座談会:現代、オタクが本屋に行く理由(with 牧ナタ)
こんばんわ。深夜区トウカと言います。
今回は「まがじん!」メンバーでものすごい百合オタクの牧ナタ氏と共にオタクが本屋に行く理由を求めて座談会をしたので、その模様をお伝えします。
(「座談会じゃなくて対談じゃん!」ってツッコミはやめてください! 座談会って付けたかったんです!)
座談メンバー:深夜区トウカ、牧ナタ
書き起こし:深夜区トウカ
なぜ座談会をやるのか?
我々はいわゆる"本屋オタク"ではありません。たくさんの本屋を巡り、そこで本を買う、そんな人種ではないのです。
では何者かと言えば、アニメやゲームや漫画が好きな、特段なんの変哲もないオタクです。それでも我々は本屋に行くのです。
では、我々にとって本屋とはなんなのでしょうか。また、ネットが発展している現在、なぜ我々は本屋に行くのでしょうか?
この問いに正解はありません。この座談会を通し、私たちは私たちなりに、自分の心の中にある正解に迫っていきます。
座談会進行
トークテーマを順序立て、それに則って雑談形式で進行していきます。第一節は雑談多めで自分と本屋との関係を振り返り、第二節でそれを踏まえて大テーマである「自分なりの本屋に行く理由」が何かを解き明かしていきます。
ということで、トークテーマ座談の方に移りますが少々長めなので随所を目次として飛べるようにしています。
気になったところに飛んで、そうでないところは飛ばすといった活用をしていただけると幸いです!
それでは参ります!
第一節:己の中の本屋を見つめ直してみよう
①:自己紹介
深夜区トウカ(以下、深)
深夜区トウカという名前で、主にnoteを中心として活動しています。普段自分がどんな界隈にいるかって言ったら、基本的には漫画を読んだりとか、ボカロ曲を聞くことが多いかな。もちろんアニメも見るし。で、最近は百合漫画。比較的最近はまった趣味だけどもうどっぷりです。いろんな物が好きです。
牧ナタ(以下、牧)
秋ナタというユーザー名でノートを投稿して……いません! 幽霊部員になっております(*最後の記事は8ヶ月前)。
オタクとしてはそうですね、主に百合とシャニマスでやってまして、最近はアイマス全般かな? 手を出し始めています。今年からアイマス追ってる状態です。
百合は主に漫画とラノベで、来年の目標はゲームと、小説と百合のボイスドラマのあたりに手を出していきたい所存でございます。noteは、いつか気が向いた書くかもしれない感じででございます。
深
そんなこんなでやってますけども、今回は「なぜ本屋に行くのか」ということで、この我々2人が、本屋に行く理由を探っていこうと思います。
②:最近本屋って行った?
牧
最近は……最後に行ったのはいつかな。
深
私最後に行ったのは1週間前に、ちょうど(*牧ナタ氏と共に)神保町巡りをして、そこで百合姫買ったのが最後かな。どこだっけ(*確認したら丸善でした)。
牧
一週間前じゃないのでは?
深
2週間前か(笑)。
牧
俺もそれが最後。
深
あー互いそんないっぱいは行ってないね。
牧
何かの発売日があったわけでもないので。いや、あったんだけど今ちょっと放置してるから……。そうね。まぁ……行ってないね(笑)。でも2週間行ってないと「本屋行ってないな」って感じるぐらいだから、そこそこの頻度で行ってるってことじゃない?
深
それはある。
牧
俺本当は1週間に1回は行ってる。基本的に何かしらの発売日が週1で来るから。そうなると今は谷間の期間なのかな。
深
あ、でも、本屋には行ってないけど、コンビニで『ジャンプ』は買ってる。
牧
本屋には行ってないけどコミティアには行ったね。
深
(笑)。それは良い。
③:どの地域、どの本屋に行く?
