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そのサッカーを疑え!

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#横浜Fマリノス

R・マドリーの左サイド対PSGの右サイド等。「サイドを制するものは試合を制す」が該当する試合の数々

R・マドリーの左サイド対PSGの右サイド等。「サイドを制するものは試合を制す」が該当する試合の数々

 直近の5シーズンで4回優勝した川崎フロンターレは、その前に一時代を築いたサンフレッチェ広島(2012年〜2015年シーズンの間に3度優勝)とは、サッカーのスタイルが決定的に違っている。

 現在J1で川崎と首位を争う横浜F・マリノスも、近しい関係にあるのは川崎だ。

 広島の前に一時代を築いた鹿島アントラーズ(2007年〜2009年シーズンを3連覇)は、川崎的でも横浜FM的でもなかった。広島的で

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日本のサッカー界がいま、森保采配以上に憂慮すべき問題

日本のサッカー界がいま、森保采配以上に憂慮すべき問題

 オマーンにホームで0-1。W杯アジア最終予選の初戦で、いきなり敗戦を喫した日本。その第2戦対中国戦はファン注目の一戦だった。ところが、その視聴環境は劣悪だった。定額制動画配信サービス=DAZNに加入するしか観戦する手段がないという異常事態に陥ったのだ。サッカー競技の普及発展を考えれば、森保ジャパンの現状以上に憂慮すべき問題だと叫びたくなる。

 アジアサッカー連盟など、主催者が放映権を動画配信サ

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J1リーグ第2節で目撃した「サッカーの教科書」に載せたくなる2ゴール

J1リーグ第2節で目撃した「サッカーの教科書」に載せたくなる2ゴール

 土曜日(3月6日)に行われたFC東京対セレッソ大阪戦。FC東京が3-2で逆転勝利を収めた一戦だが、こちらの脳裏に焼き付いているシーンはC大阪の2点目だ。

 1-1で迎えた後半13分。原川力が決めた右足シュートもさることながら、それに至るプロセスが優れていた。サッカーの教科書に載せたくなる理想的なゴールだった。

 C大阪は瀬古歩夢がセカンドボールを拾うと、奧埜博亮、松田陸、清武弘嗣のパス交換か

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開幕したJリーグ。サッカー競技の進歩発展に貢献するサッカーに期待する

開幕したJリーグ。サッカー競技の進歩発展に貢献するサッカーに期待する

 Jリーグが開幕した。川崎フロンターレの2連覇なるか。通常の2.5枠から4枠となった降格争いが大きな話題として取り上げられている。

 金曜日に行われた開幕ゲームでは、その川崎が横浜Fマリノスと対戦。2-0のスコアで勝利を収め、2連覇に向け幸先よいスタートを切った。

 昨年の開幕前は、横浜Fマリノスの2連覇なるかに関心が集まっていた。2019年シーズン。アンジェ・ポステコグルー監督率いる横浜FM

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森保ジャパンは川崎フロンターレのサッカーを見習うべし

森保ジャパンは川崎フロンターレのサッカーを見習うべし

 鹿島アントラーズ(2016年)→川崎フロンターレ(2017、2018年)→横浜Fマリノス(2019年)。過去4年、Jリーグの優勝チームは、上記のように推移してきた。昨季は横浜が、鹿島(3位)、川崎(4位)の間に割って入り、2強時代を終焉に導いた。

 鹿島、川崎の巻き返しはあるのか。横浜の勢いは続くのかーーとは、過去4年の関係性に基づく今季の見どころになる。

 この中で鹿島はスタートダッシュに

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左利きの左ウイングと右利きの右ウイングが仕掛ける横浜FMの特異な攻撃

左利きの左ウイングと右利きの右ウイングが仕掛ける横浜FMの特異な攻撃

 日本代表の中島翔哉(左)と堂安律(右)がそうであるように、ウイングには右利きを左サイドに、左利きを右サイドに配置するケースが目立つ。かつては左には左利きを、右には右利きを置くことが常識だったが、この10年ぐらいの間に、多数派は入れ替わった。

 右利きの左ウイングは、利き足が内を向いているので、縦に行くより内に入りやすい状態にある。「カットインして右足シュート!」が狙いやすくなった分だけ、得点の

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誤審問題より憂いたくなる浦和レッズの寂しすぎるサッカー

誤審問題より憂いたくなる浦和レッズの寂しすぎるサッカー

 いま話題の誤審問題。去る土曜日、横浜国際日産スタジアムで行われた横浜Fマリノス対浦和レッズ戦で起きた横浜の2点目にまつわる問題だが、こう言ってはなんだが、これはありがちな誤審だ。他の原稿でも触れたが、かつてならばさほど大きな問題になっていなかったと思われる。

 VARという新しい判定システムの登場で、選手はもちろんメディアやファンまで、いまやすっかり判定にうるさくなった。検証したがり屋が増えて

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J副理事長の原博実氏以外「PKです!」とハッキリ言えない世の中を心配する

J副理事長の原博実氏以外「PKです!」とハッキリ言えない世の中を心配する

 日本はまだサッカーといい感じで向き合うことができていない。ルヴァンカップ決勝を巡る報道を見ながら改めてそう思った。

 さいたまスタジアムで行われた、横浜Fマリノス対湘南ベルマーレの一戦。1-0で湘南が勝利した試合だが、第3者的には、試合のハイライトは後半33分のシーンになる。湘南のペナルティエリア内で、同チームのMF岡本拓也が、その右足で横浜FWイッペイ・シノズカの足を引っかけ、転倒させたかに

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日本に望まれるのは、巧いのに巧さをひけらかさない奥ゆかしさ。

 ボールの奪い方が巧いサッカーを見るたびに思う。日本が目指すべき道はこれだ、と。

 最近では今季のヨーロッパリーグ(EL)を制した、アトレティコ・マドリーだ。シメオネが監督に就任してから、ずっと続く傾向でもあるが、そのボールの奪い方は芸術的でさえある。

 メンバーには好選手が名を連ねている。技術的に高度な巧い選手で占められているが、彼らは「私たちは巧いです」と、技量をひけらかそうとしない。きわ

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諦めた監督と貫いた監督。浦和対横浜戦のピッチに描かれた別模様

 日曜日に取材観戦したJリーグ第4節、浦和レッズ対横浜Fマリノスは、両軍が対照的な絵を描いた興味深い一戦だった。

 3節終了時点で浦和は13位。横浜は16位。ともに白星がなく、スタートダッシュに失敗していた。共通項はそれだけではない。サッカーの中身も似通っていた。4-3-3をベースに両サイドを使い、支配率の高い攻撃的なサッカーを目指したものの、結果を出せずにいた両チーム。あるべき姿を披露し、片目

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