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約6時間後、僕は結婚をする。

約6時間後、僕は結婚をする。

13時過ぎに目黒区役所に行って、婚姻届を提出する。

早起きしてこれを書いている。彼女、約6時間後に妻になる人は寝ているか、寝たふりをしている。

結婚前日、こんな感じのnoteを彼女が書いたので、触発されて今の気持ちをここに残しておこうと思った。

今日は嬉しいことに、区役所のそばで働く大切な友達が、「私たち結婚しました!」という“例の写真”を撮りに、昼休みに来てくれることになっている。本当に何もかもありがたい限りだ。

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思えば「結婚したい」という感情を一度も覚えたことのない人生だった。子どもの頃から、自分はそういったものとは縁もなく、いつのまにか大人になって、やたら食い気味に喋るじいさんになって、わりとコロリと死んでいくものだと思っていた。

時間は流れて、出会うべき人と出会って、そんな僕も結婚することになった。クリスマスツリーのような人だ。出会いは月末月初の請求書のやり取りだった。

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結婚することになった今日も、特段結婚という概念自体に憧れはないけど、この人と一緒にいるための最適解がこのやり方だという確信と自信はあったりする。

いい人生だと思う。
最高の人生を過ごしていると思う。

彼女と出会ってから、失うものを数える生き方をやめた。
水分をこまめに取るようになった。
値段を理由に服を買うのをやめた。
小鼻のクレンジングをするようになった。
いつも折り畳み傘を持ち歩くのをやめた。
後ろめたさに敏感になった。
たまに吸ってた内緒のタバコをやめた。
PV・CVではなくLTVで物事を考えるようになった。
過去の出来事を否定するのをやめた。
得意料理が生まれた。

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ゆうべ、彼女は「この3年間であなたはあまり変わっていないわよ」なんて笑いながら言ったけど、そんなことは全然なくて。
衣食住、春夏秋冬、朝昼夜、森羅万象、あなたがいたから僕はこうやって小さな変化を重ねて、自分の道をゆらゆらしながらも歩いてこれたんだ。

3年前の今日、渋谷の魚金で呑んで、代々木公園のベンチに座って告白をした。
あの日、何を喋ったかはもう思い出せないけど、雨上がりの空の色を僕が想像もつかないような言葉で表わしてくれたのを覚えている。

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あれから、引っ越しもしたし、仕事も変わった。兄弟のような大切な友達も別の場所で暮らすようになった。
大きな変化を経てもなお、前より元気よく、言葉を飲み込まずに生きていられるようになったのは、あなたのおかげなんだと、こっそりいつもみたいに文章で伝えさせておくれ。

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いつか眠れなかった夜にこんなことを考えていたことがある。
今ぼんやり青白く光っているこの壁に囲われた部屋は、僕だけが別次元から見ている夢で、すべて偽物なんじゃないかと。
やたら脳の内側にこびりついたショッキングなイメージと、自分だけしかこの世にいないような孤独感に胸がきゅっとなって、喉がかわいて仕方なかったのを覚えている。

こないだ久しぶりに眠れない夜があって、青白く光る壁を見て、昔のことを思い出していた。
少しセンチメンタルにもなったが、横を見ればやたらソプラノな音色の鼻息を立てて、ニヤニヤしながら寝ている彼女の姿があって、僕は爆笑してしまった。
このムニャムニャを守らなければいけないと思った。
このムニャムニャを守ることができる自由と責任があることを涙が出るほど誇らしく思った。

いつかの僕よ、あんた生きててよかったよ。いい人に出会ったよ。

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話は変わって、1年前に、友達の結婚式に参加した時に新郎が新婦にこんなことを言っていた。

「僕は、あなたの現在であり、あなたの過去です」

結婚することとは、未来を築くことは当たり前で、相手の過去と共に生きていくことだ、と。
1年経って、結婚を目前にして、少しずつその意味がわかってきたような気がする。

少し天然ボケで相手のために足を動かし続ける母親と、言葉数は多くないけどきっちりひょうきんで寛大な父親にもらった身体と心。
使える武器をすべて使って、志を持って朗らかに、家族として生活していこうと思う。

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僕と彼女を出会わせてくれたみなさん、ありがとうございました。
彼女を彼女らしく育ててくれた、家族のみなさん、ありがとうございました。
僕をのびのびと生きられるように育ててくれた家族のみなさん、ありがとうございました。
僕と彼女と楽しい時間を過ごしてくれたみなさん、ありがとうございました。

お互い友達はけっこう多い方で、スペシャルサンクスをおくりたい相手が多すぎる。
愛するみなさま、インターネットが好きな二人だからこそ、直接顔を見てご挨拶させてください。
二人をどうぞ、末永くよろしくお願いします。

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今が明るい時代かどうかはわからないけど、明るい未来をいい感じに飄々と描いていくとするよ。
絵にならない写真をできるだけ多く撮って。

2019年5月30日 新しい時代の最初の“月末”に

追記:結婚した日の出来事をなんとなくまとめました。


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