深
これは明確な答えが私の中にあります。これはね、池袋ジュンク堂本店。これはもう1択。私のホームは、池袋ジュンク堂。
牧
あのポイント還元率の悪い……。
深
(笑)。ポイント還元率本当ひどいよね。あとは池袋のメロンブックスにも行くかな、その流れで。ちょっと遠いけど。
牧
私のテリトリーは新宿で、基本的に新宿のアニメイトかメロンブックスですね。昔は紀伊国屋で本を買っていたんですけど、最近は滅多に行かなくなっちゃいましたね。アドホックビルに漫画ブースがあった頃は、ちょくちょく行ってたんですけど。
深
それが原因で行かなくなっちゃった?
牧
それが原因ってわけではないんですけど、それぐらいの時期に行かなくなっちゃった。
深
なるほどなるほど。
牧
後はなんかあったかな本屋。他に……行かないね! でも一応池袋のアニメイトとかメロンブックスにも池袋に用事があるときは足を運ぶね。そっちの方が品揃えが良いので。
深
アニメイト結構行くんだね。
牧
そうね、CDとかはアニメイトで買うね。
深
そうかそうか! 私はやっぱ基本的に「漫画買うときポイントが良いから」っていう理由だけでメロンブックス。あんま同人誌買わないから。だからアニメイトはあんまり行かないな。なんで、私のホームはやっぱジュンク堂と池袋メロンブックス。それで牧ナタ氏のホームは?
牧
新宿と池袋のメロンブックスとアニメイトって感じかな。新宿がメインで。
④:本屋で何を買う?(例:漫画・ライトノベル・一般文芸・学術書等々)
深
学術書はないよね。一応書いたけど。
牧
学術書はないね。でも、本屋普段は買わないけど、暇なときにそういうコーナーに行って「ちょっと面白そうだなこの本」って思うことは、ある。そういう本はお高いので、買ったことはない! 買うものに関してはもう答えは出てるんじゃないでしょうか?
深
そうだね。もう自己紹介のときに言っちゃったかな。やっぱ私は漫画を買うし、牧ナタ氏は漫画とラノベだよね。
牧
まあ今年買ったラノベのほとんどを積んでるわけですが。
深
(笑)。積読はいいんだよ! 金が還元されてるんだから。私はやっぱり割と漫画専門みたいなあるかも。「小説も買いたい」「ラノベも買いたい」っていう気持ちがあるけど、なんかあんまり手が伸びない。でも小説自体は全然大好きです。青空文庫でよく無料で読んでる。やっぱり、古典文学が無料で読めるから。
牧
素晴らしい。
⑤:今読んでいる雑誌
牧
これお互い同じなんじゃないですか。
牧&深
『ジャンプ』と『百合姫』!
牧
読んでるわけじゃないけど、毎回買ってるのはティアズマガジン(笑)。あんまり内容は読んでない……。
深
ティアズマガジンは力入ってるけどやっぱあんま読まないよね……。
牧
まあでも、ティアズマガジン以外にも興味のある内容が入ってる雑誌はちょいちょい単体で買う。
深
そういう感じなんだ。私は購読みたいなことが多くて、それ以外で雑誌買うことってあんまないんだよ。
牧
例えば、『劇ス(劇場版少女☆歌劇レヴュースタァライト)』の(古川知宏)監督のインタビューが載ってる『アニメディア』とか。あとあれだね、追ってる漫画家が読み切りを載せた『ジャンプGIGA』とか。1冊だけあります。あれかな? 確か『SAKAMOTO(DAYS)』の作者インタビューが載ってる上に『レッドフード』作者の読切も載ってたはず。
深
『レッドフード』狂いだもんね、牧ナタ氏は。
牧
『魔々勇々』が『レッドフード』のようにならないことをずっと祈ってるから。
⑥:行きつけ本屋のいいところ(ボリュームたっぷり)
深
これはね私はもう、聞きたかった事で。個人的に発表したかったし聞きたかったことです。ではじゃあ私から。行きつけ本屋の良いところ、池袋ジュンク堂。池袋ジュンク堂はね、何といっても地下1階漫画コーナーよ。
牧
漫画の天国と言ってもいい。
深
もう漫画家のサインがバーッってあって、それだけでテンション上がる。その上に何がいいかって、行ったことある人はわかると思うんだけど、ただただ棚に陳列されてるだけじゃなく島みたいなスペースがあって、そこで結構マイナーな新作漫画とかを推してくれてたりする。それが本当にありがてえ。
あとは知る人ぞ知る情報なんだけど、エスカレーター降りてまず、出ましたと。そこをちょっと右の方に行くと、通路がありまして、その通路をまっすぐ行って左。3列目かな? 左に行くと、やべえ棚がある。
牧
どんな棚なんですか?
