研究に必要な心得 【疑問を構造化③】


今回はリサーチ・クエッションについて話していきます。

リサーチ・クエッション(以下RQ)とは、いわばクリニカル・クエッションを構造化することです。


曖昧であったクリニカル・クエッションを、、具体的かつ明確で実施可能な研究の形に整えていくステップです。

研究で明らかにしたいことを宣言したもっとも短い文とされ、「研究の基盤」となります。


RQが曖昧であると臨床研究はできません。


RQの良いところは、考えていく過程で変化したり、新たなアイデアが生まれたりすることもあります。


ここを考えることで、学会などにおいても他の研究者とのコミュニケーションが容易になります。


明らかにしたいことが明確になります。


整理ができます。


RQのポイントはいくつかあります。
説明をしていきますね。


①実施可能性
どんなに意義深い研究であっても、実施可能性がなければ最初から計画する意味はありません。例えば、研究に必要な予算を獲得できるか、自分がアクセスできる対象なのかを早くから考えておく必要があります。サンプル数が集まりにくいといったことが多く遭遇するものでしょう。
②倫理的
科学的に実施されるものでなければ、倫理的であるといえません。また、実施する前から信頼性・妥当性の高い情報を得ることができないと実施前からわかっているのであれば、研究の実施自体が非倫理的であると判断されると思います。そして、発表の際は倫理委員会を通す必要性があります。これは必須項目であります。

③新奇性、独自性
これは研究者にとって必要なところです。他者が行っている研究を同じようにやっていれば、高い評価は得られないでしょう。これは私自身もよく悩むところです。もう考えていたことはすでにわかっていることというのは珍しくありませんので。しかし、先行研究でわかっていたとしても、改善の余地があれば倫理的であるといえます。最終的に研究結果がクライアントに便益であることがよいと思います。

④切実な問題
新奇性や独自性であり、現場で切実な疑問を扱っているか否かを検証する必要があります。寧ろ、臨床研究に携わっていない技術職員たちにも納得を得るにはその点だとも言えます。
⑤科学的に測定可能
RQはあくまで概念として明確に定義されています。それを最終的には測定可能な変数に変換されなければなりません。特に量的研究では、すべての要素を変数化していなければ解析できないからです。
 さらに測定方法の尺度が適切か否か、信頼性や妥当性も検討する余地があります。

⑥要因・介入が修正可能であり、アウトカムが改善可能
主要な要因がアウトカムと関連するか否かを検証する場合には、修正が可能かどうかが極めて重要です。たとえ、アウトカムと高い関連性を有する要因が究明できたとしても、介入・改善が可能でなければ、その研究は興味深いで終わってしまう可能性があるからです。臨床研究の原点は診療の質や患者のアウトカムを変えることにあると言われてます。これは私にも強く突き刺さる言葉です。だからといって藪から棒に責めてもいい研究はできません。一つずつ積み上げていくしかないのです。

⑦構造化されていること
具体的で明確な表記であり、何がどう問題なのか疑問点をはっきりクエッションの形に定式化するのが重要です。


RQの必要な要素について話しました。


次回は実際にCQからRQへ変えていくワークをやってみましょう。

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