見出し画像

コートを着るという決断(エッセイ②)

「そろそろコートを着ようか...、それともまだやめておこうか...。」
季節の境目はいつだって曖昧だ。毎年この時期の出勤前に悩む。私にとってコートを着るということは、冬の訪れを意味する。コートが嫌いなわけではないし、むしろ早くコートを着たいとさえ思う。ただコートを着たことで「暑い」と感じるのは嫌だ。昼間はコートなしでも十分に過ごせる。特に電車は暖房が使われ始めて、汗ばむこともある。暑いのは嫌だ。だから、コートを着るのには勇気がいる。いや、冬が好きな私は、コートを着て快適に過ごせる季節を待っている、と言ったほうが正しいかもしれない。
塾講師にとって冬は決戦の季節。コートに身を包み、教室へ向かう、そんな時に「今年もいよいよだな。」と身を引き締める。
今年はまだコートを着ていない。雪の予報にわくわくする子どものように、今か今かとその時を心を躍らせて待つ。

この記事が参加している募集

習慣にしていること

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?