深
いろんな作者の多分書店員イチオシのマイナーな短い漫画とかあるいはその読切とか、そういうのがいっぱい乗ってる棚がありまして。私はそこで例えば『夜と海』買いました。
牧
出会いがあったわけですね。
深
あとPanpanya先生の本がよく置いてある。『動物たち』『足摺り水族館』とか買いました。そういうイチオシコーナーが隠れてるのが、超良い。
牧
知らない漫画と出会える場所だね。
深
まさにその通り、知らない漫画と出会えるってとこが、池袋ジュンク堂の本当に強み。メロンブックスのいいところは、単純にポイント還元率が高いというところと、それからなぜかよくわからないけど、リーフレットがよく入ってるというとこと。
牧
そこは俺が話そうかな。イチオシはメロンブックスですね。別に「どこの店舗が」というわけじゃないんですが、ポイントが凄まじく貯まる! 素晴らしい! 実は還元率はアニメイトの方が高いんですけど。アニメイトはデフォルトで5%還元でメロンブックスは、会員レベルを上げないと5%にならないので。
深
確かデフォルトだと3.6%(*2%でした)とかだったよね?
牧
デフォルトのグリーンが3.6%(*2%)で、5000円使った次の月にシルバー会員。その月だけ5%(*3.6%)還元かな。次のゴールドは2回ぐらいしか行ったことないから忘れちゃったけど、なんか7%(*5%)ぐらい還元された気がする(*お互い一ランクずつ認識がズレていたようです)。
まずポイント還元率がそれなりにあるということと、店舗特典がとても優秀ですね。他の同じようなオタク向け書店だとイラスト1枚とかあったりすることがあるんだけど、メロンブックスは割と高確率でリーフレット。漫画だったら4コマみたいなのがついてきたり、ラノベだったら書き下ろしの2ページとか4ページとかの書き下ろしショートストーリーが読めたりね。
深
それこそ『あだしま(安達としまむら)』とかにもついてますね(*牧ナタ氏から貸してもらっている)。
牧
そんな感じで本編には載ってない書き下ろしを読むことができるっていうのは素晴らしいところだと思います。あと同人誌を買えるっていうところが結構お気に入りですね。
深
同人誌屋さんだからね、本来は。
牧
即売会まで行かないようなときはちょっと割高だけどメロンブックスの委託が便利だね。もちろん委託の同人誌でもポイント対象なので、そこはアニメイトとちょっと差別化かな。アニメイトもちょっとだけ同人誌の取り扱いはあるけど。
あと、メロンブックスには素晴らしいフェアがあります。いくら使うごとにポイントが貯まってって、それこそラノベだったらショートストーリーと交換できたりクリアファイルと交換できたりね。
深
百合姫も連続購入特典やってて、色紙が貰えました。
牧
季節にかこつけた夏のマンガフェアとかラノベフェアみたいなとかで、結構素晴らしいアイテムと交換できるので。やっぱオタクとしては好きな作家の書き下ろしっていうのは外せないものなので結構買っちゃうよね。
深
買っちゃうね。やっぱ書き下ろしリーフレットが一番強いよな。
牧
そうだね一番の強みはそれかな。あと何かあるかなメロンは……。店舗としてはやっぱ池袋とアキバが充実してるかなっていう感じ。新宿なんかはほぼ新刊だけで、基本的には4分の1が新刊、4分の1が既刊、残りが同人誌とエロ漫画だから。
深
(笑)。
牧
新宿は既刊の品揃えは大したことがないので、ちゃんと買い物するなら池袋かアキバかな。
深
一気買いするなら新宿より池袋っていうイメージは確かにある。『わたゆり(私の百合はお仕事です!)』を買った時ははちゃんと全部リーフレット入っててありがたかった。
牧
