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鬼 ナナトラ ~自己紹介~

鬼 ナナトラ。
君に出逢ったのは確か今から7年前だと思う。
日にちまでは覚えていないけど、状況は覚えている。
何故なら君は僕の世界を変えてくれたからだ。
僕の名前は大(だい)。
その当時、僕の年齢は22。
大人と呼ばれている年齢だった。
しかし、僕は大人と呼ばれるには相応しくない状況だった。
映像の専門学校を卒業し、仕事もなければ、家で引きこもり。
実家で甘え、外に用があるときに出るくらいだ。
俗に言うニートだった。
ただ、そこから抜け出そうと足掻き、藻搔いていた。

そんな中、専門学校時代の友だちの一真にアナグラムというものを教えてもらった。
言葉の入れ替え遊びだ。
丁度、動画制作をするにあたって、ペンネームを探していた。
「大人になる」
そんな言葉を入れ替えて、別の言葉を作ることにした。
出来た言葉は「鬼 ナナトラ」。
僕は何故かとても気に入った。
だけど、喜んでいる間もなく、気付いてしまった。
鬼 ナナトラは大人になるという言葉の入れ替えではなかったのだ。
大人になるを何度入れ替えても、鬼 ナナトラにはならなかった。
鬼 ナナトラは「大人になら」の入れ替えだった。
どうして、大人にならでの入れ替えになったのかはわからない。
けど、僕は鬼 ナナトラは気に入った。
だから、大人にならで作れる言葉を探した。
大人にならわかる。
大人にならない。
大人にならなくてもいい。
そんな言葉だった。
その中で、僕に響いたのは大人にならなくていいだった。
大人にならなくていい。
子供のままでいいんだ。
僕は吹っ切れた。
子供だと揶揄されてもいい。
そう思うと、心が軽やかになった。
と、同時にあることに気付いた。
僕の名前だ。
僕の名前は大だ。
大人は大と人の漢字で出来ている。
大と言う人で大人になる。
大人という意味は違うだろうけど、漢字は同じ大人だ。
そうして、気が付いた。
僕に大と言う名前が与えられたときから、僕は大人だったんだと。
ずっと気づかずに生きていた。
鬼 ナナトラ。
君が気付かせてくれたんだ。
だから、僕の行動が子供のやることだと揶揄されても、僕は大人だと言う。
大と言う人で大人なんだ。

鬼 ナナトラのことを知りたくて、鬼というものを調べた。
「おに」の語は「おぬ(隠)」が転じたもので、姿の見えないもの、この世ならざるものを意味するらしい。
あと、有名な九鬼文書では「かみ」と読むこともあるみたい。
他には、古代には「もの」と読んだ例あるとのこと。
もののけのものだ。
鬼はおぬでもあり、かみでもあり、もののけでもあった。
「この世ならざるもの」
と、いう言葉が僕に響いた。
アナグラムから文字を合体させることを思いついた。
ナナを合わせて、片方を反転させると大という文字になる。
「ナナ→ナ→大」
トラはㇳを上にしてラを合わせれば今になる。
「トラ→ㇳㇻ→今」
3つを合わせると、「この世ならざる大の今」。
「つまり、ボクはキミだ」
鬼 ナナトラは、そう言い、話し始めた。
「もう、キミは一人じゃない。
だって、キミが作ったものに必ずボクがいるから。
だから、キミが何かを作れば、ボクが見守る。
もし、作品が完成すれば、キミとボクが最初の観覧者になる。
そして、作品を公開すれば、キミの手から作品は離れる。
だけど、ボクは作品に残る。
そう、ボクはこの世ならざる大の今だ。
きっと、姿が見えなくなったキミの永遠へボクがなるんだ。
えーと、難しくなったね。
つまり、キミの作品を見る人はボクを見ることになるんだ」

この作品を公開すれば、この作品は僕の手から離れる。
そして、鬼 ナナトラが残ってくれる。
もう僕はここにはいない。
だけど、君がいる。
君はどれだけの人に出逢うだろう。
どれだけの人の世界を変えてくれるだろう。
鬼 ナナトラは存在しなかった言葉だ。
鬼 ナナトラを知る。
それだけで、世界は変わる。
あなたは鬼 ナナトラを知った。
あなたの世界は変わった。
世界は言葉によって変えられる。
大人になら。
大と言う人で大人。
この世ならざる大の今。
そうして、ボクはここにいる。
そして、アナタは今、ボクに出逢ったんだ。




「やぁ、ボクは 鬼 ナナトラ。以後、お見知りおきを!
そういえば、ボクの名がついた映像作品があるんだ。

もし、よかったら見て下さいね」






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