木村光希【納棺師/おくりびと】

納棺師|著書『だれかの記憶に生きていく』(朝日出版)|NHK「プロフェッショナル-仕事…

木村光希【納棺師/おくりびと】

納棺師|著書『だれかの記憶に生きていく』(朝日出版)|NHK「プロフェッショナル-仕事の流儀」等出演|株式会社「おくりびと®アカデミー」葬祭ブランド「おくりびと®のお葬式」代表取締役|お仕事のご依頼など info@okuribito.co.jp

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5. 死は100%おとずれる唯一の「ライフイベント」

納棺師の木村光希(きむら こうき)です。 だれかの大切な人である故人さまと、大切な家族を亡くしたばかりであるご遺族の、最後の「おくられる場」「おくる場」をつくることをなりわいとしています。 死は100%おとずれる唯一の「ライフイベント」いまも忘れることができない、まだ駆け出しのころに担当させていただいた、あるご夫婦の納棺があります。 交通事故で同時に亡くなられたそのご夫婦には、高校生の男の子がいました。ひとりっこの、3人家族でした。 言うまでもありませんが、お父さんとお

    • 10. 「いつものあのひと」を取り戻す

      納棺師の木村光希(きむら こうき)です。 だれかの大切な人である故人さまと、大切な家族を亡くしたばかりであるご遺族の、最後の「おくられる場」「おくる場」をつくることをなりわいとしています。 「いつものあのひと」を取り戻すご遺体のお顔を整えてさしあげるのも、納棺師の仕事です。 お化粧、というと女性のイメージがあるかもしれませんが、ご遺体の場合は性別にかかわらず、顔色をよく見せたり血色をよくしたりするために死化粧は欠かせないものです(むしろ男性には、ていねいに髭を剃る手順も加

      • 9. ご遺体との対話からはじまる

        納棺師の木村光希(きむら こうき)です。 だれかの大切な人である故人さまと、大切な家族を亡くしたばかりであるご遺族の、最後の「おくられる場」「おくる場」をつくることをなりわいとしています。 ご遺体との対話から始まる「はじめまして、よろしくお願いします」 納棺師の仕事は、故人さまにごあいさつするところからはじまります。 まずは、手をあわせてごあいさつしてからお身体に触れる。 そしてご遺体の様子を見ながら、こころの中で声をかけ対話していくのです。 ……といっても、これはマニ

        • 8. 死生観を持っていたほうがいい理由

          納棺師の木村光希(きむら こうき)です。 だれかの大切な人である故人さまと、大切な家族を亡くしたばかりであるご遺族の、最後の「おくられる場」「おくる場」をつくることをなりわいとしています。 死生観を持っていたほうがいい理由死生観とは「自分なりに生と死を捉え直して導いた解」です。 「最期まで、どう生きるか」とも言えるでしょう。 この大切な価値観について、死を目前にして考えはじめるのでは遅いとぼくは思っています。 決して付け焼き刃で見つけられるものではないからこそ、大切なひと

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        5. 死は100%おとずれる唯一の「ライフイベント」

          7. 自分はどう語られ、どう憶えられるか

          納棺師の木村光希(きむら こうき)です。 だれかの大切な人である故人さまと、大切な家族を亡くしたばかりであるご遺族の、最後の「おくられる場」「おくる場」をつくることをなりわいとしています。 自分はどう語られ、どう憶えられるか前回のnoteでお話しした「死への距離感」ともうひとつ、ぼくが今までおくってきた故人さまから教えていただいた、大切な「生き方の指針」があります。 それが、「自分はなにによって憶えられたいか」。 自分は、どんなひとだったと語られたいか。どんな思い出を遺

