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山姥の記憶


山姥の記憶

 山姥【やまんば】とは、日本人なら、誰もが知る妖怪でしょう。
 そのわりに、山姥について、書かれた資料は、少ないです。
 本書は、貴重な資料です(^^)

 民話に登場する山姥には、二種類あります。鬼のように恐ろしい山姥と、福をもたらす優しい山姥です。どちらが、山姥の正体なのでしょうか?

 どちらも、山姥の一面を表わしています。

 本書の著者は、山姥の良い面に焦点を置いて、調査しています。山姥は、単なる妖怪というより、山の神に近い存在だと見ています。
 私も、著者の見方に、おおむね賛成です(^^)

 本書は、まず、伝統芸能である能に登場する山姥の話から、入ります。
 能の山姥は、高尚な存在で、「山の神」というにふさわしいです。
 そのような山姥の伝承を求めて、著者は、さまざまな地方を訪ねました。

 本書では、金時(金太郎)伝説に登場する山姥も、取り上げられています。
 金太郎の母親は、山姥といわれますからね。金太郎と山姥とは、切っても切れない関係です。

 山姥について知りたいなら、本書は、決して外せない資料です。

 以下に、本書の目次を書いておきますね。

はじめに
 謡曲【ようきょく】と能の簡単な解説
 謡曲『山姥』の各士の評
 謡曲の作者

第一章 謡曲『山姥』の舞台
 能としての「山姥」
 善光寺信仰
 百ま【ひゃくま】山姥と謡曲『百万【ひゃくま】』について
 遊君の善光寺旅行の背景
 北陸道に残る山姥伝説
 境川における選択
 大平【だいら】村の伝説と日食
 上路【あげろ】の山姥伝承
 上路から直江津【なおえつ】まで
 上路から塩の道へ
 虫倉山から善光寺へ

第二章 花祭りと山姥の舞
 さらに天竜川沿いに
 三遠信地方の祭り
 反閇【へんばい】について
 花祭りの白山行事
 立山の布橋【ぬのばし】潅頂会【かんじょうえ】
 花祭りと山姥伝説
 能の仕草と反閇

第三章 金時伝説と山姥
 足柄山と山姥
 金時伝説の意味
 金時伝説の完成
 子持ち山姥について

第四章 古代信仰と山姥
 山姥の昔話と神話
 「山の神」について
 機織り【はたおり】伝承
 その他の信仰

終章 「山姥」の総括
 焼畑文化と山姥

補章 中部地方のその他の伝承
 新潟県の伝承
 富山県の伝承
 石川県の伝承
 福井県の八百比丘尼伝承
 岐阜県の伝承
 本宮山【ほんぐうさん】の山姥伝承
 静岡県の伝承

あとがき
参考文献
編集部あとがき



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