『わたゆり』はアニメ化決定したタイミングあたりでリーフレット再度購入特典が付くみたいなフェアをやってて、俺もそのタイミングで一気買いしたからリーフレットがちゃんと全部ありますね。とにかく、リーフレット書き下ろしとポイントかな。メロンブックスの素晴らしいところは。
⑦行きつけの本屋で最近推されているもの
牧
これは……心当たりがないですね。
深
私は結構前の話になるんだけど過去にnoteでも取り上げた『ミューズの真髄』っていう漫画がもうね、「これ買わないと損ですよ」と言わんばかりに平じゃなくて縦で置いてあって、試し読みとかもできるようになってて。もう絵がすごくかわいいので、「うおー! いいじゃん!」て思って、あんま中身読まずに買ったら当たりでした。
牧
ジャケ買い的な感じでね。
深
そう、その通り。「ジャケ買いしても結構良いものが手に入る」っていうのが池袋(ジュンク堂)だから。
牧
ジュンク堂書店員への信頼があるわけだ。
深
書店員への信頼が大事。というか、「信頼できる書店員がいる」ってのが大事。
⑧本屋でのルーティーンとよく巡るコーナー
深
まず池袋ジュンク堂に行ったら例の通路を行って3列目の左側くらいにある隠された秘境みたいなブースを覗くことと、降りてすぐにある新刊棚の向かい側にある縦で置いてあるなんかよさそうな本をチェックしとくみたいなのがルーティンかな(*撮影禁止につき画像なしで失礼します)。
牧ナタ氏は百合コーナー?
牧
私はもう新刊が出たときにしか行かないので。新刊が出た時に行って新刊を買って。で、百合コーナーは誰かと行ったときとかちょっと覗くぐらいかな。なぜなら百合コーナーにある本はほとんど知ってるので。
深
(笑)。
牧
知ってるけどまだ買えない本がほとんどなので。基本的に百合コーナーにあって俺の知らない作品は、よっぽど古い作品とかじゃない限りはない。新作の百合漫画は大体把握してるから。
深
百合のやべえ奴だ。
牧
今いい時代だから、最初の数話とかは雑誌連載でもネットで読めるから。気になったらそれで買えばいい話だし、百合姫みたいに雑誌で追ってなくても大体わかる。なので、百合コーナーはあんまり行く必要がない。
深
なるほどね。これはちょっと意外な答えが返ってきた。
⑨実際にあった本屋でのナイスな出会い(ボリュームそこそこ)
深
これはいっぱいあるね。直近だとさっき言った『ミューズの真髄』。文野綾さんの『ミューズの真髄』っていう漫画と出会ったことがナイスな出会い。
牧
『夜と海』もそうだしね。
深
そう。『夜と海』も絵がめっちゃ綺麗でいい雰囲気だなって。だから百合漫画ってことすら知らなかった。
牧
これは郷本先生が百合漫画と思って描いてないから、難しいけど。
深
でもそういう要素があることすら知らずに3巻一気買いしたけど満足できたから、これは本当にナイスな出会い。
牧
まさかね、『夜と海』が被るとは思ってなかった。お互い持ってる。
深
あとはやっぱり、冬虫カイコ先生の『みなそこにて』かな。これも過去にnoteで紹介してます。あ、全部全3巻だ。全3巻くらいの出会いが多いのかな。読切(短編集)だともうちょっとありますけどそれは割愛して、『夜と海』『みなそこにて』『ミューズの真髄』。
牧
なるほど。そうね。基本的に追ってる作品を本屋に買いに行くってスタンスだから、「本屋で出会ってジャケ買いした」っていうのはほぼなくて、強いて言うなら『今日、小柴葵に会えたら。』は原作も作画も知ってる人なのになぜか発売されるまで存在が網に引っかかってなかったので、その場で買ったぐらいかな。
