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読書感想文

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記事一覧

蛇にピアス 金原ひとみ 感想

いつも聞いているポッドキャスト番組が取り上げていたので初めて読んだ。深い感銘を受けたと同…

牧場の猫
2か月前
6

幽玄F 佐藤究 感想

帯の宣伝文句はミスリードだ。右派テイストの航空アクションエンタメだと思わせて、『幽玄F』…

牧場の猫
4か月前
3

可燃物 米澤穂信 感想

読書スタイルを問わないところがまずいい。例えば苦痛でしかない交通機関での移動時間が、この…

牧場の猫
7か月前
3

マリエ 千早茜 感想

題材といい、描写といい、すぐにドラマ化できそうな上質の職人芸を堪能した。 冬の朝の室内か…

牧場の猫
8か月前
3

夏物語 川上未映子 感想

主人公の夏子の一人語りで、彼女が小説家ということもあって、私小説的なエッセイのようにも読…

牧場の猫
8か月前
8

地球星人 村田沙耶香 感想

私たちはものを考えるとき、頭の中で言語を使う。言葉を思い浮かべ、文章を組み立てては壊しな…

牧場の猫
8か月前
2

伊藤くんA to E 柚木麻子 感想

過去の直木賞の候補作を探っていく中で、気になった作者を見つけたので、試しにこの作品を読んでみた。初出は2013年。またしても、今、読むことで理解が深まるという、先鋭的な小説であった。だから、選評にはまるで納得できないのである。 伝わってないなぁ。 あまり興味を惹かなかった様子。 この二氏は、この作品の構造からくる欠陥を指摘しているが、私はそうは思わない。その辺りから感想を書いてみたい。 この小説は5話からなる連作短編の形を取っていて、登場人物は各話を跨って登場する。そ

透明な夜の香り/赤い月の香り 千早茜 感想

『しろがねの葉』の次にこの本を手に取り、二作を続けて読んだ。ストーリーも文体も気に入った…

牧場の猫
8か月前

コンビニ人間 村田沙耶香 感想

初出は2016年、同年の第155回芥川賞の受賞作。当時に読んだ印象は、変わり者の主人公がコンビ…

牧場の猫
8か月前
7

しろがねの葉 千早茜 感想

2022年下半期の直木賞を、小川哲氏の『地図と拳』とダブル受賞した作品。選評を文末に引用する…

牧場の猫
8か月前
3

黄色い家 川上未映子 感想

この小説のどこがおもしろかったのだろう、と考えて、帯の宣伝文句をダシにしてみようと思った…

牧場の猫
9か月前
11

ハンチバック 市川沙央 感想(追記あり)

刺激に満ちていて面白く、一気に読んだ。小説に限らず、現代の芸術芸能エンタメ作品は、作者の…

牧場の猫
9か月前
27

乳と卵 川上未映子 感想

138回芥川賞受賞作。まずこの選考会の石原慎太郎氏の選評を晒しておきたい。 文字通り受け取…

牧場の猫
9か月前
4

ミート・ザ・ビート 羽田圭介 感想

どこが面白くないのかを考えていくと、小説とはなんだろうという疑問にたどり着く。まずは芥川賞候補時の選評をチェックしておきたい。2009年下半期、第142回は受賞作なし。その時点で羽田氏は24歳であった。 もう本当にボロクソ。箸にも棒にもかからないという感じだ。村上龍氏の総評も紹介しておこう。 諸氏の選評は危機感すら伝わる感情的な表現なのだが、僕は、少し違う視点から考えた。この小説はどこが面白くなかったんだろう、面白くなりそうな感じはしたんだけど、というところをクリアにした