          7. 自分はどう語られ、どう憶えられるか

          6. 「死への距離感」を決める

          納棺師の木村光希(きむら こうき)です。 だれかの大切な人である故人さまと、大切な家族を亡くしたばかりであるご遺族の、最後の「おくられる場」「おくる場」をつくることをなりわいとしています。 「今日が人生最後の日」では、すこししんどいどうすれば、日々をより豊かにできるのか。 まず、自分なりに「死への距離感」を決めるのがひとつの方法です。 「自分も、この大切なひともいつか死を迎えるんだな」とただぼんやり思うだけではなく、「いつ死を迎えるか」を具体的に想定してみるのです。 そ

          6. 「死への距離感」を決める

          4. 「プロフェッショナル 仕事の流儀」で届いた3つの反応

          納棺師の木村光希(きむら こうき)です。 だれかの大切な人である故人さまと、大切な家族を亡くしたばかりであるご遺族の、最後の「おくられる場」「おくる場」をつくることをなりわいとしています。 「プロフェッショナル 仕事の流儀」で届いた3つの反応映画『おくりびと』の公開から10年以上経った、2019年初夏。 NHKのドキュメンタリー番組『プロフェッショナル 仕事の流儀』に、納棺師としてはじめて出演させていただきました。 企画を打診されたとき、はじめは黒子の自分が出演してもいい

          4. 「プロフェッショナル 仕事の流儀」で届いた3つの反応

          3. 納棺師が考える「生きるということ」

          納棺師の木村光希(きむら こうき)です。 だれかの大切な人である故人さまと、大切な家族を亡くしたばかりであるご遺族の、最後の「おくられる場」「おくる場」をつくることをなりわいとしています。 納棺師が考える「生きるということ」なぜ、おくる場に納棺師が寄り添いつづける必要があるのか。 なぜ、既存の方法では自分のやりたいお別れができなかったのか。    理由はいくつかあります。 まず、亡くなった直後の初期ケアからはじまり、火葬のときまでご遺体をよりよい状態に保てること。 時間が経

          3. 納棺師が考える「生きるということ」

          2. 映画『おくりびと』がもたらした変化

          納棺師の木村光希(きむら こうき)です。 だれかの大切な人である故人さまと、大切な家族を亡くしたばかりであるご遺族の、最後の「おくられる場」「おくる場」をつくることをなりわいとしています。  映画『おくりびと』がもたらした変化ぼくが納棺師だと名乗ると「ああ、『おくりびと』ですね」と言われることも少なくありません。 『おくりびと』とは本木雅弘さん主演の映画で、チェロ奏者として夢破れて地元に戻り、ひょんなことから納棺師になってしまった男性とその妻、そして地域に暮らすひとたちを

          2. 映画『おくりびと』がもたらした変化

          1. 生きている人間が見る、走馬灯

          納棺師の木村光希(きむら こうき)です。 だれかの大切な人である故人さまと、大切な家族を亡くしたばかりであるご遺族の、最後の「おくられる場」「おくる場」をつくることをなりわいとしています。 生きている人間が見る、走馬灯亡くなる直前、ひとは走馬灯を見ると言います。 それがほんとうのことなのかどうかは、ぼくにはわかりません。 しかし、納棺や葬儀といった別れの時間は、遺されたひとにとっての走馬灯と言えるのではないか。そう、ぼくは感じています。 忘れていたような思い出が引き出さ

          1. 生きている人間が見る、走馬灯

          【よりよいお別れでよりよい社会を】納棺師-おくりびと-の木村光希です

          はじめまして。納棺師の木村光希(きむら こうき)です。 だれかの大切な人である故人さまと、大切な家族を亡くしたばかりであるご遺族の、最後の「おくられる場」「おくる場」をつくることをなりわいとしています。 お仕事のご依頼など:info@okuribito.co.jp (書籍・取材・メディア出演・講演 等) こんな人です誕生日:1988年9月3日 出身:北海道札幌市(現在は都内在住) 4人兄弟の次男 幼少の頃より、納棺師である父の影響もあり、遊びの一環として納棺の作法を学ぶ

          【よりよいお別れでよりよい社会を】納棺師-おくりびと-の木村光希です