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出会いなおし

森絵都 2017年

・あらすじ

人生の大切な時間を鮮やかに描く珠玉の短篇集

過ぎてゆく時間の中で、再び「出会い直し」ていく人々の物語。
人生の大切な時間を、鮮やかに、そして、深く描く、珠玉の短編集。

森絵都さんが、時間をかけて、熟成してきた短編たちを編んだ本作は、年を重ねるということの意味を改めて実感できる表題作や、意外な視点のショートストーリーもあり、身近な人との絆を見つめ直したくなるような、優しさと、確かな生の重みに満ちた作品を楽しめます。

文春文庫『出会いなおし』森絵都|文庫-文藝春秋BOOKS 2024年4月25日
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167914530

・感想
森絵都さんの作品、とても心温まる作品が多い印象です。
2021年に『カラフル』を読んだのですが、とても「自分とは何か」という、一番大事だけど普段は忘れてしまっていることに気づかされたように感じました。あれからもう3年も経つんですね。このアカウントも開設初期でした。

先日、図書館をまたいつものようにうろついていたら、森絵都さんの作品を発見!これは面白そうと思って借りてきました。

様々な人間関係が描かれていました。カブの入っているはずのサラダにクレームをつける女性、子育て真っ最中のお母さん、原子力発電所で働く職員、子どもと一緒にドライブするお父さんなど。それらに共通していえることは、過去の経験が自分自身を救ったということです。例えば、サラダのクレーマーも過去にカブ料理を大量に作っていたから、ダイコンと見分けることができ、素行の悪い店員との争いに勝つことができた。子どもと一緒にドライブするお父さんも、事故に遭いそうになった時、今は亡きその人の父の「止まるな!」という言葉があったからこそ、事故に遭わずに済んだと書かれていました。

過去の経験は思わぬところで、自分自身を救ってくれることがあるものです。私自身、何度も困難に直面したこともありましたが、過去に大人たちから言われてきたことがふと頭の中に思い出され、打開することができた、回避することができたと思います。こういったことから、普段の大人の指摘が似つかわしいと思ったりしていても、やはりそこは素直に聞くことが大事なのかなと考えております。結局どこで役に立つかは分からないわけですから。これからも言われたことや経験を大事に生きていきたいと思います。

・書籍情報

出会いなおし 森絵都
初版刊行:2017年3月25日
刊行元:文藝春秋
定価:1540円(税込)
ページ数:232
ISBN978-4-16-390620-1

備考
初出『オール讀物』
出会いなおし 2015年8月号
カブとセロリの塩昆布サラダ 2016年2月号
ママ 2014年8月号
むすびめ(「ほどける」改題)同年2月号
テールライト 2015年2月号
青空(「朝、目覚めてすぐに思うこと」改題)2016年8月号


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