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ミクロネシア千一夜譚


ミクロネシア千一夜譚

 南太平洋に散らばる島々のうちに、ミクロネシアと呼ばれる地域があります。マーシャル諸島共和国、ミクロネシア連邦、パラオ共和国といった国々を含みます。
 本書は、それらの諸島に伝わる民話を集めた本です。ミクロネシアの民話を、日本語でまとまって読める資料としては、本書が、ほぼ唯一のものといえます。

 パラオなどは、リゾート地として有名ですね。
 けれども、そこに伝わる民話にまで興味を示す方は、少ないでしょう。こんなにも豊かな伝承が、これまで紹介されていなかったなんて、もったいないことです(>_<)

 ミクロネシアの民話には、人間も、動物も、精霊も登場します。英雄物語もあります。いたずら好きのトリックスターもいますし、幽霊や、空想的な動植物も活躍します。

 本書に収められているのは、ミクロネシアの民話の、ほんの一部だそうです。それらの中には、悲しい話や、恐ろしい話も、きっとあるでしょう。
 しかし、本書を読む限りでは、ユーモラスで楽しい話が多いと感じました(^^)

 中でも、印象が強いのは、レタオが登場する話です。
 レタオは、典型的なトリックスターです。人間に対してひどいこともしますが、超常的な力を発揮して、助けてくれることもあります。
 「レタオが活躍する話を、もっと読みたいな」と思いました。

 以下に、本書の目次を書いておきますね。

はじめに

第1章 マーシャル諸島共和国の島々から
 第1話 どうしてアウト・リガ―に帆がかけられたのか
 第2話 ロンゲリックとロンゲラップの話
 第3話 ロンゲリックとロンゲラップ、二人のカヌーの話
 第4話 ロンゲラップとウン大王の島
 第5話 ロンゲリックとウン大王の島
 第6話 精霊の恋した男の話
 第7話 アイリンラプラプの迷子の少年
 第8話 悪戯【いたずら】者のレタオと海の怪物
 第9話 レタオと偉大な亀のおっかさん
 第10話 レタオが人々に火を与えた話
 第11話 レタオと兄のジェメリウトの話
 第12話 レタオとウムの話
 第13話 リブラクの話
 第14話 レタオの息子コロラオの話
 第15話 人間の首が頭より細い理由
 第16話 最初のヤシの実
 第17話 ヤシの木トボラルの兄弟達の話
 第18話 いろいろの植物の始まりの話
 第19話 クヮジェリン環礁の島々の話
 第20話 島々の生い立ち

第2章 ミクロネシア連邦の島々から
 第1話 蟹【かに】とダツの話
 第2話 タコとクジラの大喧嘩
 第3話 鳥と魚の大戦争

子供達と親子の話
 第4話 心の優しい少年の話
 第5話 ティクとラプと巨大な魚の話
 第6話 十人兄弟と化け物の話
 第7話 オホカサウと彼の母親の話

愛の話
 第8話 空飛ぶ丸木船
 第9話 愛のおまじない
 第10話 トール島の愛情物語

コスラエ、カピンガマランギの話
 第11話 王妃様の蛇
 第12話 片足の少女ヒーナ

ポンペイの話
 第13話 ポンペイの大運河
 第14話 不思議な鳥のサキエール

ピンゲラップの話
 第15話 蟹とその娘の話
 第16話 大きな芋虫の話
 第17話 少年キケの物語
 第18話 リエウィデカイカイと賢い鷺【さぎ】の話

ヤップの話
 第19話 モティギティグがファイス島を釣り上げた話
 第20話 ブネネとグンカン鳥【どり】の話
 第21話 二人の少年と幽霊女のモーオイの話

第3章 パラオ共和国の島々から
 第1話 大食いの巨人の話
 第2話 最初のパンの木
 第3話 ゲレホックルの女
 第4話 勇敢な少年と蛇の話
 第5話 パラオの恋の物語

パラオの英雄物語
 第6話 英雄テルケレルの誕生とパンの木
 第7話 テルケレルと石の神テムドクル
 第8話 テムドクルの目
 第9話 テルケレルと命の水
 第10話 オベチャドの神と不滅の命

おわりに
参考文献



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