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おまえなんかに会いたくない

乾ルカ 2021年

・あらすじ
2020年。世の中は新型ウイルスが猛威を振るい混乱をきたしている中、高校卒業から10年を迎え、同窓会をすることになった。それぞれが別々の道に踏み出し、それぞれの取り巻く環境も変化に変化を重ね、久しぶりにみんなで会うことに。しかしその中には、かつてのクラスカーストの上下関係が。上の者にかき乱される下の者。それは今も昔も変わらない。もともと複雑だった人間関係をさらに混乱させーー混沌とした人と人との繋がり物語。

・感想
前々から、SNSで良く見かける本で気になっていました。非常に混沌とした話でした。

「クラスカースト」

嫌な言葉ですが、どの集団にも必ずといっていいほどあるでしょう。人が集まる場所である以上、いろんな人たちがいると思います。この話はそんなクラスカーストが原因で、人間関係がさらに複雑化して壊れていく様子が描かれていました。

ある日SNSで「同窓会をする」と同窓会の幹事を務める人が呼びかけました。卒業後、10年も経ってしまい、同級生が今どうなっているのか全く分からない状況。昔のことを懐かしみ、興味深く思う一方で、関係性が良くなかった人のことも思い出し、特定の相手を攻撃したり、それに恐怖心を抱き、億劫になったりする人たちの様子が描かれていました。

特に作中に何度も何度も登場し、不気味がられた「遺言墨」で書かれた手紙。それが10年前に埋めたタイムカプセルの中に入っているといいます。それはカースト上位の人に、下位の人がいじめられ、その人を恨んだことから入れられたもの。何かの因縁を感じ怖がって、同窓会に行こうかどうしようかためらう人の姿もありました。読んでいる側の私でも、相当不気味だと感じました。私だったら逃げてしまうかもしれません。

学生の頃のクラスカーストは卒業をしてしまえば、あまり関係のないことかと考えていました。しかし、意外にもこんなに長く引きずってしまうものなのかと感じました。実際、自分の今の生活にあまり関係のないことのようにも感じ、そこまで気にする必要はないのに、ここまで昔の感覚をいまだに引きずっているのかと感じました。人選びは、本当に大事ですね。

来年の3月で高校を卒業しますが、この先10年、20年と経って、同窓会でまたクラスメイト達と会ったときどんな感じなのか気になるところです。まだ、人生で同窓会というものを経験したことがないのです。本当は、高校に入学したあたりで、小学校の同窓会とかがあったのかもしれませんが、コロナの影響なのか、そういう話も持ち上がってきませんでした。「今会ったら、みんなぜんぜん雰囲気変わっちゃってるのかな?」と思ったりして、今後が楽しみです。

・書籍情報
初版刊行:2021年9月10日
刊行元:中央公論新社
定価:本体1600円+税
備考
なし


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