今夜、わたしは貴方に逢いにゆきます。 とても遠くにいる貴方に、わたしはひらひらと飛んでゆきます。 あの日の、貴方の眼鏡の奥の全く分からないような表情と、すぐに目…
午前2時30分、私は下宿先の古びた木造の二階の窓と網戸を全開にして、窓辺に腰掛ける。 目の前には畑と、山が広がっている。 畑には、キュウリやキャベツなど、様々な季…
連休の中日、あまりにも気持ち良くて でも、家族3人とネコ一匹でぐうたらしようと、 今日は一歩も外へ出ず、各々好きなことを存分にする。 娘はアニメを見ながら研究し…
一昨日のこと。 私は家の掃除をしていた。 とても穏やかな気分で、リビングをほうきで掃いていた。 あ…… 鏡…… 突然そう思った私は ほうきを片手に洗面所へ向かっ…
確か私が26歳頃 当時19歳だった男の子とセックスをした。 ひー君という男の子は大学生。 私は社会人だった。 私はヘアメイクの仕事をしていて、ひー君はお客様だった。…
ベランダの窓を開けると 目の前の空いっぱいに 沢山の星がある。 それらの中心には 巨大な三日月がいて 優しく目を閉じている。 三日月の表面は おぼろ豆腐の様にふわふ…
貴方は私を置いていってしまった どこか遠く? もしかしたら近くにいるの? 貴方の声を聞いた時 それは私の真ん中を通り抜け この気持ちは揺らぐことがないだろう そう思…
私はいついかなる時も、冷静沈着に物事を分析してしまう。そんな自分を改めていやらしく思えた瞬間だった。 だって相手はこんなにも情熱的に私に感情をぶつけてく…
私と貴方は非常階段を昇る。 貴方に手を引かれた私は、ぐるぐると目が回りそうになりながら、引きずられる様に後をついて行く。 「誰にも見つからない場所へ行こう」…
八月一日、猛暑。 私と五十嵐さんは二人で歩いていた。住宅街の坂道をゆっくり上がる。気温が高すぎて、アスファルトとその先の景色が蜃気楼の様に歪んでいる。 「…
もも
2022年1月19日 01:22
今夜、わたしは貴方に逢いにゆきます。とても遠くにいる貴方に、わたしはひらひらと飛んでゆきます。あの日の、貴方の眼鏡の奥の全く分からないような表情と、すぐに目を逸らした横顔の綺麗な顎のラインに、今から逢いにゆきます。バーカウンターの前で、小さな照明に照らされた貴方のその華奢な肩に、一度でいいからそっと触れさせてください。そう願って、今から眠りにつきます。片付けても次々と散らかるこ
2022年1月16日 23:09
ももちゃん、頑張らない。力まない。腑抜けな自分をそのまま可愛がる。今まで生きてきた。それで良し。
2020年11月30日 16:22
午前2時30分、私は下宿先の古びた木造の二階の窓と網戸を全開にして、窓辺に腰掛ける。目の前には畑と、山が広がっている。畑には、キュウリやキャベツなど、様々な季節の野菜が立派な姿で育っているが、ひとつひとつの感覚が広すぎる。どこからともなく、「今回は不作だ」と声が聞こえてくる。私はその声に耳を傾けながら畑の野菜の数を数え「どう考えても村の人達で分け合うには足りない。それな
2020年11月22日 22:00
連休の中日、あまりにも気持ち良くてでも、家族3人とネコ一匹でぐうたらしようと、今日は一歩も外へ出ず、各々好きなことを存分にする。娘はアニメを見ながら研究して、お絵描きをしている。そして飽きるとYouTubeでクリスマスプレゼントのリサーチ。夫は焼酎を飲み、ベースを弾き、飽きたらベランダで昼寝。私は夫のMarshallのヘッドフォンを借り、大好きなミュージシャンの曲をひたすら聞く。
2020年11月19日 21:27
一昨日のこと。私は家の掃除をしていた。とても穏やかな気分で、リビングをほうきで掃いていた。あ……鏡……突然そう思った私はほうきを片手に洗面所へ向かった。洗面所の壁に備え付けてある大きな鏡の棚の前に立つ。 何だか集中力が途切れてしまいキッチンの換気扇の下で煙草を吸っていた。しかし、どうにもこうにも視線を感じる。洗面所から、ジッと視線を感じる様な気がして
2020年9月21日 21:42
確か私が26歳頃当時19歳だった男の子とセックスをした。ひー君という男の子は大学生。私は社会人だった。私はヘアメイクの仕事をしていて、ひー君はお客様だった。そのお店は指名無しでタイミング良く空いているスタッフが接客するスタイルだったのだがひー君は「どうしても、ももさんでお願いします」と毎回謙虚に言うのでスタッフの中では暗黙の了解になりいつも私が接客し
2020年7月25日 10:59
ベランダの窓を開けると目の前の空いっぱいに沢山の星がある。それらの中心には巨大な三日月がいて優しく目を閉じている。三日月の表面はおぼろ豆腐の様にふわふわで指先で触れたら今にも崩れそうだ。三日月が私に気付いた。目だけ私を見ている。きっともう片方の目はウィンクしているのだろう。月の愛を感じる。月はニッコリ笑う。その瞬間三日月の口の中からうんと小さな燃え
2020年6月19日 09:51
貴方は私を置いていってしまったどこか遠く?もしかしたら近くにいるの?貴方の声を聞いた時それは私の真ん中を通り抜けこの気持ちは揺らぐことがないだろうそう思ったある日、貴方が死んだあれは今でも事故だったのだとそう信じている。貴方の声を思い出すととても辛くなるからもう思い出さない様にしてる私の頭の中で急に貴方の声が鳴り響く貴方の笑顔が浮かび上がる私はハッと
2020年6月9日 15:56
私はいついかなる時も、冷静沈着に物事を分析してしまう。そんな自分を改めていやらしく思えた瞬間だった。 だって相手はこんなにも情熱的に私に感情をぶつけてくるのに、私はそれを優しく包んだり激しく返そうともしない。どうしてもそうなれないのだ。 私は、どんなに静かに端っこにいようが、どんなにひっそり座っていようが、目立ってしまう。ずっとずっとそうだった。小学生の頃から、皆でふざけていて
2020年6月4日 20:29
私と貴方は非常階段を昇る。 貴方に手を引かれた私は、ぐるぐると目が回りそうになりながら、引きずられる様に後をついて行く。「誰にも見つからない場所へ行こう」 そう言った貴方の横顔が、とてつもなく切なく歪んでいる。私はその横顔を眺めながら、小さく頷いた。 真夜中の歓楽街はどこか物憂げで、少しでも空が明るくなったら私は消えてしまいたくなるだろう。 「ねぇ、この後どうするの?」
2020年5月23日 03:04
八月一日、猛暑。 私と五十嵐さんは二人で歩いていた。住宅街の坂道をゆっくり上がる。気温が高すぎて、アスファルトとその先の景色が蜃気楼の様に歪んでいる。 「佐々木さん、もうすぐ着きますよ。ほら、あの白い建物。白いアパートが四棟ありますが、あの突き当りの……」 五十嵐さんはそのアパートを指差しながら、少し歩調を早めた。 私は隣町に住んでいたが、同棲した彼と別れて、私が引っ越しをする事に