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スペースエイジとトゥモローランド2 「グーギー建築」

トゥモローランドとグーギー建築シリーズの続きです。
まだ1の記事を読んでない方はどうぞこちらからご覧ください。

前回の記事でいきなり「グーギー建築」とか言い出してしまったので、今回はそもそもグーギーとは何か?について解説する記事にしたい。

そもそもグーギーの歴史について


reference :wikipedia

グーギー建築の始まりは、1930年代のアメリカ ロサンゼルスで発祥したと言われている。
これは、アメリカの中のモータリゼーションと大きく関連していると思われる。
モータリゼーションとは、すなわち「自動車社会」。


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1930年代のアメリカは「T型フォード」の登場に代表されるように、急速に自動車が浸透していった時代だ。

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そこで、登場したのがドライブの途中でガソリンを補給したり休憩をとる「ダイナー」や「モーテル」だ。

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「ダイナー」は食事をとる場所、「モーテル」は宿泊施設。
ガソリンスタンドと一体型になっている「ドライブイン」などもこの時代に登場した。
ロードムービーなどで、上記のような場所をみたことがある方も多い思う。

さて、話をグーギー建築に戻そう。
グーギー建築はダイナーやモーテルのデザインに取り入れられて発展してきたデザインなのだ。
事実、グーギー建築の多くは、都市部ではなく郊外のロードサイドのダイナーやモーテルの店舗で目にすることができる。

ロードサイド型店舗の威信をかけて派手で目立つデザインしていこうとする中で発達したのが、「グーギー」だ。

テクノロジーとグーギー


1939年に行われた万博「フューチュラマ"Futurama"」も「未来を象徴する存在」だった
reference:wikipedia

グーギーはその時代のテクノロジーの発達と密接に関係している。

グーギーのデザインを紐解く鍵が「未来性」だ。

モータリーゼーションも、この未来・テクノロジーという分野で関わっている。

つまり、1930年代当時、自動車というのは目覚ましい科学テクノロジー発展の象徴的なものだったのだ。
グーギーはただ派手で目立つデザインというわけでなく、常にその時代のテクノロジーがデザインに反映されている。

1950~60年代に入ると、グーギー建築は「黄金時代」を迎える。

その際たる例が「ロサンゼルス国際空港」のデザイン
reference : https://visualhunt.com/

グーギー建築の多くは、「スペースシップ」など宇宙的なモチーフのものが多くデザインに反映されるようになっていく。

これは、冷戦が到来し、旧ソ連との宇宙開発競争が激化したことによりデザインの世界に登場した「スペースエイジ」の影響と考えられる。

人類は宇宙へ行くことを夢見ていていた時代。
テクノロジーやまだ見ぬ果てしない人類の可能性への夢がグーギーデザインには表れているのだ。

トゥモローランドとグーギー建築


再び話をトゥモローランドに戻そう。

みなさんは、トゥモローランドを訪れて感じた違和感はないだろうか?



「なんで " tomorrow(未来)"なのにちょっとレトロなんだろう?」と。

その理由は、この記事を読めばなんとなくご理解いただけると思う。
つまり、「トゥモローランド」の「tomorrow(未来)」とは1960年代のアメリカが見た科学の夢であることがわかる。

トゥモローランドは、もはや今日からみると科学の夢の跡という印象さえ抱く。

東京ディズニーランドにおいても、2017年に惜しまれながら引退した「スタージェット」や「グランドサーキット=レースウェイ」などがトゥモローランドに存在した意義も興味深い。「スタージェット」はスペースシャトル、「サーキット」はモータリゼーションの象徴なのだ。

今日、これらのアトラクションが姿を消したのも、科学への夢の在り方が社会の中で変容していることを表しているとも言える。

この「トゥモローランドとグーギー建築」シリーズはまだ続く予定です。

次回は、万博とトゥモローランドなどをテーマに記事を書きたいと思います。

Reference


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