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虹がかかると

 虹を見た。ぼんやりした虹で、気づいた時は3色くらいしか見えなかった。田舎なので、視界を遮るものがない場所では空が広く見える。道の左右で、空の青さが違う日でもあった。
 虹の方を見ると、一部分でなくアーチになっているのが分かった。気づいた時に比べると、濃くなっているようだった。
 虹を見ると、特別な気持ちになる。ささやかだけど、嬉しいことだ。虹がかかっている町は、絵本の中の風景になる。面白い形の雲が浮かんでいる町も、楽しそうだと思う。天候が悪くない日の空は、いつも平和で静かだ。
 虹がかかっている方、まだ黒い雲がいて天気が悪そうな方。道一本の左右で違うのが印象的だった。
 人生も、そうなのかもしれない。自分の環境は日によって違う。穏やかな日が続く時も、一日中暑い日が照りつける日、突然雷雨になる日。でもその後に虹がかかる日。空も凍りつくような寒さの日。
 いま生きているのは、頭の上の雲の流れが早く、黒い雲が去っていって安心しては、また遠くにある雲を見つけて心配している時。誰の頭の上にも、いろいろな季節が巡ってきているのだろう。雲の上にいるかのような、落ち着いて冷静な状態でいるようにはしたいのだけど、毎日の天気に振り回される日々だ。突然雨が降り出しませんように。

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