あと郷本先生の新作『破滅の恋人』も百合ナビをチェックしなかったせいで、一巻発売まで存在を知らなかったっていう。だから新作コーナーをこまめに行くと、自分の網に引っかかってない作品に出会えるかもしれない。
第二節:これまでの本屋体験から本屋を解き明かそう(全編ボリュームたっぷり)
①あなたにとって本屋って? 本屋の記憶を辿りながら求めよ
深
これちょっと難問が来ましたよ。一体何なんでしょうね、2人で雑談しながら進めていこうこれは。
牧
いぇい。
深
本屋ってさ、まず本を売ってる場所っていうのは間違いないとして、それ以上の何かがあるじゃない。
牧
本屋に思い入れがあるってことは、本を買う場所以上のものを本屋に感じてるわけだけだからね。
深
そうそう。それって何だろう。……なんかやっぱ、「出会いのある場所」かな? やっぱ知らない本とか、当然のことながらちっちゃい頃ってあんまり知識量もないわけじゃん。で、ネットとかもあんまり見ないし。だから漫画の棚とか見てても、「こんな絵の漫画があるんだ、かっこいい」とか。そういう発見のある場所が本屋だよね。
牧
別にその本を買うかどうかは置いといて、「最近こういう漫画が話題」とか「発売された」とか、そういう情報をキャッチできる場所だよね。書店員の人が今売れてる本とかを前に出してくれるわけだから、そういうことで、今の話題作がこれなんだみたいな。試し読みとかもできるしね。
深
だから、情報を得られる場所だな。
牧
特に本屋に売ってる本は帯がついてるわけだから、もうインターネットのネットショップで本を探すよりも情報量が多いよね。
深
やっぱ、「○○推薦!」ってのはちょっと見ちゃうもん。
牧
あと積まれてる量とかでどれぐらいの期待値だとか。入荷数で、書店側のその本への期待値とかもわかるしね。本屋に行くことで、どういう本が売れてるのかとかも何となく掴むことができるよね。
深
『リコリス・リコイル』のノベル版とかも『メタルギアソリッド』の「小島(秀夫)監督推薦!」みたいな、「これがこの人に推されてるんだ」っていうのが見れるし、何かそれを書かせるってことはやっぱり何か売る層とかを見極めて、「これを売っていこう」っていう意思の表れでもある。そういう出版社の意図みたいな……。
牧
わかった。良いこと言うわ。
本屋とは、「出版社と読者を繋げる場所」
ってわけですね?
深
おー! 確かに!
牧
それっぽいこと言いました、私。
深
これは素晴らしい意見が出た。普段やっぱり隣接してない出版社と我々というものが本屋を通して一体になれるんだ。そのための場所だったんだね。
牧
そうだわ! ただ本を買う場所ではなく、出版社と読者を繋げるんですよ、本屋は。これで本屋に行く理由がちょっとできたんじゃないですか?
深
できた!
牧
あと個人的なエピソードを話すと、本屋は時間潰しの場所だね。オタクと時間潰すのに困ったらとりあえず本屋行けば話題ができる。っていうのもそうだし、習い事してるときに習い事をしょっちゅうサボってまして……それをさぼる時間を本屋でずっと潰してたね。
深
それは本を眺めるだけ? それとも買って?
牧
眺めるだけ。当時中学生で本を買うお金もないから、本屋をただひたすら徘徊してて、試し読みとかがあったら試し読みを乞食したりして。
深
あれだ、スーパー巡るちっちゃい子とおんなじだ(笑)。
牧
そうそう。習い事の1時間とか塾の居たくない時間帯を本屋で潰したり、っていうのはよくやってたね。
深
やっぱオタクのよりどころでもあるんだな、本屋っていうのは。
牧
本屋行くか散歩してたね。習い事の時間が終わるまで。ばれたときめちゃめちゃ怒られたけど(笑)。
②古本屋と本屋と同人誌屋の違いって? 本屋に行く欲求は他二つで満たされるのか?
