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神の植物・神の動物―J.K.ユイスマンス『大伽藍』より


神の植物・神の動物―J.K.ユイスマンス『大伽藍』より

 これは、評価が分かれる本ですね。
 絶賛されるか、酷評されるか、どちらかだと思います。

 明らかに、万人向けの本ではありません。
 読む人を選ぶ、という点で、評価が難しいです。

 おそらく、多くの人にとって、この本は、退屈だと思います。
 一応、小説の形を取っていますが、「面白い筋書き」などというものは、存在しません。ほぼ全部が、独白と、会話です。

 あえて分類するならば、これは、「うんちく小説」ですね。
 ヨーロッパのキリスト教に基づく知識が、ずらずらと披露されています。

 ヨーロッパのキリスト教文化に興味がある人なら、この本は、宝の山でしょう。
 あとは、ヨーロッパの薬草や野菜に興味がある人と、ヨーロッパの幻獣―セイレーンや、一角獣や、ガルグイユ(ガーゴイル)など―に興味がある人も、読んでみる価値があります。

 私の場合は、前記のすべての条件に当てはまります。ですので、たいへん興味深く、読ませていただきました(^^)

 「普通の日本人」にとっては、とても異質な思想が、紹介された本です。
 読めば、ヨーロッパが、日本とはいかに異質か、わかるでしょう。

 以下に、この本の目次を書いておきますね。

はじめに
『大伽藍』概要
神の植物(『大伽藍』第十章)
神の動物(『大伽藍』第十四章)
作者ユイスマンスについて
訳者あとがき
植物・動物・人名索引




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