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人魚と結婚した男―オークニー諸島民話集


人魚と結婚した男―オークニー諸島民話集

 英国スコットランドのオークニー諸島に伝わる民話を、集めた本です。

 オークニー諸島の民話を、日本語でまとまって読める本としては、本書が、唯一でしょう。
 スコットランド全体の民話集なら、いくつかあります。その中に、いくつか、オークニー諸島の民話も含まれることが多いです。
 けれども、オークニー諸島の民話ばかりを集めた本は、本書以外には、ないと思います。

 オークニー諸島は、民話の宝庫です。このような本が日本語で読めるのは、嬉しいですね(^^)

 スコットランドは、歴史的に、ケルト文化圏に含まれます。
 その中にあって、オークニー諸島は、ノルウェイなどの北欧ゲルマン文化の影響が強いです。北欧の国々の統治下にあった時代があるからです。

 その影響が、民話にも表われています。北欧の妖精、トロールに由来する妖精「トロウ」が、よく民話に登場します。北欧のヴァイキングが登場する民話もあります。
 このように、複数の文化がぶつかり合う所には、豊かな文化が育まれるものです(^^)

 島の生活を反映して、海に関わる民話が多いですね。アザラシや人魚が登場します。行間から、潮の香りが立ち昇るようです。

 私は、アザラシ女房の話が気に入りました。民話によくある、異類婚姻譚【いるいこんいんたん】の一種です。もの悲しい後味が残るのが、いいです(^^)
 題名にあるとおり、人魚と結婚した男の話もあります。全部で、六十三話が収められています。

 以下に、本書の目次を書いておきますね。

日本の読者に贈る言葉
はしがき
オークニー民話の登場者たち

アッシパトルと大海蛇
ケイスネスの巨人
海はなぜ塩辛い
海の母
海の乙女はなぜ人魚になったか
トロウィ谷の小さい人たち
いなくなった娘
アザラシ女房
ひれ人間とスケイルの水車小屋
石にまつわる話
妖精の塚山で暮らしたジョック
タム・スコットの目がみえなくなったわけ
ラウシー島の取り替えっ子
海底の都
嵐の夜のアザラシ男
タム・ビハンとトロウ
ホイ島の巨人
シェトランドのひれ女房
ヘレハウのホグブーン
終わりのない戦い
オディヴィア夫人
トロウっぽいタバコ入れ
海からの求愛者
サンドウィックの妖精
湖に住むトロウ

(中略)

ティーヴェスのデイヴィ
大聖堂の建設
裸にされた幽霊
踊りをやめないイーヴィーの男
ボリー島
ヒュープのトロウたち
幻の島
ナイフを刺された妖精
海坊主
妖精たちとヴァイキング
ラムリーの花嫁
トロウののろい
ピーリー・フール
トロウ女房
アーシラとアザラシ人間
丘のふもとで踊る人たち
島を失ったひれ人間
妖精たちの真夜中の遠乗り
ウェストネスのアザラシ女房
紳士になったトロウ
得体の知れぬ若者
妖精と暮らす死んだ妻
スール・スケリー小島の家
メインランドの妖精の運命
人魚と結婚した男

訳者あとがき



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