見出し画像

スキャンダラスな神々


スキャンダラスな神々

 飯縄【いづな】という、日本独自の神について、書かれた本です。
 飯縄は、飯綱【いづな】とも書かれます。飯綱のほうが、一般的な表現です。本書では、飯縄のほうを、主に使っていますね。

 飯縄は、謎が多い神です。神ではなく、憑き物の一種とされることもあります。
 素朴に祈られる神ではありません。邪法とか、妖術といった、おどろおどろしい印象が付きまといます。

 そんな飯縄について、普通の人にわかりやすく書かれた本は、ほとんどありません。
 本書は、貴重な資料です(^^)

 飯縄信仰には、地域に偏【かたよ】りがあります。ある地域には、色濃くありますが、ない地域では、存在すら知られません。
 このような信仰を調べるには、現地調査が欠かせませんね。

 本書の著者は、きちんと現地へ足を運んでらっしゃいます。現地の写真が、本書に多く載っています。その他、資料の図版も多いです(^^)

 飯縄信仰について知りたければ、本書を無視することは、決してできません。
 その他、管狐【くだぎつね】、天狗、迦楼羅【かるら】、ダキニ天、歓喜天【かんぎてん】、宇賀神【うがじん】、愛染明王【あいぜんみょうおう】などの神や妖怪についても、所見が得られます。どれも、飯縄信仰に影響を与えたと見られるものです。

 ただし、細かいところでは、事実誤認かと思われる点もあります。
 事実確認は、読み手に任されています。

 以下に、本書の目次を書いておきますね。

はじめに
プロローグ

第一章 妖術「飯縄の法」
 1 飯縄信仰と妖術
   ■修験道につきまとう闇の邪法
   ■飯縄の天狗伝説
   ■飯綱と飯縄
   ■飯縄の神々とは
   ■飯縄神と飯縄二十法誕生の背景
   ■飯縄二十法とは
   ■ブレイクしながら戦略を変える戦の神
 2 「飯縄の法」にハマった歴史上の著名人
   ■千日太夫
   ■細川政元
   ■九条稙通【たねみち】
   ■武田信玄
   ■上杉謙信
   ■北条氏照
   ■真田幸村・猿飛佐助・霧隠才蔵
   ■徳川家康・家光
   ■福井兵右衛門嘉平【ふくいへいえもんよしひら】
   ■その他の飯縄武芸と現代に残るエピソード
 3 「飯縄の神」発祥の地を訪ねる
   ■飯縄神社本宮
   ■飯縄神社里宮(皇足穂命【すめたるほのみこと】神社)
   ■汗をかく飯縄のご本尊と幻の女性飯縄修験者
   ■比丘尼石の怪
   ■飯縄権現神力稲荷
   ■幻の萩野【おおぎの】城と知足院伝説
   ■クダ狐(管狐)の登場

第二章 クダ狐と魔法
 1 クダ狐に関する迷信と俗信
   ■クダ狐はどんなカタチか
   ■クダ狐の正体
   ■クダ狐はどこに棲んでいるか
   ■クダ狐を飼い慣らす法
   ■使役の方法及び結末
   ■性質・霊力・特徴
   ■「飯綱」「飯縄」の由来
 2 飯縄の神と魔法
   ■人に取り憑く飯縄の神
   ■飯縄の神の魔法とは
   ■飯縄の法を学ぶ資格
   ■動物霊の「憑き」とギャンブルの「ツキ」は同じもの
   ■飯縄使いのゆくえ
 3 現代の飯縄使いと狐
   ■飯縄法修得者の論文
   ■民俗学者・中村寅一【とらいち】のクダ狐に関する報告
   ■民間伝承のクダ狐に関する報告
   ■憑いた狐を落とすには
   ■結論・憑霊信仰からみたクダ狐の正体

第三章 飯縄の神・飯縄大権現とは
 1 合体神・飯縄大権現の正体
   ■高尾山の合体神を解剖する
   ■参上! 片足乗りの飯縄大権現
 2 高尾山に集う神々のスキャンダラスな実態
   ■飯縄大権現とアイドル天狗たちの関係
   ■『今昔物語集』に見る「天狗の法」とは
   ■不動明王と三十六童子は天狗の天敵だった
   ■護法童子と座敷童子、クダ狐の関係
    (中略)
   ■歓喜天と巾着
   ■怒りのキューピッド・愛染明王
   ■高尾山に邪教・立川流はあったのか
   ■高尾山のオタヌキ様
 3 日本中で信仰されている天狗系ダキニ天
   ■東京都日野市「飛び飯縄」伝承
   ■国際的な地名「秋葉原」と三尺坊天狗
   ■南国の飯縄大権現
   ■関東一の天狗の山塊に今なお君臨する岩切大神
    (中略)
   ■由緒高き西の四枚目天狗・児島吉祥坊
   ■狐に乗った天狗たち
   ■戦乱が無くなり、天狗より狐がウケる時代に
   ■飯綱山と高尾山の繋がり

付録
 1 飯縄の法・妖術・伝承・歴史年表
   ■飯綱山古地図
   ■高尾山古地図

参考文献
あとがき



この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?