」頼りを止めれば「日経平均」も4万円、5万円と再び上昇を始めるだろう



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