深
これは……難しいというか、癒着してるよね。
牧
特に本屋と同人誌屋ね。
深
だって、さっき言ってたメロンブックスの利点が全く本屋と同人誌屋との癒着の話だと思う。だから最近の傾向としてはこことここがくっつきあってるのが本屋としても台頭してるんじゃないかな?
昔はさ、メロンブックスって言ったら、もっと同人誌オンリーみたいなイメージがあったけど、今は全然ジャンプも置いてあるし、普通に本屋としてでかくなってきてる。
牧
まあでも、たまにちゃんとした本屋に行きたくなりますよ。「漫画・ラノベ以外の本を眺める」っていう目的で、年に数回はちゃんとした本屋に行きたくなる。
深
「やっぱり本屋に行きたい」っていう欲望は同人誌屋ではちょっと満たされないよね。そう、古本屋って行きます?
牧
行かないね。
深
私は昔結構行ってて、今本棚にあるやつは結構1冊100円で揃えたのも多くって。『Rosen Maiden』とか。『蟲師』とか。
牧
本はね、基本的に新品の物しかありませんね。
深
古本0か。
牧
0。本当に古本はうちにはない。自分で買ったんじゃなくて、親があったやつがあるぐらい。うちにある『ハチミツとクローバー』とか『あさきゆめみし』とかその辺は親が中古で買ったやつだけど、自分で本を買うんだったら基本的に古本屋は使わないかな。
深
私は結構、漫画喫茶通いが多くて。漫画喫茶通いの中で気に入ったものとか、漫画喫茶でタイトルと大体の内容を知ってはいたんだけど「そういえば読んでねーな」みたいなやつが安売りされてるときとかがあって、そういうので買った。『モブサイコ100』とかがそう。全巻揃ってないけど。
牧
「古本で買えばいいかな」ぐらいの興味関心の漫画は電子で買うかな。実際に買ったことはないんだけど、もし買うとしたらね。ただでさえ本はスペースを圧迫するから、その程度の漫画だったら電子で買ってスペースを取るかな。それに電子で買った方が一応雀の涙程度の印税が入るし。
深
(笑)。それは確かにそう。古本屋の弱点って、結局転売行為だから……いや、古物商かもしれないけど(*古物商許可が必要だそうです)。作者に印税が入らないってことなんだよね。
牧
「作者にお金が入って欲しい」っていうオタク心的にはやっぱりブックオフとかそういうとこで漫画は買わないかな。
深
その通りで、私もやっぱお金があんまりなかった頃は古本屋を多用してたんですけど最近はもうめっきり行かなくなって。特に百合姫作品とかは私が買い支えないと終わっちゃうかもしれないから。
牧
本当に。我々読者1人1人の意識が大事だから。
深
やっぱちゃんと『ぜんぶ壊して地獄で愛して』買いましたし。『平良深姉妹はどっちもヤんでる』『陰キャギャルでもイキがりたい!』……。
牧
『陰キャギャル』買ったし、俺『映しちゃダメな顔』も買ったし。
深
いいね。「やっぱり著者に印税を渡したい」とか、「連載を長く続けてほしい」とか、そういう欲望が出てくると中古ではいけない。
牧
今『呪術廻戦』は物理で買うか悩んでる。電子だったら親がKindleで買ってるから読もうと思えば読めるんだけど。
③デジタルで本を買うのはどんなときか。それは紙と何が違うのか
深
デジタルで『呪術廻戦』全巻持ってる?
牧
そうね。多分20、いや18ぐらいまではある。
深
禅院家壊滅まではある?
牧
日車戦くらいまであるね。
深
「それをなぜ物理で欲しいのか」とかっていうところに手がかりがあるかもしれない。
牧
『呪術廻戦』はそうね……物理で買ってもいいかなっていうぐらいの巻数だし、結構好きだから。
深
やっぱり好きだからっていうのがね、繋がってる。「紙で欲しい」ってのと。
牧
だからあれだよね。紙の本ってコレクションなわけだから、自分の本棚に入るにふさわしい価値のある漫画だと思ったら本として欲しいよね。
深
それは確かにそうだ。デジタルで目録とかあるけどさ、擬似的な棚みたいな。あれを見てもどうしてもちょっと寂しいなって感じちゃう部分があって、でも実際に棚に並べてみると迫力があるじゃない。
牧
「電子で買っても良いかな」って漫画は、「読みたいは読みたいけど本棚に置くほどでもないな」っていうのだと思う。
深
私は単純に電子で買うときは、安くなってる時かな。一時期、百合作品セールで1冊9円とかやってた時は買いまくりました。
牧
すごい安くなったりするからね。そういう時は電子でいいと思いますけど、基本的に好きな作品は紙で買う。
深
やっぱりそうやって電子で9円で買った作品でも、「これは紙で揃えたいな」っていうのもあるし。
牧
やっぱ本棚かな。
深
本棚に並べて気持ち良くなれるかみたいなところだよね。あとは「本棚の並べ方」みたいなの考えない? 「ここはアクションの棚にして、ここは百合かな、ここはラブコメかな、ここはSFかな」みたいな。そういうのを考える楽しみっていうのも、電子ではなかなか味わえない。
牧
確かにその通りだね。本棚のレイアウトだね。本棚ってオタクのアーカイブなわけだから、本棚見ればそのオタクがどういうオタクかっていうのはねわかるからねマジで。本棚二つあるけど、手に取りやすい方は完全に百合だからね。
深
(笑)。私も一番手に取りやすい位置に『私の初恋相手がキスしてた③』置いてある。あんま手に取りたいわけじゃないけど。
牧
取りたくないねぇ(笑)。
④ネットが発展した世の中でわざわざ本屋に行く意味
深
私はもう結論が出てて、「現物との出会いが欲しい!」「紙の本紙の本との出会いが欲しい!」そして「特典が欲しい!」。特に特典だよな。
牧
やっぱあれだよね。本屋が苦境に立たされてる中でもアニメイトとかメロンブックスが高いポイント還元率を維持できるのは「特典商法でオタクが買いに来るから」っていうのが大きいと思いますね。だからまんまと、奴らの手のひらの上で踊ってるわけですよ。
深
(笑)。でも私はちゃんとジュンク堂に行って「ジュンク堂書店員の信頼が欲しい!」って思って書店員のおすすめする本としっかりと出会って、買ったり買わなかったり。本屋で買った本がNoteの記事になったりとか、そういう素敵な出会いがあって、多分ネットではできなかったものなんじゃないかなって思う。
牧
俺もね、本屋行くと欲しくなるんだけど買う余裕がないから、そういうのもある。あんまり見たくない、欲しくなっちゃうから(笑)。
深
(笑)。やっぱ本屋って持ってるんだね、そういう能力を。「欲しくならせる能力」を持ってる。
牧:欲しいものリストに昔本屋で見て「いいな」って思ったやつとかがあるんだけど一生買わないから、多分。
深
それは本屋でのみ見た幻想か。
牧
本屋で出会ったけど、買うお金がないので。そうこうしてるうちに完結してたし。
深
いやいやでもね、そういうときに、もう刹那的に買っちゃうのが大事です。それが本屋っていう建物だから。もうやっぱ本屋では一期一会ですから。
牧
うん。
深
本との出会いを大事にして。
牧
はい。
深
もうぜひとも買ってくださいそれは。
牧
いや、もういいかな。
深
(笑)。
牧
ほっといたら買いたい意欲なくなっちゃったから。
深
そういうこともあるね。結論は出たかな。本屋に行く意味はやっぱり「出会い」を求めて。
牧
特典を求めて。
深
特典を強調強調するなあ。
牧
特典大事だから。
深
こんなとこかな。今日はお付き合いいただきありがとうございました。
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